日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“加害者”が自分勝手を貫く、役人トップの非常識

2008-03-07 | ニュース雑感
またまた出ました、役人の国民無視の自分勝手発言。

増田防衛省事務次官が昨日の会見で、イージス艦衝突事故を巡る経緯説明が混乱したことを踏まえ、省幹部による記者会見のあり方を見直す考えを示したそうです。情報の錯綜を避けるために、会見する幹部を絞り込むか、会見数自体を減らす方向で検討するとのこと。自分たちの情報コミュニケーションの悪さを棚に上げて、情報の蛇口を細めるか、本数を減らすって話です。普通許されないでしょ?この発想。

まず今回の説明混乱の原因ですが、考えられるのは組織内部の情報の流れの悪さの問題か、あるいは誤魔化そうとしたものの口裏が合わせきれなかったか、です。原因が前者だとすれば、まず組織内部の情報の流れ方とその迅速さを正すべきであり出口で調整すると言うのは改善する気がない。すなわち、管理放棄としか言いようがありません。全く無責任極まりないです。原因が後者だとするとさらにタチが悪い。要は、今度まずい事が起きたときに備えて、口裏あわせができるようにしておかないとね、ってことですから。もし後者が理由なら、防衛省は即解散モノですね。

増田事務次官も、よく考えてモノを言わないとまずいですよ。官のトップたる人が、平気で国民に対する説明責任の放棄ともとれる発言をしている訳ですから。そもそもは、いつ見ても不気味な悪役顔の石破茂防衛相が、4日の閣議後会見で「大勢の人間がそれぞれの立場で記者会見するのが本当にいいのか。大きな混乱が生じることもある」と定例会見見直しの必要性に言及したのを受けた形な訳で、「大臣がいいこと言ってくれた。しめた!今のうちに俺も言って、早いとこやり方変えちゃえ~」って訳ですね。そろいも揃って、国防の政と官のトップの事件に対する反省のなさを象徴するような発言です。

大臣も大臣なら、事務次官も事務次官。本来なら大臣発言を受けて、「その考えは、国民に対する説明責任の全うを危うくするものであり、いかがなものかと考える」ぐらいの気の効いた受け答えができてもよさそうなものです。偉くなった方々は、いずこも同じ次の天下り先を気にしてか、とにかく「保身」に走るものです。「これ以上の失敗は命取り」って訳でしょう。民間企業でも大企業になればなるほど、同じような「保身」現象は、そこここで見られますけどね。

今回の件で唯一の救いは、読売新聞紙面にあった『「27万人いる防衛省・自衛隊で、記者会見が多いのは当然」「実力部隊である各自衛隊の長の記者会見は必要だ」と省内でも慎重な意見が多い。「記者会見を減らすより、内部の情報共有を徹底する方が先だ」と指摘する声もある』との報道。「官」にもまともな方々が、少しはいらっしゃるようで、その点は少しホッとしました。

大臣も次官も、このような発言ができるまともな方々に席をお譲りになって、「国民に対する説明責任の重要さ」や「組織内情報コミュニケーション統制の仕方」などを、外から学ばれてはいかがでしょうか。