ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

生水

2024-08-30 11:11:26 | 社会・政治・一般

生水を飲むな。

山をけっこう登っていた私だが、生水を飲む危険性は知っていた。一見綺麗な清流が実は大腸菌だらけであることは、決して珍しくない。その典型例が上高地の梓川だ。

北アルプスへの入り口であり、風光明媚な観光地でもある上高地を訪れたことがある人は多いと思う。そこを流れる見事な清流である梓川だが、実は絶対に生で飲んではいけない川でもある。

何故なら上流に下水の浄化設備が未整備の山小屋が複数あり、生活排水を含めると膨大な汚水が梓川に流れ込んでいるからだ。特に夏の時期は登山者も多く、必然的に生水御法度の川となる。

流れが速く、豊かな森の湧き水にあふれた日本の川は、一見清流に見えるが、動物の排せつ物なども多く、案外と衛生的には問題があることが多い。だからこそ山に登る前に安全な水場を探しておくことが重要となる。いや、真面目な話、安全に飲める水が沸く場所って、けっこう少ないのです。

私の経験だと樹林帯の中から流れ出す小さな沢の源流、綺麗な水底からボコボコと伏水流が湧き出てくるような水場の水は、柔らかくて美味しいです。とはいえ、このような水場は少ない。土手の斜面から流れ出る水場も比較的安全です。一方、岩だらけの沢筋の水は堅いし、美味しくない。上流に山小屋等がなければ、大腸菌なども少ないはずですが、野生の生き物の糞は十分ありそう。だからこそ湧き水が貴重な水場なのです。

あまり思い出したくもないのですが、安全な水場が少ない山域に入る場合、一人最低でも4リットルは水を持参します。場合によっては、15リットルの水容器を持参して交替で運んだこともあります。いや、水って本当に重いですぜ。

でも医療施設から時間的にも距離的にも遠い山では、安全な水は文字通り命の水です。時間があれば水を濾過して沸騰させて冷ませば良いのですが、かなり手間取るので、やはり下から持参する方が確実でした。

先々週のことですが、熊本は天草の川遊びに興じた子供たちが大量に体調不良を起こしたと報じていました。そのニュースを聞いた時、ほぼ水の衛生状態が悪化しているのだろうと想像しました。ただでさえ水質が悪化しやすい夏、しかもこの暑さですから大腸菌などが増殖する危険性は高いはず。

でも、見た目には綺麗な水の川だったのでしょうね。この暑さですから水遊びに興じたくなる気持ちは分かりますが、危険性も認識すべきだと思いますよ。

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人口で語る世界史 ポール・モーランド

2024-08-29 08:50:37 | 

穏やかに衰退すること。

それが21世紀の日本に求められる課題だと私は考える。一応確認しておくが、日本の衰退は確定事項である。その原因は一言で云えば「人口減少」であり、もう少し詳しく云えば「高齢化社会の到来」と「少子化社会による社会負担の増大」である。

人類史において人口が減る原因は概ね戦争と飢餓であり、地震や大規模な気候変動であった。少子化による人口減少は近代以降に発生した特殊なものだと表題の書の著者は主張する。逆に言えば、人口の増大は軍事力と経済力の増加に他ならない。

実際、第一次世界大戦はもちろん第二次世界大戦の主要参戦国は、人口の増加が著しい国が中心であった。では、人口が増加する原因はなにか。

まず第一に幼児死亡率の減少である。近代前はどこの国でも幼子の死亡率が非常に高い。しかし国が経済成長を始めると衣食住の環境が整備される。特に上水道の整備が大きい。結果、無事大人へと成長する幼児が増える。加えて食料事情が好転すると、必然的に寿命が延びる。すなわち軍隊へ入隊する兵士は増え、そこである程度の訓練を受けた兵たちが除隊後に貴重な労働力となる。

日本は近代前から教育がかなり普及し、識字率も高かったので実感が薄いと思うが、多くの国の軍隊は教育機関としての役割をもっていた。軍隊で簡単な読み書きを学び、集団での行動訓練を培った人材が、民間に戻って経済発展の一助となる。軍事力と経済力は意外と密接な関係を持つ。

