JR花巻駅からバスで25分程揺られ、花巻温泉を越えて山の奥へ入ってゆくと、狭い谷間に旅館が犇めき合う台温泉に辿りつきます。約1200年前に坂上田村麻呂が発見したという伝説が残っていますが、実際には1387年(元中年間)に開湯されたようです。その後当地は南部氏の領土となり、南部藩はここに湯守を置いたり殿様が湯治するための宿泊所を建てるなど、藩の管理の下で湯治場として発展し現在に至っています。
この台温泉に唯一存在する日帰り入浴施設が今回紹介する「精華の湯」です。建物はもともと新日鉄釜石の保養所だったそうですがこれを改装増築し、正面向かって右側を日帰り入浴施設として、また左側をお蕎麦屋さんとして営業しています。最近オープンした入浴施設にしては珍しく、お風呂は内湯のみの至ってシンプルな構造ながら、浴室は大きなガラス張りなので開放感が得られます。浴槽は二つに仕切られ、熱めと温めに分かれています。お湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、口に含んでみると弱い塩味とたまご味が感じられました。またたまごの匂いが漂い、特に湯口付近ではそれがはっきりと確認できます。お湯の中では白い湯の華が沢山浮遊していました。
上述のように嘗てこの温泉地は栄えていたそうですが、今では廃業した旅館も目立ち、どこか寂しげな空気が漂っています。しかし谷間に建ち並ぶ昔ながらの木造の建物を眺めてそぞろ歩きしながら、湯上りの火照った体を冷まして情緒に浸れば、のんびりと落ち着いた時間を過ごせることと思います。
谷間の狭い道沿いに軒を並べる温泉街
散策中に見つけた源泉 硫黄の匂いが強く漂う
「精華の湯」と棟続きになっているお蕎麦屋さん「かみや」の蕎麦
「六合引きのそばの芯粉100%でつなぎなしの手打ちそば」だそうです
落ち着いた雰囲気の部屋で頂け、そばの香りが佳くとても美味でした
含硫黄・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
95.8℃ pH8.2 56L/min
JR東北本線・花巻駅より岩手県交通バス・台温泉行バスで終点下車
岩手県花巻市台2-56-1 地図
0198-27-2426
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路線バス時刻表
6:00~22:00
500円
私の好み:★★