ヌマンタの書斎

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妖怪ウォッチ 小西紀行

2014-07-17 11:49:00 | 

人気があるのには訳がある。

橙色の猫が描かれたイラストが印象的な広告をよく見かけた。なんでも「妖怪ウォッチ」という任天堂3DSのゲームらしい。またデパートに行くと、このゲームの景品のメダル目当てのイベントがあり、親子が駆け回っている。

どうやらすごい人気らしい。ちなみにNHKのニュースでも、この騒ぎを報じていたから、相当な人気を持つのは間違いないらしい。ちなみに、この漫画はTVアニメ、3DSのゲームなどが先行した所謂メディアミックス路線の産物である。

特段興味もなかったのであるが、たまたま某散髪屋での待ち時間に、この「妖怪ウォッチ」の漫画を読むことが出来た。なるほど、と思った。

主人公の少年は、どこにでも居そうな普通の子供である。勉強もスポーツも目立つところがなく、ただ優しいだけの小学生である。ある日、ガチャガチャを開けたら妖怪が飛び出してきて、それを契機に妖怪を見ることができるようになった。

その妖怪と友達になると、妖怪ウォッチという道具にメダルとして納めることが出来るうえ、その妖怪を呼びだすことも出来る。よくみれば、街のいたるところに妖怪はいる。どんどん、妖怪の友達を増やしていこう、そんな漫画であった。

ャPモン以来の定番的な遊び方だとも思うが、この漫画の人気の秘密は主人公の優しさにある。

たとえば橙色の猫の妖怪であるジバニャンは、文字通り猫の地縛霊である。飼い主の女子高生のエミちゃんの目の前で車で轢かれて死んだ猫なのだが、その死に際にエミちゃんが口にした残酷な科白「だっさァ~」に傷つき、以来自動車の立ち向かって再び轢かれる惨めな毎日。

同じ妖怪仲間からも馬鹿にされていたが、主人公の何気ない優しい科白に救われる。妖怪メダル第一号である。死んでもなお妖怪として生き残るほどの怨念を抱いた彼らも、やはり誰かの優しさを必要としていた。

たいして取り柄のない主人公であるが、心根の優しさは本物で、その優しさが幾多の妖怪たちの依怙地な心を解きほぐしていく。

子供たちに人気が出るのも当然なのだろう。子供だって、誰かに優しくされたいし、心の奥底で堅くなってしまった意地を誰かに分かって欲しい。それをしてくれる相手こそ、本当の友達なんだ。

多くの子供たちが笑いながら読むコメディ漫画であるのも確かですが、その根っこには子供たちでさえ密かに望んでいる優しさへの渇望があるように思えてなりませんでした。大人が無理して読むものではありませんが、機会がありましたら是非手にとって欲しいと思います。

コメント (2)
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