Okanagan's Twilight Days

人生の黄昏を迎え、日々の出来事を徒然のままに綴っています(*^_^*)

新・花燃ゆ、第29話“女達の園!~後編” 2015年7月21日

2015-07-21 10:39:21 | 日記・エッセイ・コラム

益田氏の支流から代々毛利に仕えた周布家の家督を幼くして継いだ周布政之助は、長州の朝敵・幕府の征討への全ての責めを負い、己を投げ打(う)り、“はなむけの礎(いしずえ)”となって、元治元年(1864)9月、湯田温泉の近くの屋敷で、割腹・自刃(じじん)した、享年42歳の若さだった!その訃報は、伊之助の妻・寿から大奥の美和のもとにも届いた、その時、美和は人の命の虚しさを、直ぐにでも追及しとうなって、鞠と同席して病床の国島に尋ねた「どうか私をお導き下さりませ、皆様の誇りとは一体何なのか?誇りとは?死を辞さぬほどの思いとは、どの様なものか?わたくしも見詰めてみたいのです!」・・・

国島『この奥の中でか?・・・』、国島は返答に困った、はい!、その時、鞠が美和を嗜(たしな)めた「勝手はお控えください、城移りが近づいております!」、鞠様!、「誇りなど知らずとも、お役目は果たせます!呉服問屋の侍女に生まれ、武家の養女となって、奥に参りました、おなごが己の才覚で出世できるのは、奥勤めしか御座いませぬ!わたくしは、ここで出世がしたいのです!」、美和「出世なら、わたくしもしとう御座います、何時か、お殿様の前で、お尋ねしたいのです!彼等は何故?何のために?この命を生きているのかと?亡くなった者達の代わりに、必ず!そのためだけに、全てを棄て、ここへ参ったので御座います!どうか、お力を!」・・・

国島『うっふふふふふ・・・ほほほほほ・・・、相分かった!二人とも、思いは違えど、生涯を奥で暮らすその覚悟!変わりは無いな!』、はい!、はい!、・・・国島は二人を蔵へ連れて行き丁寧に案内した、『こちらが御婚礼の折、使われたお道具じゃ、日々の器やお道具は、荷の部屋や、ご善処に配されてある、よって、ここにあるお道具は、使われることは、まず、ない!使われるかどうか分からぬ道具を、展示する日々が哀れと思うか?それは真の喜びを知らぬ愚か者じゃ!時によって、これらは姿を変える!光の加減で輝き、時が経てば、触れずとも、ひびが入る!これらも生きて居るのじゃ、この蔵の中でのう!近頃よう夢を見る、幸せな夢じゃ!これらが再び、日の本で使われている、皆の手の中で、温もっている、何故だろう?何故かそこには私も居て、次に生きる命は、あっ!ここかと、ほほほ、笑っている!』、小生、人が抱く誇りより、国島が器に寄せる愛しさの深さを観た・・・

舞台は一転して京の辰路と幾松のもとに飛んだ、辰路が久坂の男の子を産んでいた、幾松が嬉しそうにそのヤヤをあやしていた、辰路「うち、この子のためやったら、何でもしてやりとうおす、何時か萩の街も見せてやりたい、久坂さんの奥さん、文さんと言いやりましたな、今頃、どうして、おいやすやろ?何や、この子に繋がるお人が他にも居るんやと思うたら、頼もしいような、懐かしいような、おうたことも無いのに?」・・・この頃、美和は鞠と共に働き、蔵で眠る愛しい調度品たちの棚卸が佳境に入っていた・・・

美和と鞠は、城移りの次第が大方整ったと、朝の惣触れで、御前様に報告した、都美姫『述べてみよ!』、美和 「はぁ、その前に、一つお願いが御座います、お納戸に御座います御前様、銀姫様のお道具、これを出来る限り、御売り払い頂きたいので御座います!」、場がざわついた、銀姫『あっははははは・・・面白いことを言う!私の道具を売れと申すか?』、何と言う無礼な!、銀姫『述べてみよ!』、美和「江戸から運ばれた箪笥、長持や多くのものが、使われないまま、ただ、お納戸にしまわれて御座います!これらを、しかるべき筋を通して、払い下げ頂きたいのです!城の物とあれば、相応の値も付き、買い手も現れましょう!」・・・

都美姫『あれらはただ悪戯(いたずら)にしまわれているのではない!城には体面も飾りもいる、権威とは欠かせざる城の宝である!』、園山『御蔵番の国島殿も許されるはずが無かろう!』、美和「国島様には既にお許しを!」、えっ、国島様が?ざわざわざわ・・・美和「次の命に生かすもまた、奥で生きた誇りであると!その為ならば、喜んで力を尽くそうと!」、売った金子(きんす)を如何する?、銀姫『皆んで商いでも始めるか?』、めめ!、美和「病いのもの、老いたもの、萩へ参るが難儀な者達に全て与え、相応の屋敷と人を配して、山口に残します!手厚く持て成された者らは、生涯お家に尽くしましょう!使われんかった品々も、日の本でまた、大勢の人の目を楽しませましょう!真心を尽し、誠を貫けば、必ずや人の心は動きます!お家の繁栄は、知性の先にあると、そう信じる者に御座います!」・・・