しかし、ある程度幼児死亡率が減り寿命が延びると、女性が産む出産数が減少してくる。近代社会は女性の労働の機会を増やし、学校教育の普及により教育訓練を受けた女性の増加は、結果的にだが沢山の子供を育てることを厭う傾向が強い。これは民族や宗教などにも影響されぬ不思議な傾向となる。そして、必然的に将来における人口減少を招く。

人類社会において、このような現象が起きたのは、産業革命以降すなわち生産力の飛躍的増大により社会が豊かになってからだろう。だからこそ、成長の限界点に達して逆に人口が自然減してくる事態は前代未聞のものとなる。

当然に先駆者はイギリスであり、既に20世紀中にこの人口減少は始まっている。しかし痩せても枯れても大英帝国であり、旧植民地からの人の流入が多いが故に人口減少はまださほど目立ってはない。ただ英国のEU離脱には大きく影響はあったようだ。

その英国に代わって人口減少が顕著に目立ってきたのが他ならぬ日本である。表題の書の著者も日本についてかなり詳細に研究している。詳しくは読んでみて欲しい。

現在の日本は外国からの人材導入に積極的ではなく、また少子化対策も小手先のものばかりで成果は上げていない。はっきり言えば少子化問題にお手上げ状態である。その一方で高齢化は着実に進行しており、ますます政治判断力は硬直化している。

茹で上がるカエルのように気が付かずに衰退するのが日本の未来である。幸いなのは島国であることだけだ。ただこの先、人口が減少すれば空き家は当然に増加し、不動産市場は暴落すると予測される。新築は大幅に減り、リフォーム工事が主流になると私は予測している。

政府と、その下請化しているマスコミの宣伝のせいで勘違いしている人が多いが、実は日本は金融資産を膨大に持つ超大国である。負債である国債、地方債のほとんどは国内にあるため金融危機に陥る可能性は極めて低い。

ただ金融資産にはかなりの割合で外国債、とりわけアメリカ国債がある。アメリカがデフォルトに陥れば日本も追随して金融危機が陥る可能性があることは頭の片隅に銘記すべきであろう。

それと人口減少に政府は無為無策ではあるが、現実には外国人との国際結婚の増加による夫婦が増えており、それに伴いファミリービザで入国してくる外国人が増えている。社会が安定して治安がよく、学校教育も充実し、医療制度も確立している日本で暮らすことを求める外国人は少なくない。インターネットの普及により情報が飛躍的に増えて、日本の良さを認識している外国人が増えている。

外国人が増えれば必然的に生活面でのトラブルは増加する。その先駆的役割を果たしている群馬の大泉や静岡の磐田などに日本各地の自治体が視察に訪れているのも当然だと思う。その現実を知りつつ目を逸らしているのが霞が関のエリート様と永田町の先生方である。

私は21世紀中に日本はかなり混迷すると予測しています。だが、この混乱を上手に乗り切れば衰退を穏やかに迎えることが可能ではないかと若干楽天的にみています。

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マイナ保険証と河野デジタル担当大臣

2024-08-27 09:24:08 | 社会・政治・一般

こいつ信用できない。

そう言わざるを得ないのが河野デジタル担当大臣である。もちろん、その背後にいて河野を操っている霞が関のエリート官僚様も同様である。

既に報じられているように今年の12月から従来の保険証に替わり、マイナ保険証が強要される。マイナンバーカード自体、まだ十分行き渡っている訳でもないのに、従来の紙の保険証が無効であるかのようなアピールが実に不愉快。

実は従来の紙の保険証が使えなくなる訳ではありません。まだ当分の間使えます。つまり河野大臣の説明は嘘です。いや一部本当なのでしょうけど、大事な部分を意図的に端折っている。これがこの人の本質なのでしょう。

ちなみに廃止されるのは新規もしくは更新の紙の保険証で、現在使用している紙の保険証は、資格証明書と同時提示すれば従来通り使えます。厚生労働省のポスターはもちろん、河野大臣の答弁でも、この点は一切触れていない。記者クラブでの質疑応答では記者もグルなのか、肝心なことは触れやしない。

印鑑廃止の時もそうでしたけど、この人分かっているのかいないのか不明ですが、やたらと強気で説明する。そのくせ、その説明が不十分であることが分かってしまうと逃げまくる。

