日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

続報「土浦通り魔事件」~姑息な警察の目くらまし情報戦術に怒る!

2008-03-25 | ニュース雑感
昨日の続きで土浦の通り魔事件がらみです。

2日連続でこのニュースをとりあげることには、理由があります。それは、続報として今朝報じられた一部マスコミの「妹を狙っていた」という記事に怒りを禁じ得ないからに他なりません。テリー伊藤氏も、テレビで同じことを問題視して、声を荒げていたと聞きます。当然です。

怒りは犯人に対するものではなく、警察の情報戦略に対するものです。昨日のブログでも書いたように、昨日までの本事件のトーンは容疑者像の詳細とともに警察の失態による事件責任に集中していました。そこにもってきて、今朝からこの報道が大きく取り上げられはじめたのは、「妹を狙っていた」との供述があったとの警察発表(あるいは意図的リーク)によるものでしょう。これはまさに、警察当局が自身への失態報道をかわすための、“目くらまし情報”に他なりません。自分たちへの批判の矛先をかわそうと言う、あまりにミエミエな、そしてあまりに卑怯なやり口です。

なぜ今この段階で、この情報を流す必要があったのでしょうか。この事件で、凶悪な事件の原因究明や再発防止を求める一般市民が、今必要としている情報はこれなのでしょうか。いかに容疑者の家族であるとはいえ、当の「妹」さんは事件直後に、なぜこんな情報で追い討ちをかけられなくてはいけないのでしょうか。このような警察当局の、あまりに小賢しいやり口は、本当に腹立たしく怒りが収まりません。

根底にあるのは、警察をはじめとした「官」の情報公表体制における“思い上がり”に他なりません。昔から「官」は大抵記者クラブ行政に立脚した情報統制を行い、限られた情報提供を中心に一部のリーク情報を餌にして、上手にマスコミの飼い慣らし化をはかっています。そして、そのような前時代的情報統制の下、さらに“無謀(むほん)新聞社”に対する「出入り禁止」などの“処罰”をチラつかせるなどして、限りなく「言論統制」に近い管理を行っているのです。「記者クラブ」制度に立脚した、“悪の情報操作”がそこにあります。

特に警察関連施設に関しては、“サツ回り”と言われる若手記者が日常から、去勢された馬のごとく従順に飼い慣らされ、与えられる「情報」をありがたく記事にしているのです。今回の報道はまさに、このような暗黙の情報統制下で行われた、警察側の“確信犯”的目くらまし情報提供であると確信しています。

警察当局とともに、嬉しそうに大々的にこの記事を取り上げた一部マスコミも同罪です。先に書いたように、今一番問題とすべき事件の核心は何なのか、容疑者家族と言えども報道される側のプライバシーは守られるのか、など当局の情報公表姿勢に 対する正しい認識を忘れた報道は、当局と同罪として非難を免れ得ません。現場“サツ回り”の若い記者はともかく、デスクや編集委員までもが、当局の“目くらまし”策に甘んじ報道したことには、マスメディアに「官」浄化機能は期待できないと悟らされ、正直落胆の極みです。

昨日も書いたように、本事件は警察当局という「官」の正すべき誤った「文化」が招いた人災であり、この点から矛先を変えさせようとする邪悪な当局の動きに、世論は断固として立ち向かなくていはいけないと思います。「警察権力」という「官」の前に去勢され力にならないマスコミともども、大いなる反省を促されるべき、大問題事件と言えるでしょう。