日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

<音楽夜話>「70年代の100枚」選び“能書き”

2008-03-16 | 洋楽
とうとう勝手に始まりました「全米トップ40フリークの70年代アルバム100」のコンセプト説明です。

そもそも今回の企画のキッカケとなったのは、小職の投書が取り上げられた雑誌「レコード・コレクターズ」、昨年春の創刊25周年記念企画「70年代アルバムベスト100」でした。この企画における“プロ”の選者方の選ぶ70年代の「ベスト」なアルバムが、どうもしっくりこない。選出基準が明らかにポップ・ロック界における後追い評価を基準にしたものであったり、「評論家的立場」から“バカにされない”“安っぽくない”という基準で選ばれた「ベスト100」だったからなのです。

それはそれで、もちろん「70年代を検証し後世に語り継ぐ」という目的であったり、「ロック40年の発展の歴史の中で果たした70年代アルバムの07年時点での評価」を語る、という観点においては、意味のある「ベスト100」であるのではないかと思います。しかしながら、リアルタイムで70年代のポップやロックを体験し、当時の“音の洪水”を全身で浴びてきた身からすれば、どうもしっくりこないのもまた厳然たる事実なのです。

そんなイライラ感の中、企画された「ミュージック・マガジン」誌の今年3月号特集「消えたロック名盤100」は、以前書いたように私のイライラをひとまず鎮めてくれる企画ではありました。しかし、その特集を何度も何度も読み返すうちに、まだどこか物足りない、ピタッとはまりきらない何かを感じはじめたのも事実です。言ってみれば、まだ何かが欠落したままであると…。その“欠落”は決して、私個人の好みとか嗜好の問題ではなく、70年代の時代感というか、確固たる70年代を指し示す“座標軸”じゃないのか、と思ったのでした。

では、“座標軸”となりうるものとは何なのか?です。

それぞれの時代において、流行や文化をつくる上で大きな役割を果たすものにマスメディアの存在があります。日本のポピュラー音楽における各時代の流行や文化が形作られた過程においてもまた、間違いなく特定のメディアの果たした役割は決して小さくないのです。

例えば60年代、国内における洋楽文化を形づくったのは、ごく限られた活字メディアだったかもしれません(残念ながら私はリアルタイム体験がないので、確証は持てません)。「ミュージック・ライフ」や「ニュー・ミュージック・マガジン(ミュージック・マガジン誌の前身)」などの、当時としてはかなりマニアックな部類に入ったであろう雑誌たちがそれにあたるのかもしれません。

一方80年代では、ミュージック・クリップ全盛の時代を迎え、テレビが洋楽の流行や文化づくりには、大きな影響を果たしました。中でも、テレビ朝日で小林克也氏がパーソナリティを務めた「ベスト・ヒットUSA」は、間違いなく時代の流れを作ったメディアであったと言っていいでしょう。

では我らが70年代はどうなのでしょう。
大きな成長過程にあった国内洋楽文化の流れに確実に入り込んで多大な影響を与えたメディアとして、ラジオ関東(現RFラジオニッポン)土曜22時~25時(その後26時?)のヒット・チャート番組「全米トップ40」があったと思います。本場アメリカのポピュラー・ヒット・チャートが、 かなりリアルタイムに近い情報として入手できる、当時としては本当に画期的な番組でした。毎週毎週、聞き続けては、熱心にチャートを記録し続けた同年代のファンも多かったと思います。全国津々浦々で、受信状況が悪い中、ラジオに耳をくっつけて、なんとか聞き取っていたという話も、その後20年、30年たった今も、そこここでよく耳にします。

まさに「全米トップ40」があってはじめて私たちは、70年代洋楽のひとつの評価基準をもてたように思います。ですから、我々70年代洋楽フリークがその時代を代表する100枚を選ぶとき、各作品が「全米トップ40」をどう賑わしたかという選考基準は、この時代を語るひとつの座標軸になりうると思うのです。

そんな訳で、今回「全米トップ40フリークの70年代100枚」を選出するにあたって、大きな基準を全米TOP40での存在感(米ビルポード誌のチャート・アクション)に置いて考えてみることにします。ですから、「ベスト100」ではなく、「名盤100」でもなく、リアルタイムで70年代の洋楽を体験したひとりとして、あの時代に肌で感じた「70年代を代表する100枚」を納得のいく形で選んでみれればと思っています。

私と同じ70年代洋楽フリークや全米トップ40フリークの皆様におかれましては、本ブログ上での100枚選択の過程において、お気づきの点やご不満の点等ありましたら、ドシドシご意見賜りたく思います。よろしくお願いいたします。