あけましておめでとうございます。
2018年も皆様の湯巡りがより一層楽しく心を満たすものとなりますよう心よりお祈り申し上げます。
本年も何卒宜しくお願い致します。
新年最初の記事は、山梨県からスタートさせていただきます。
2017年の某日、私は石和温泉の銘湯「深雪温泉」で宿泊致しました。以前拙ブログでは立ち寄り入浴で、館内に複数ある浴室のうち「柿の湯」だけを利用しましたが(以前の記事はこちら)、今回は宿泊することでもうひとつの大浴場である「ももの湯」にも入ることができましたので、今回記事では「ももの湯」と「柿の湯」に関して触れてまいります。なお、今回の記事では都合により客室のご紹介や画像はございません。また貸切風呂の「ぶどうの湯」は利用しておりませんので、こちらに関しても今回の記事では取り上げません。あしからずご了承ください。
●ももの湯
館内にある二つの大浴場「柿の湯」と「ももの湯」は、時間帯によって男女の暖簾を替えており、宿泊することで両方に入れます。私が泊った日は、19時頃に暖簾替えが行われ、夕方までと翌日の早朝からの2つの時間帯で「ももの湯」が男湯に設定されていましたので、チェックインした直後はまず「ももの湯」から入ってみることにしました。1階の玄関フロントから奥へ伸びる廊下を歩き、左に折れて進んでゆくと、離れのような感じの棟に大きな暖簾がさがっていました。
脱衣室は以前の記事で取り上げた「柿の湯」よりも広いのですが、浴室に関してはほぼ同等の広さを有し、しかも若干こちらの方が新しいように思われます(私の勘違いでしたらごめんなさい)。モール臭やタマゴ臭に満たされた浴室内には大きな浴槽がひとつ据えられ、壁に沿って洗い場が配置されています。洗い場にはシャワー付きカランが5基並んでおり、自家源泉の豊富な湯量を活かすべくカランから出てくるお湯は温泉です。備え付けの桶や腰掛けにはダークブラウンの木工品が採用されており、色調の統一と旅館に相応しい重厚感の醸成が図られています。またカラン同士の設置間隔が広いので、隣のお客さんを気にせず使えるのがうれしいところです。
「完熟の湯」と銘打たれている内湯の湯舟。20人近く同時に入っても余裕がありそうなこの大きな浴槽は、周囲を木材で縁取られており、見た目に優しさとぬくもりをもたらしています。
内湯浴槽の角に設けられた湯口からはちょっぴり熱めのお湯が吐出されています。こちらのお宿では、ちょっと熱めの1号泉と、少々ぬるい2号泉という2つの源泉を所有しており、両方をミックスさせることで温度調整しているのですが、壁に埋め込まれているプレートによれば、この角の湯口から出ているお湯は1号泉のようです。
角の湯口と対称位置に、もうひとつの湯口があります。桝のような形をした石造りのこの湯口からはぬるいお湯が浴槽へ注がれていましたので、おそらく2号泉ではないかと思われます。また浴槽とは別に、室内では2号泉が蹲踞に落とされる飲泉場が設けられていました。
「ももの湯」にも露天風呂があるのですが、広くて非日常感たっぷりだった「柿の湯」の露天風呂とは対照的に、こちらは明らかに小さく、「柿の湯」の半分程度しかありません。また四方を塀で囲まれているため閉塞感も否めません。でも日本庭園風の設えのおかげで雰囲気は良く、一旦湯舟に浸かると細かなことなど気にならなくなり、後述する豊富な湯量も相まって、寛ぎの湯浴みを味わうことができました。
2つの湯口からお湯が供給される内湯と異なり、露天の湯口はひとつしかありませんが、そこから吐出されるお湯の量は多く、適温のお湯がドバドバと浴槽へ注がれていました。そして浴槽から溢れ出るオーバーフローは川をなして庭園の中を流れていました。湯口から吐出されるお湯は、おそらく1号と2号の混合ではないかと推測されます。豊富な湯量、そして絶妙な湯加減のおかげで、私はこの露天に浸かりながら思わずまどろんでしまいました。素晴らしいお風呂です。
●柿の湯
さて、続いては以前の記事でも取り上げた「柿の湯」です。
こちらの内湯でもモール臭とタマゴ臭が漂っていました。私はこの手の湯の香が大好きなので、思わず鼻を鳴らしてクンクンと嗅いでしまいます。お風呂の造りや様子などは以前の記事と変わっていません。室内にはワインレッドの石材で縁取りされた大きな浴槽が据えられているほか、壁側には洗い場が配置され、源泉のお湯が出るシャワー付きカランが7基並んでいます。
縁に赤御影石、槽内に鉄平石のような石板が採用されている内湯の浴槽。大きさは(目測で)3m×9mというゆとりのサイズです。「ももの湯」と同じく2つの源泉をそれぞれ別の湯口から浴槽へ注いでおり、浴槽内でミックスさせることで湯加減の調整が図られています。そして湯量も豊富であり、浴槽縁の全辺から大量のオーバーフローが波を立てながら流れ落ちています。なんとも贅沢な湯使いです。
