“イーハトーヴ交響曲”に秘められた富田勲の熱い思い！～その１☆ ２０１３年２月４日

今朝目覚めると、もやもやだった頭の中がスッキリしていた！身体の中からは、みなぎるエネルギーを感じた！やっと風邪との闘いから開放された、今夜は風呂に入るぞ！しかし昨夜の小生はまだ病魔と闘っていた、昨夜１０時から始まったETV特集“音で描く賢治の宇宙～冨田勲×初音ミクの異次元コラボ～”をまだ朦朧（もうろう）とウトウトしながら観ていた！恐らく半分寝ながら見ていたのだろう、今朝、HDD録画を改めて神聖な気持ちで見直した！・・・

半世紀に渡って日本の日本の音楽界をリードしてきた作曲家、冨田勲（８０歳）氏がこの度、集大成となる“イーハトーヴ交響曲”を発表した！その曲には“雨ニモマケズ”、“銀河鉄道の夜”、“注文の多い料理店”や“風の又三郎”など宮沢賢治にまつわる詩や物語が散りばめられ、独特の世界が広がっていた、冨田さんは長年、少年の頃、よく耳にしていた宮沢賢治の世界を描きたいと思い続けてきた、その世界を表現するため、冨田さんがソリストに選んだのが、歌うCGキャラクター“初音ミク”だった！・・・

初音ミクはパソコンで創られた異次元アイドルとして今や爆発的人気を誇っているようだ、冨田さんは初音ミクならばオーケストラとシンセサイザーが融合して、賢治の不思議な世界感を表現できると考えた、しかし、その実現までには様々な壁があったが、冨田さんはくじけなかった、『これまでにない作品を是非作りたい、今、この技術をここで確立しておかなければ！』との熱い思いがあった、その背景には冨田氏はある東北に住む知人と交わしたある約束があった！・・・

冨田氏はその知人から“雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ、丈夫な身体を持ち、慾はなく、決して怒らず、いつも静かに笑っている、一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ、あらゆることを、自分を勘定に入れずに、よく見聞きし分り、そして忘れず・・・ ” と続いていく賢治の“雨にも負けず”の詩に曲をつけて欲しいと頼まれていた、『東北の被災者達が、この曲を聴いて、がんばってくれたら嬉しいです！』と“霊峰・岩手山の大鷲”に託した熱い願いが冨田氏を奮い立たせた！・・・

２０１２年１１月２３日（金）東京渋谷区初台（はつだい）にあるクラシックの殿堂・東京オペラシティは普段とは違う熱気に包まれていた！会場周辺には“チケット譲ってください！”の表記を持った人が目立っていた、１５００枚のチケットは早々完売していた、宮沢賢治をテーマにバーチャル・シンガーの初音ミクがオーケストラと共演する！？一体どんな音楽が生まれるのか？大きな期待が集まっていた！・・・

やがて拍手がホールいっぱいに響き渡り、指揮・大友直人、管弦楽団・日本フィルハーモニーによる“イーハトーヴ交響曲（引用曲：風の又三郎〔杉原泰蔵〕、フランスの山人の歌による交響曲〔ダンディ〕、交響曲第２番から第３楽章〔ラフマニノフ〕）が、１楽章：岩手山の大鷲、２楽章：剣舞・星めぐりの歌、３楽章：注文の多い料理店、４楽章：風の又三郎、５楽章：銀河鉄道の夜、６楽章：雨ニモマケズ、７楽章：岩手山の大鷲”の順で演奏されていった、へ～～え、第７楽章までもあったんだ！・・・

まず冨田は第１楽章：岩手山の大鷲を、賢治が作詞・作曲した“種山ヶ原の牧歌”を“シンフォニーヒルズ少年少女合唱団”が奏でて、この交響曲の幕明けを飾った！この交響曲は冨田勲が少年時代から聴いていた賢治のイメージと重なる名曲を夢の形にしたものになっていた、また賢治が作曲した歌が大胆にコラージュされた壮大な作品となっていた、客席で冨田氏は目をつぶり、うなずきながら聴いていた、やがてダンディ作曲“フランスの山人の歌による交響曲第１楽章”の旋律が溶け込んでいった！・・・

突然、太鼓とラッパと笛の音が鳴り響き軽快な第２楽章：剣舞（けんばい）／星めぐりの歌へ進んで行った、そして次々と賢治の詩と物語が展開していった、ここでは“慶応義塾ワグネル・ソサイティ男性合唱団／同OB合唱団”と、“聖心女子大学グリークラブ”が加わり、やぁ！おぅ！やぁ！おぅ！やぁ！おぅ！やぁ！おぅ！と威勢の良い掛け声が入った！あたかも賢治が愛し、詩に詠んだ岩手の郷土芸能“剣舞（けんばい）”の風景が再現されたかのようだった！・・・

そして宮沢賢治の詩“原体剣舞連”が歌い上げられていった、“夜風とどろき、ヒノキは乱れ、月は射そそぐ銀の矢並み、打つも果てるも、花火の命！やぁ！やぁ！やぁ！やぁ～～！やっや！やぁ～～！躍動感に溢れた冨田ワールドの音楽は、あたかも岩手山の雪解け水のように勢いよく軽快に流れていくようであった！・・・