私もこのマイナ保険証のゴリ押しは霞が関のエリート官僚様が犯人なのは分かっているが、河野太郎はどうもそれを知りつつ官僚のゴリ押しを正当化する。要するに国民<役所という認識でいる。多分、公僕という言葉を知らないのだろうと思う。

国民の生活よりも役所のスケジュールを優先して、それを疑うことのない操り人形としては優秀なのかもしれないが、こんな奴が総理大臣になるのは勘弁して欲しい。まぁエリート官僚様の操り人形としては有用なのだろうけど、現場知らずのエリート官僚の提示する政策がいかに不備が多いかを知る身としては、まったく信用できない。

なお、マイナンバーカードと免許証の統合を拒否した警察庁が、本人確認に紙の保険証を認めないと便乗しているのも実に不愉快だ。なんでこのちぐはぐな対応を批判する大手マスコミ様がいないのか、あたしゃ不思議で仕方ない。

政府を批判することがマスコミの使命だと考えている記者様は多いが、本当に政府が嫌がる批判はしないのがサラリーマン記者の限界なのだと思いますね。

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カタパルトの有無の違い

2024-08-26 09:06:46 | 旅行

果たして日本は空母を保有すべきなのか。

マスコミも含めて勘違いしている人が多いが、2024年現在日本は空母を持っていない。改装された加賀と出雲は、短距離離発着が可能なF35Bの搭載を前提とした軽空母である。如何に排水量が大きかろうが、決して空母ではない。なぜならカタパルトという航空機の強制発射装置を持たないからだ。

このカタパルトがないと、ミサイルや爆弾を搭載した戦闘機を離陸させることは出来ない。F35Bは垂直の離発着が可能な戦闘機だが、爆弾等を搭載しては垂直発進が出来ない。なぜなら燃料を多大に消費するからだ。だから軽空母はスキージャンプ型式での発艦方式を使う。もっとも日本の加賀も出雲もスキージャンプ方式ではなく、斜め上に発艦させるが、これはF35Bが短距離発着が可能な機体であるからだ。

ちなみにアメリカの空母は空母搭載用としてF35C戦闘機を使っており、やはりカタパルトで飛ばして運用している。着陸は従来通りワイヤーに引っ掛けての短距離着艦である。この方式は半世紀変わりはない。

本格的に空母を運用するには、戦闘機以外に早期警戒管制機が必要になる。これは空母からレーダーを発射してしまうと、空母自体の位置を割り出されてしまう。それを避けるため早期警戒管制機を飛ばして、空母から離れた位置からレーダーを使い敵機及び敵施設を探索する。

アメリカが世界最強の軍事国家として君臨できたのも、この海上のどこにいるのか分からない空母から戦闘機を出撃させることが出来たからだ。カタパルトを装備していない軽空母では、重い武器を搭載した攻撃機を発着できない。もちろん重く大きい早期警戒管制機もカタパルトなしでは出撃できない。

つまり現状、日本は空母を持たない。あくまで軽空母による哨戒活動及び敵戦力牽制手段としての戦力しか持てていない。例によって軍事音痴の日本のマスコミ様は、このあたりの区別がなく、ただ徒に空母だ、空母だと騒ぐだけである。

率直に言って私は日本の国防に本格的な空母は不要だと思っている。空母を建造するくらいならば、太平洋上にある島嶼に空港を複数建築して、平常時は民間あるいは救急用として活用し、比較的短距離離発着が可能な戦闘機(F16やF2)を非常時に配置すれば十分だと考えている。

だが、今回の軽空母建築は、ほぼ間違いなくアメリカの意向に沿うものだ。シナを戦略上の敵と見定めたアメリカが、偵察哨戒任務に日本を活用させるつもりなのだと思う。なによりもF35はネットワーク機能を持ち、日本のF35が入手したデータは、容易にアメリカ軍のネットワークにつながると思う。このあたり非公開情報なので確信はないが、ほぼ確定だと考えています。

いずれにせよ原子力空母を持たない日本には、大型の空母は不適切だ。アメリカ以外の世界の海軍が運用に失敗した蒸気型カタパルトは日本ならば製造できるはず。しかし蒸気式カタパルトは大出力のエンジンを必要とする。ガスタービンエンジンでは効率が悪いし、ディーゼルエンジンでも厳しい。ちなみに日本のイージス艦などは、ガスタービンとディーゼルエンジンの両方を備えたハイブリッドタイプなのだが、蒸気式カタパルトには足りないと思う。