「柿の湯」であっぱれなのは、菱型を縦に2つ重ね合わせたような形状をしているこの大きな露天風呂でしょう。周辺は市街地であるため景色は望めませんが、庭園風の落ち着いた設えですし、空間自体も広いので、時間を忘れてゆっくりのびのびと湯あみするには最高な環境です。以前の記事でも申し上げましたが、奥側の槽の縁に設置されている丸太の枕に頭を載せると、いい具合に体が安定するので、もしこの記事をご覧の方で、これからこのお風呂に入ろうとなさっている場合は是非お試しあれ。
露天風呂にも2つの湯口があり、それぞれ筧からお湯が落とされています。タイプが異なる2つの源泉の個性を大切にしているんですね。もちろん湯量は豊富。大量のオーバーフローは川をなしていました。
湯船のお湯はほぼ無色透明ですが、やや琥珀色を帯びているように見えます。湯中では白や黒、糸くず状や羽根状など、いくつかのタイプの湯の華がチラホラと舞っています。浴槽によって多寡に違いはありますが、湯中の肌には気泡が付着します。肌に伝わる浴感はモール泉を薄くしたようなもので、甲府盆地のいろんな名泉に比べると聊かツルスベが弱いのですが、それでも滑らかな肌触りは飽きが来ず、泡付きとあいまって優しく全身を包み込んでくます。湯加減と滑らかな浴感は長湯向き。しかも大量掛け流しですから鮮度感も良好。決して熱いわけではないのですが、長湯のおかげか不思議なことに温まりが結構強く、湯上がりは体の芯から温まって、長時間ポカポカし続けます。
今回宿泊して何度もお風呂に入り、こちらのお湯の良さを改めて実感させていただきました。
1号源泉(完の湯)
単純温泉 50.8℃ pH8.2 573L/min
2号源泉(熟の湯)
アルカリ性単純温泉 pH8.50 36.0℃ 842L/min
JR中央本線・石和温泉駅より徒歩7分(600m)
山梨県笛吹市石和町市部822 地図
055-262-4126
ホームページ
日帰り入浴10:00~15:00(受付14:00まで)
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
2018年も皆様の湯巡りがより一層楽しく心を満たすものとなりますよう心よりお祈り申し上げます。
本年も何卒宜しくお願い致します。
新年最初の記事は、山梨県からスタートさせていただきます。
2017年の某日、私は石和温泉の銘湯「深雪温泉」で宿泊致しました。以前拙ブログでは立ち寄り入浴で、館内に複数ある浴室のうち「柿の湯」だけを利用しましたが(以前の記事はこちら)、今回は宿泊することでもうひとつの大浴場である「ももの湯」にも入ることができましたので、今回記事では「ももの湯」と「柿の湯」に関して触れてまいります。なお、今回の記事では都合により客室のご紹介や画像はございません。また貸切風呂の「ぶどうの湯」は利用しておりませんので、こちらに関しても今回の記事では取り上げません。あしからずご了承ください。
●ももの湯
館内にある二つの大浴場「柿の湯」と「ももの湯」は、時間帯によって男女の暖簾を替えており、宿泊することで両方に入れます。私が泊った日は、19時頃に暖簾替えが行われ、夕方までと翌日の早朝からの2つの時間帯で「ももの湯」が男湯に設定されていましたので、チェックインした直後はまず「ももの湯」から入ってみることにしました。1階の玄関フロントから奥へ伸びる廊下を歩き、左に折れて進んでゆくと、離れのような感じの棟に大きな暖簾がさがっていました。
脱衣室は以前の記事で取り上げた「柿の湯」よりも広いのですが、浴室に関してはほぼ同等の広さを有し、しかも若干こちらの方が新しいように思われます(私の勘違いでしたらごめんなさい)。モール臭やタマゴ臭に満たされた浴室内には大きな浴槽がひとつ据えられ、壁に沿って洗い場が配置されています。洗い場にはシャワー付きカランが5基並んでおり、自家源泉の豊富な湯量を活かすべくカランから出てくるお湯は温泉です。備え付けの桶や腰掛けにはダークブラウンの木工品が採用されており、色調の統一と旅館に相応しい重厚感の醸成が図られています。またカラン同士の設置間隔が広いので、隣のお客さんを気にせず使えるのがうれしいところです。
「完熟の湯」と銘打たれている内湯の湯舟。20人近く同時に入っても余裕がありそうなこの大きな浴槽は、周囲を木材で縁取られており、見た目に優しさとぬくもりをもたらしています。
