恒例のまらずもう夏場所が今年もやってきた。
今場所も新昇進・新弟子はなし、大相撲と違って見どころが少なそうな状況だが、それでも続けることが何より大事。大相撲では横綱・稀勢の里の出場が危ぶまれていたが、われらがまらずもうはそれどころではない。理事長・毛呂乃は山に籠り連絡付かず、蒼狼からの連絡も滞り、国内にいるのかモンゴルから戻っていないのかも定かでない状況。スリランカ滞在の萬海とも連絡がとれず、果たして初日の土俵に何人が上がれるのか、それ自体が注目と言わざるをいない。
優勝予想、といってもどうせ毛呂乃だろう、と思われるかもしれないが、ここはそうならない、という予想を提案してみたい。場所前から渋谷駅をうんこまみれにするなど活発な活動を見せる毛呂乃、一見本場所での大暴れを予感させるがこれはちょっとばかりやりすぎの感も。理事長昇進後、まずは勝つこと、と落ち着きを見せていたが、今回の所行はむしろ大関時代の荒々しさを思い出させる。一度引退するまでの第一期大関時代は、人間離れした相撲の数々で圧倒的な強さを見せていたものの、勝敗を度外視してまで快楽を追求する姿勢があだとなり、優勝なし。「場所前の様子が、大関時代と同じようなにおいがする」との関係者の声もあり、奔りすぎて星を落とす可能性も、いつもより高い。目下3連覇、47連勝中だが、これとて安心材料にはならない。夏場所は実は験が悪く、昨年も7連覇、46連勝で臨んだ夏場所で連覇・連勝ともストップしている。2年半のブランクを経て奇跡の復帰を果たし、現在に至るも、一度はまらの限界を迎え引退した身。それも夏場所だった。長い現役生活で夏場所に優勝できたのは平成27年の1回だけ、それ以外の年は決定戦にすら出られたことがない。夏場所に限っては、毛呂乃楽勝、とはいえないのだ。
このように毛呂乃が他の場所ほどの安定感を持たないとはいえ、対抗馬がいないことには毛呂乃の安泰は動かない。現在、大相撲でも圧倒的な強さを持つ者はみられないとあって、１つ２つ星を落とす程度なら、全勝を逃すとしても優勝は可能。しかしここで、対抗する優勝候補が、いないでもない。玉椿である。
大関在位39場所、カド番8回を数え、惰性で取り続ける無気力大関だが、5月場所との相性は頗る良い。現在の照ノ富士ほどではないものの頻繁に負け越す、という印象を持たれているが、夏場所に限っては負け越しはおろか、1桁勝利でとどまったこともなく、優勝も記録している。いままでの夏場所の成績をまとめてみると・・・
【玉椿 過去の夏場所成績】
22年 小結 11勝4敗 新三役、殊勲賞
23年 大関 15戦全勝 優勝
24年 大関 11勝4敗
25年 大関 12勝3敗
26年 大関 15戦全勝 決定戦で汚痔に敗れる
27年 大関 12勝3敗
28年 大関 12勝3敗
およそ玉椿と思えない、みごとな成績である。夏場所に限れば、玉椿は横綱級と言っても過言ではない。
ではここで一方の毛呂乃の夏場所成績をまとめてみよう。
【毛呂乃 過去の夏場所成績】
22年 前頭16格 11勝4敗 初土俵、敢闘賞
23年 大関 14勝1敗
24年 大関 9勝6敗 場所後引退
（25～26年土俵に上がらず）
27年 大関 14勝1敗 優勝
28年 大関 13勝2敗
驚くべきことに夏場所では1度も全勝できていない。勝率にして玉椿.867、毛呂乃.833、なんと玉椿の方が上なのである。場所前の毛呂乃の不穏な活動からしても、玉椿の優勝、無い話ではあるまい。少なくとも、以外に白熱した優勝争いが見られるのではないか。
十両以下で元気なのはやっぱり金精山。毛呂乃の尻を追いかけ着実に番付を上げてきこの男、今場所前も汗まみれ汁まみれで元気いっぱい。十両3枚目と好位置につけ、いよいよ新入幕が望める位置に上がってきた。「幕」を意識してカタくなる、というのは力士の常だが「白星より相撲内容」と頼もしく、金精山に限っては緊張で力が出ない、ということはあるまい。無欲の相撲で先場所優勝しており、この勢いのまま風薫る五月、白星を薫らせることができるか注目。同じく十両で筆頭につける萬海に対し、入門も十両昇進も1場所遅れ、という出世争いを繰り広げてきたが、先場所の優勝でほぼ追い付いた格好。スリランカ在住とあって連絡が滞りがちな萬海と比べ、毎日の取組報告でファンを楽しませてくれるのは金精山、という見方がされており、関係者の期待も高い。今場所一発で入幕を決めてしまいたい。
毛呂乃・玉椿の幕内優勝争いを繰り広げ、十両では金精山と萬海が入幕を目指し激突。場所前の盛り上がりはさほど、かもしれないが、意外と面白い場所になるかもしれない。
