Okanagan's Twilight Days

人生の黄昏を迎え、日々の出来事を徒然のままに綴っています(*^_^*)

新・花燃ゆ、第28話“泣かない女!~後編” 2015年7月13日

2015-07-13 12:55:54 | 日記・エッセイ・コラム

その頃、京には、危機を逃れ、生き延びようとする者達が居た、、人足(にんそく)の身なりに扮した長州藩・京都留守居役、桂小五郎と、久坂の死を知らされた身重の辰路が三条大橋の袂で逢っていた、そして桂は何かと辰路の力になっていた、これからは芸子の幾松を頼って行けばなんとかなる、気が強いが裏が無い幾松なら、決して悪いようにはしない、頼って行け!そこへ「そこで何をしておる?」新撰組に見つかったが、桂が張り巡らした仕掛けが功を奏して、新撰組から逃げ伏せた、「久坂のヤヤの命を頼む!」と桂は辰路に別れ告げ、闇夜の中に消えて行った!・・・

下関に着いた文と鞠(まり)は 、攘夷派と奇兵隊が潜伏していそうな、とあるお寺のお堂を訪ねた、奥から次々男たちが現れて、二人を取り囲んだ、「お主等は誰じゃ?」、お城よりの使いのものに御座います!使い?誰からの?そこに「お文さん!」同郷の野村靖と品川弥太郎らが現れた!品川が「三田尻で飯を作ってもろたじゃろう!」文を皆に紹介した、皆は、高杉を探しているが消えてしもた!と文に伝えた、高杉は最初の交和を終えた後、イギリス艦からそのまま消えてしもうた!わし等の邪魔を恐れて藩が高杉を隠したようじゃった!交和の談判は既に始まっていた!文が描いていた見習いから正式な奥勤めへの夢が薄らいでゆく・・・

そこには高杉も役人も居らず、他を当たり高杉を捜し出し、交和を止めさすと連中は息巻いた、文『待ってつかわさい!』、野村が訊いた「そう言えば、お文さんは何故ここに?」、『わたしは・・・』文は言葉に詰まった、ご免!奇兵隊の中原が文の背負っている包みを検(あらた)めようとした、すると鞠が中原の手を獲ってねじ上げた!何をする!、文『この方は御前様のご使者です!』、品川「まさか、異国に渡す御前様からの貢物ではないでしょうね?」、野村「見せて下さい、文さん!見せろ!」・・・

何をしとる!そこへ伊之助が駆けつけてきた、兄上!、品川「小田村様、わし等は攘夷に命を懸けちょる!久坂さんが生涯懸けた志しにじゃ!やのに、その妻が!異国との交和に手を貸しちょる!」、伊之助は叫んだ『これは殿からの御命令じゃ!つまらん言い掛かりは止めろ!久坂文を責めるのは、筋違いじゃ!』、野村「殿の御命令じゃと?わし等は藩命で京へ赴き、そして兄は!志しを果たそうとして死んだ!」、品川「高杉は許さん!伊藤も、井上も・・・」、そこへ次々伝令が入って来た「白石邸の近くで伊藤を観たと!」、「大変じゃ!砲台が壊されちょる!」、「異国人たちが次々と!上陸しちょる!」、おのれ~~!・・・

文、鞠と伊之助だけが残された、そこへやって来た役人らに、ここを整えよ!交和のための仕度場じゃ!と伊之助が指示した、文に向かって伊之助が手を差し出して言った「さあ、文、それを!高杉には私から渡しておこう!案ずるな、高杉も伊藤も、確かな場所に隠もうとる!」、文『高杉様に会わせてつかわさい!これを身に着けて頂くために、山口から夜通し歩いて来たんです!高杉さんは何処?御存知なんでしょう!教えて頂けるまで、山口には帰りません!』、伊之助「決して引かぬと云うのか?」、文『このことに、これからの、わたくしが懸っているのです!』・・・

伊之助「奥勤めなどせずとも良い、久坂がそげなこと、喜ぶと思うのか?久坂の分も幸せになって、それがお前に出来る唯一の供養ではないんか?」、文『旦那さんの無念を晴らしたいんです!恨みごとを言うとるんじゃありません!久坂が命を懸けて、動かそうとしたもんを!その先に観たかった景色を、同じように私も観たいと思うてはいけませんか?』、伊之助「城の中から、そう・・・」、文『確かめたいんです、働きます、決めたんです、どうか、高杉さんに取り次ぎを!どうか!』と頭を下げた・・・

高杉をかくまった伊藤利助は高杉に 手こずっていた、高杉『我々を狙う連中はこっちに向かうに違いない!』、晋作と一緒にいると、イギリスで居た時のハラハラ感を今も味わっていると嘆き、利助は芋でも、喰うものを探しに行くと出て行った、高杉が一人寝転がっていると、そこに伊藤ではなく、小忠太から交和用として、預かった五七の桐の紋の着いた礼服を携えた文が一人現れた、文はそれを差出し伝えた『奥より命じられ、これを届けに参りました!』・・・

高杉「これを着て、交和に行けと?」、文『御父上は私の様なものにまで頭を下げられました、お確かめください!』、高杉「お前が奥に入ったと噂に聞いちょったが,誠じゃった、面白い、お前は昔から俺の気に入らんことばかりする、久坂に惚れたんも、その一つじゃ!」、文『久坂のためにはならんと言われました、奥に入るも、交和の助けをするも!』、高杉「人には勝手に言わしちょけ!心の内は、ただ、その者だけが知れば良い!俺も心のままに生きる!聞け、俺は、此度の交和で、ただ負けを認めて頭を下げる積りはないんじゃ!俺は港を開きたい!」・・・