知性!?、(松陰が愛した知性じゃ)大奥が静まり返った、都美姫『よう、分かった!お前の算段はそれで良い!しかしながら、それでも萩の城には全ておさまるまい!その先を如何考えるか?』、美和「それは・・・」言葉に詰まった、銀姫が口火を切ってくれた『わたしの女中を下がらせましょう!皆が皆、奥勤めに満足しているわけではありませぬ!江戸から山口に参り、これ以上、鄙(ひな、田舎)へ参るのが、嫌だと申す者もおりましょう!これを機会に、その様なものを、わたくしの部屋から下がらせます!勿論、十分に手当てして!』、銀姫様!(偉い!)、都美姫『ならば、わたくしも!姫のその心がけに習い、わたくしも勤めるものを控えることに致そう!』、御前様!御前様!・・・、大儀であった!(ええ奥方ばかりじゃ(ノД`)・゜・。)・・・

ほどなく、城は山口から萩へ戻されることとなった、萩でのまつりごとの実権を握ったのは、椋梨藤太であった!伊之助、晋作等の改革派は一掃され、城は幕府恭順派一色で塗り潰された!・・・一方、幕府軍は総勢15万の兵で長州を五方から取り囲み、総攻撃の機を覗っていた!幕府の長州征討の参謀であった薩摩藩士・西郷吉之助との話し合いが、椋梨同席のもと、岩国で、岩国藩主・吉川経幹(きっかわ つねまさ)の間で行われた!西郷『毛利家が謝罪する姿勢を見せれば、幕府も攻撃を止めもんそう!』、吉川『謝罪の姿勢とは、どのような?』、西郷『三人の家老の首を差し出すちゅうとは、どげんごあんそうか?そいと、動乱を煽(あお)った他のもんの処分がごあんど!』・・・

西郷『桂小五郎!高杉晋作!そんもん等の始末も、早急に!』、椋梨「受け賜りました!」・・・この後、長州藩内に粛清(しゅくせい)の嵐が吹き荒れることになる!・・・その頃、晋作と妻・雅の間にも男の子が誕生していた、雅とややこは晋作の実家である高杉小忠太の御屋敷で暮らしていた、妻の雅は義父母の世話をしながら育児に追われていた、久しぶりに実家に戻った晋作は「わしは多くの者らに助けられ、ここまで生きてきた、お前はそれらの者の分まで、生きらにゃいかん!父も生きる!」我が子との名残りを惜しんだ後、その夜を境に、高杉晋作は姿を消した!・・・ 

萩城の大奥では、椋梨とその妻、美鶴が「お待ち申しあげて居りました!」と山口藩庁・中河原邸 “五十鈴御殿 ” から引っ越してきた大奥一行を迎えた、『大儀である!』、美鶴「新しくお仕えする女達に、皆、揃って御座いますれば!」、新しい??、障子が開けられますれば!何と!華やかなべべを着た、若くてピチピチの超美人揃いの御側室・綺麗処が敬親?と元徳のため、20名ほどが勢揃いして居った!増えとる!ここまで知恵が回らんかった!美和らが奮戦したリストラの苦労が水の泡と消えた!うぬ、国島も、鞠までグルではあるまいな?都美姫『これは華やかな!萩の紅葉が一気に訪れたような!新しい住まいで、お世継ぎの顔を観ることが出来れば、これ以上の喜びは無い!元徳のお世話を宜しく頼みまする!』と澄ました顔して去って行った!・・・

何も聞かされてなかった老女・潮(うしお)があきれ顔で言った『女中の宿下がりとは、このために!新しい女達を城に招き入れるために!』、子宝に恵まれぬ銀姫は、自分を責め、泣きながら、その場を走り去った!騙された思いの美和は都美姫と園山等の後を追った、美和「お待ちください!」、園山『無礼な!又お前か!』、「お聞かせくださいませ!御女中の方々に、暇乞いを急(せ)かしたんは、新しい女達を召しい出すためで御座いますか!?」、都美姫『そうじゃ!我等が何のために萩に参ったと思う?この長州の危機を生き延びるためじゃ!表では、この毛利家を残すために、日々まつりごとがなされ、殿や多くの家臣が身を削り働いて居る!我等もまた同じ!お世継ぎを産み、育て、毛利家を守らねばならぬ!それこそが我等の誇り!心せよ!』、誇りじゃと?大奥の誇りとはこんな、つまらんことか・・・

蚊帳の外に置かれた銀姫は『お前の所為(せい)で、とんだ恥をかいた!よもや、殿の側室を増やすために、己の女中に暇乞いまでさせるとは!何と申し開き致す!?』と美和に八つ当たりした、「申し訳御座いませぬ!この様な事になろうとは、つゆ知らず!」、『許さん!』銀姫の憎しみは誰に向けられていたのか?小生が察すれば、恐らく姑・都美姫ではなかろうか?女の恨み、いと恐るべし!・・・正直、こんなことに付き合ってられんわ!えらいことに首を突っ込んでしもた!余りにも世界が懸け離れている、理解に苦しむ・・・

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新・花燃ゆ、第29話“女達の... | トップ | 日本人10人目、油井宇宙飛... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの最新記事