奥会津の山間なのに塩辛い温泉に入れる古町温泉「赤岩荘」へ再訪しました。拙ブログの初期にも取り上げております(前回の記事はこちら)。トマト栽培のビニルハウスがたくさん並んでいる旧伊南町エリア(現南会津町)の伊南川畔にあり、国道401号沿いには看板も立っているので、近くまで行けばカーナビ無しでも迷わずたどり着けるでしょう。
お菓子などの食品類が陳列されている窓口は食堂の受付も兼ねているようです。この時はちょうど調理に取り掛かろうとしていたスタッフさんに声をかけて料金を支払ったのですが、600円という料金設定にちょっとビックリしちゃいました。あれれ?そんなに高かったっけ? そう不思議に思って過去の記録を調べたら、前回訪問時も同額でした。600円のうち150円は入湯税なんだそうですが、150円って一般的には宿泊利用時の課税額ですよね。入湯税の課税額は市区町村が各自で決められるので、南会津町がそう決めているなら仕方ありませんが、一時利用と宿泊利用で税額を区分している自治体もたくさんありますから、懐具合が厳しいのは重々承知ですが、南会津町の役場や議会の皆さん、どうか外来者が利用しやすい税額へ改訂してもらえませんか…。
前回訪問時と同様、館内の休憩室(お座敷)前には温泉を掘削した地層の図説や地質標本が展示されていました。地下700mに分布する花崗岩層から53℃のお湯を毎分152リットル汲み上げているんだそうです。
●内湯
お風呂は内湯と露天がありますので、まずは内湯から入ってみました。
室内にはシャワー付き混合水栓が2基設置されており、6人サイズの浴槽がひとつ据えられています。一見するとごくごく普通の内湯に見えますが、画像に見切れている赤茶色に染まった床がただものではないことを伝えていますね。
バルブが取り付けられた温泉の配管は湯面下へ潜り、槽内でボコボコと音や泡を伴いながらお湯を吐出しています。バルブを少しでも開けるとボコボコと勢い良く出て、間欠的にドカンと噴き上がるので、はじめのうちはその勢いにビックリしちゃいました。
このお湯は50℃以上ある100%源泉でして、お湯だけですと熱くて入れませんから、バルブで投入量を加減したり、加水するなどして、各自で湯加減を調整します。この時は先客のお爺さんが絶妙な温度に調整してくださったお陰で、何の面倒も無く入ることができました。
前回の記事でも紹介しましたが、こちらのお湯は金気と塩気の濃さが特徴的でありまして、お湯を口にすると塩辛い味と赤錆系の金気味で口腔内が占められ、金気臭や僅かな硫化水素っぽい匂いが、そして少々の土気も含まれているように感じられました。また見た目については、若干緑色を帯びた黄土色に濁っており、底は目視できませんが、ステップの石板の目地は確認できる程度の透明度を有していました。
湯使いはれっきとした放流式であり、縁から溢れ出たお湯は床を流れてゆく間に析出を形成し、浴槽周りの広範囲にわたって千枚田のような細かいデコボコができあがっていました。
●露天風呂
露天風呂を利用するには一旦着替えて内湯を出て、廊下を歩いて奥へと歩きます。
露天風呂の脱衣所は掘っ立て小屋然としており、棚にカゴが置かれているだけの至って質素なものですが、ちゃんと扇風機やドライヤーが用意されており、観光で利用する外来者のニーズにしっかり応えていました。
露天風呂は比較的広いスペースが確保されているものの、周りを目隠しの塀で囲っているため、伊南川両岸に連なる山の稜線は眺められますが、周囲の景色を楽しむことはできません。塀の中の小さな庭に二分割された岩風呂風の浴槽が据えられているような造りです。なお露天風呂にも洗い場があり、シャワーには凍結防止の電気ヒーターが巻きつけられていました。ということは豪雪に埋もれる真冬でも、この露天のシャワーを使うってことか?
上述のように浴槽は二分割されており、露天におけるお湯は女湯との仕切りの間にある湯口から男女双方へ分配されながら奥側の槽へ落とされ、そこから手前側の槽へ流れ、そして手前側槽の縁より脱衣室下への排水口へ向かって溢れ出しています。石積み投入口の湯は加水されていない50℃以上の源泉100%ですから、そのお湯が直接落とされている湯口側(奥)の槽ではあまりの熱さゆえに入浴が躊躇われましたが、奥側からのお湯を受けている手前側浴槽のお湯は良い塩梅に自然冷却されて適温となっていました。
湯口が石を伝って落ちてゆく流路は赤黒い鱗状の析出が形成されており、お湯が湯面に落ちるところでは泡立っています。内湯と同じ源泉を利用しているはずですが、外気に触れて鉄分が酸化するためか、内湯と異なって赤みが強く、濃い赤銅色あるいはブラッドオレンジジュースのような色に強く濁っています。味や匂いは内湯とほぼ同様ですが、酸化が進んでいるためか赤錆感は露天の方が明瞭に現れているようでした。
濃い食塩泉ですから、長湯は禁物ですし、湯上がりも相当火照っていつまでも汗が引きません。お湯の凶暴さは会津随一でしょうね。厳冬期に入ればいつまでもポカポカが持続することでしょう。濃厚なお湯を屋内と露天で存分に楽しめ、しかもコンディションによってお湯の状態が異なることを体感できる、実に面白い温泉です。
ナトリウム-塩化物温泉 53.1℃ pH6.5(※) 152L/min(動力揚湯) 溶存物質15790mg/kg 成分総計15900mg/kg
Na+:5103mg(84.92mval%), Mg++:115.4mg(3.64mval%), Ca++:472.8mg(9.02mval%), Sr++:24.5mg, Fe++:4.3mg,
Cl-:8520mg(91.53mval%), Br-:21.6mg, I-:2.7mg, SO4--:320.4mg(2.54mval%), HCO3-:922.6mg(5.76mval%),
H2SiO3:19.4mg, HBO2:98.4mg, CO2:110.0mg,
(※)実験室における数値
福島県南会津郡南会津町古町太子堂186-2 地図
0241-76-2833
ホームページ
9:30~20:00 水曜定休
600円(うち150円は入湯税)
ロッカー(100円)・シャンプー類(内湯のみ)・ドライヤーあり
私の好み:★★★