文『港?』、高杉「長州に、異国への大きな窓を開きたい!交和は、そのための糸口になる!」、『長州を開国する?』、「如何じゃ?」、『面白い!異国への窓やなんて!それは大層面白う御座います!』、「じゃろう?異国との本当の戦さはこれからじゃ!交和の談判には、また行く、暴れちゃる!お前も奥で何ぞやらかしてやれ!取り澄ました仕来りや建て前は気にするな!思う存分狂うてやれ!」、はい!、「それも供養じゃ!」・・・

翌日、伊之助は伊達宗成(むねしげ)に会うため伊予の宇和島へ出かけて行こうとしていた、(えっ、仙台藩伊達家の分家ながら、小生の母方の先代が代々重臣を務めた伊達家の血を継ぐ宗成が、何故?伊予に?)、伊達宗成さまはご聡明で、異国との事情にも通じて居った、伊之助は、これからの長州のために力を貸してもらえるよう頼みに行くのだった!文は伊之助に礼を言った『この度は高杉様の事で、ようして頂いて!』、伊之助「決心は変わらぬか?」、はい!・・・

伊之助「これからお前が生きる場所では、お前を守る者は誰もいない!お前を愛(いつく)しむ家族も、共に笑う塾生たちも、せめて、これを!」伊之助は1枚の紙切れを文に渡した、それは大奥での新しい呼び名、美和(みわ)が書かれていた!奥勤めのおなごには、新しい名が要るんじゃろ?三つの輪はお家の御紋じゃ!それにあたり、寅次郎、久坂、そして兄の私が、お前を見守ることにする!、『兄上!』、これはお前への守り刀じゃ!、『ありがとうあんした!』、何時会えるとも知れない二人が別れて行った・・・

元治元年(1864)8月14日、英国海軍“ユーリアラス号”船上で、紋付き袴に烏帽子(えぼし)に身を包んだ高杉は通訳・伊藤利助ともに、再び交和に臨んだ、『賠償金など一切、払うつもりはない!』、高杉は粘り強く交渉を進め、賠償金の支払い、彦島の借用などを退け、実質的に下関を貿易港となる内容の協定を結ぶに及んだ!と、後に、英国公使館通訳、アーネスト・サトウはこう記している!“かのものは魔王のごとく轟然(ごうぜん)と構えていた!” 、この交渉をきっかけに、諸外国の日本に対する脅威は、幕府から雄藩(ゆうはん)と呼ばれる新勢力へ移って行った!・・・

その頃、江戸幕府による長州への攻撃準備は、着々と進められていた!芸州・広島から山口に向かうルートを始めとして、石州・島根から、萩からも、徳山から、小倉からも、5方面から山口へ進軍する計画が立てられた、そして長州ではこの男、椋梨藤太が攘夷以前の保守体制に大きく揺り戻そうとしていた!今こそ椋梨様の御登庁を!、この期に及んでも、まだ幕府には謝罪せぬとも良い!などと云う陰湿なものが居るとは!そんな声が保守派から上がっていた、椋梨が言った「あのお方に少々お手伝い願おうかのう!」何か企んで居った・・・

文が下関での大仕事をやり終えて、大奥取締役・園山様の前に呼ばれていた、『面を上げよ、此度の下関への使者の段、格別の働きであったと聞いておるぞ、ようやった!』、文「恐悦至極に存じます!」、『よって、本日より正式に、奥での勤めを許す、名を・・・』、すると文が伊之助がくれた”美和” を出そうと阻(はば)んだ「恐れながら、美和を・・・」、すると園山は怒って言った『ひかえよ!自ら名を決めるなど、僭越(せんえつ、自分の身分・地位を越えて出過ぎること)であろう!』・・・

そこへ都美姫が来て言った『美和か、苦しゅうない、それをもって、下関への仕えの褒美としよう!』、文「ありがとう存じます!」、都美姫『夫の無念を晴らしたいと?それは良き心がけじゃ!精進せよ!』都美姫は去って行った、都美姫は、前第12代藩主、毛利斉広(なりとう)の娘として生まれたが、男兄弟が居なく、敬親を養子に貰って毛利家を継いだ、大奥御殿の御前様となり倹約に務めた都美姫だったが、子宝に恵まれず、銀姫を正室に迎えたお世継ぎの元徳は、徳山藩第8代藩主・毛利広鎮(ひろしげ)からの養子だった!・・・

園山『御前様からのお達しである、今日よりは、銀姫様のお次(おつぎ)としてお仕えするよう!下っ端の雑用係りじゃが、お目見えも許される!』、その日から着物の格が上がった文改め、美和は、銀姫様のお世話をする職場での挨拶回りに忙しく動いた、「この度、銀姫様のお次としてお勤めいたすこととなりました美和で御座います、どうぞ宜しゅうお願いいたします!」、周りの半下たちの目が冷たく文を観た、その中には、久坂の下で仕えた家族のものが京で命を失った!、父が下関の戦さで討ち死にしました!と云う者もいた!・・・

調達物資・表使い(おもてづかい)の日出(ひので)が文に近づき、耳元で言った「美和殿は毛利家を朝敵に追いやった久坂玄瑞様の妻と、皆に知れてしまったのです!一体誰がその様な事を言うのかのう?」、美和が、大勢の奥勤めを侍(はべ)らかして駒回しをしている銀姫様のお部屋に行った時に、その発信元が直ぐに分かった、天然の銀姫が笑顔で言った『お前か!お家を朝敵に追いやった久坂の妻とは?誰か賭けをせんか?この者が何時、逃げ出すか?泣き出すか?勝った者には、この駒を取らそう!博多から取り寄せた元徳様のお気に入りじゃあ!』、怒りが込み上げて美和が言った「恐れながら、賭けにはならぬは!私は決して逃げません!生き抜いて見せます!貴方の妻として!」・・・

 

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