内湯浴槽の角に設けられた湯口からはちょっぴり熱めのお湯が吐出されています。こちらのお宿では、ちょっと熱めの1号泉と、少々ぬるい2号泉という2つの源泉を所有しており、両方をミックスさせることで温度調整しているのですが、壁に埋め込まれているプレートによれば、この角の湯口から出ているお湯は1号泉のようです。
角の湯口と対称位置に、もうひとつの湯口があります。桝のような形をした石造りのこの湯口からはぬるいお湯が浴槽へ注がれていましたので、おそらく2号泉ではないかと思われます。また浴槽とは別に、室内では2号泉が蹲踞に落とされる飲泉場が設けられていました。
「ももの湯」にも露天風呂があるのですが、広くて非日常感たっぷりだった「柿の湯」の露天風呂とは対照的に、こちらは明らかに小さく、「柿の湯」の半分程度しかありません。また四方を塀で囲まれているため閉塞感も否めません。でも日本庭園風の設えのおかげで雰囲気は良く、一旦湯舟に浸かると細かなことなど気にならなくなり、後述する豊富な湯量も相まって、寛ぎの湯浴みを味わうことができました。
2つの湯口からお湯が供給される内湯と異なり、露天の湯口はひとつしかありませんが、そこから吐出されるお湯の量は多く、適温のお湯がドバドバと浴槽へ注がれていました。そして浴槽から溢れ出るオーバーフローは川をなして庭園の中を流れていました。湯口から吐出されるお湯は、おそらく1号と2号の混合ではないかと推測されます。豊富な湯量、そして絶妙な湯加減のおかげで、私はこの露天に浸かりながら思わずまどろんでしまいました。素晴らしいお風呂です。
●柿の湯
さて、続いては以前の記事でも取り上げた「柿の湯」です。
こちらの内湯でもモール臭とタマゴ臭が漂っていました。私はこの手の湯の香が大好きなので、思わず鼻を鳴らしてクンクンと嗅いでしまいます。お風呂の造りや様子などは以前の記事と変わっていません。室内にはワインレッドの石材で縁取りされた大きな浴槽が据えられているほか、壁側には洗い場が配置され、源泉のお湯が出るシャワー付きカランが7基並んでいます。
縁に赤御影石、槽内に鉄平石のような石板が採用されている内湯の浴槽。大きさは(目測で)3m×9mというゆとりのサイズです。「ももの湯」と同じく2つの源泉をそれぞれ別の湯口から浴槽へ注いでおり、浴槽内でミックスさせることで湯加減の調整が図られています。そして湯量も豊富であり、浴槽縁の全辺から大量のオーバーフローが波を立てながら流れ落ちています。なんとも贅沢な湯使いです。
「柿の湯」であっぱれなのは、菱型を縦に2つ重ね合わせたような形状をしているこの大きな露天風呂でしょう。周辺は市街地であるため景色は望めませんが、庭園風の落ち着いた設えですし、空間自体も広いので、時間を忘れてゆっくりのびのびと湯あみするには最高な環境です。以前の記事でも申し上げましたが、奥側の槽の縁に設置されている丸太の枕に頭を載せると、いい具合に体が安定するので、もしこの記事をご覧の方で、これからこのお風呂に入ろうとなさっている場合は是非お試しあれ。
露天風呂にも2つの湯口があり、それぞれ筧からお湯が落とされています。タイプが異なる2つの源泉の個性を大切にしているんですね。もちろん湯量は豊富。大量のオーバーフローは川をなしていました。
湯船のお湯はほぼ無色透明ですが、やや琥珀色を帯びているように見えます。湯中では白や黒、糸くず状や羽根状など、いくつかのタイプの湯の華がチラホラと舞っています。浴槽によって多寡に違いはありますが、湯中の肌には気泡が付着します。肌に伝わる浴感はモール泉を薄くしたようなもので、甲府盆地のいろんな名泉に比べると聊かツルスベが弱いのですが、それでも滑らかな肌触りは飽きが来ず、泡付きとあいまって優しく全身を包み込んでくます。湯加減と滑らかな浴感は長湯向き。しかも大量掛け流しですから鮮度感も良好。決して熱いわけではないのですが、長湯のおかげか不思議なことに温まりが結構強く、湯上がりは体の芯から温まって、長時間ポカポカし続けます。
今回宿泊して何度もお風呂に入り、こちらのお湯の良さを改めて実感させていただきました。
1号源泉(完の湯)
単純温泉 50.8℃ pH8.2 573L/min
2号源泉(熟の湯)
アルカリ性単純温泉 pH8.50 36.0℃ 842L/min
JR中央本線・石和温泉駅より徒歩7分(600m)
山梨県笛吹市石和町市部822 地図
055-262-4126
ホームページ
日帰り入浴10:00~15:00(受付14:00まで)
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★