では電気を使う電磁式カタパルトはどうかというと、実は未だ開発途上である。世界初の電磁カタパルトを装備した空母は、アメリカのジェラルドフォードなのだが、未だ完全に運用が出来ていない。軍事上の機密情報なので不確かではあるが、陸上での実験で上手くいっても潮風に吹かれる海上では電磁カタパルトが上手く機能できていないと聞いている。

ところで電磁カタパルトとは、要はリニアモーターカーと同じ原理でもある。既に陸上でリニアモーターカーを実際に運用している共産シナは、電磁カタパルトを三番手の空母・福建に搭載している。ちなみにディーゼルエンジンを4基搭載している。そして、やはり電磁カタパルトを上手く運用できずに苦労している。

アメリカとシナ、どちらが早く実用化に至るのかは不確定だが、莫大な開発コストがかかっているのは確かでしょう。先行するアメリカと言いたいところですが、次の米大統領の可能性が高いトランプは、金を食い過ぎだと次々とハイテク兵器の開発を中断させた実績がある。

繰り返しますがカタパルトを装備していない空母は張子の虎であり、重い武器を搭載できずに戦闘機を飛ばすことしか出来ない。しかし、案外とシナが上手くやる可能性も否定できないのが怖いところ。

更に怖いのは、日本がアメリカが断念したレールガン(電磁式艦載砲)の開発に成功しているらいいこと。原理は電磁式カタパルトと大差ないので、技術供用を言われそうで怖い。それも有償ではなく無償だろう。けっこう厚かましいのがアメリカなので、よほど上手に交渉しないとやられちまう可能性がある。

平和、平和と叫ぶのは自由ですけど、現実の日本はアメリカの補助戦力として利用されがちの現実を直視して欲しいですね。

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政治不在

2024-08-23 09:22:02 | 社会・政治・一般

言い訳を優先するな。

九州は宮崎で起きた中規模な地震を契機に、突如飛び出したのが「南海トラフ臨時情報」って奴だ。

私は当初から胡散臭いと思っていた。そもそも南海トラフ巨大地震に関する予測情報は、もう数十年前から聞かされている。ほぼ間違いなく、いずれは発生する可能性が高い地震だと考えている。

だから政府は宮崎・日向灘沖を震源とする地震が起きたことを良い機会だと捉えて、改めて国民に注意を喚起したのだろう。

しかし時期というかタイミングが悪すぎた。よりにもよってお盆休み直前である。政府が賢しげに提示した「南海トラフ臨時情報」は人々を不安にさせ、旅行など行楽の予定をキャンセルさせてしまった。

改めて確認するが、南海トラフを震源とする大地震が起こる可能性は決して低くはない。しかし、それが何時起こるかは誰にも分からない。ただ注意を喚起させるのに日向灘沖を震源とする宮崎地震は丁度良かった。それしか考えていなかった。

その結果として夏休みの行楽シーズンの最盛期であるお盆休みに、ホテルや旅館はもちろん鉄道や航空会社にキャンセルが殺到した。当然に各業界関係者からの苦情が上がり、地震予測情報を出した関係者を慌てさせた。

年末の予算獲得に向けて一大キャンペーンを張った本音は押し隠し、慌てて言い訳を口にするがもう遅い。おそらく関係者は正しいことをしたと内心確信しているはず。少なくとも嘘は言っていない。しかし、あまりに思慮不足だと思う。

予め書いておくが、現代科学は地震の予知には成功していない。可能性を提示しているに過ぎない。政府がやるべきことは、予知を報じることではなく、予測される地震の被害に対して迅速に対応できる体制を準備しておくことだ。しかし、これだと地震学者及び大学や研究機関に予算が十分に回らない。

下種な勘繰りなのは承知しているが、科学的に正しい予測が出来ない地震の予知に関わっている人たちは、政府からの研究予算が命綱だ。だから時折、人心を冷やすような地震の情報を出してくる。

間違いなく地震は起こる。それは確かだが、必要なのは臨時情報ではなく、被害の予測と対応策であろう。それでは食えない地震予知関係者の暴走、それが今回の「南海トラフ臨時情報」なのだと私は考えています。

それとどうしても言いたいのが与党政治家様たち。なんで、こんな不確定情報を堂々と認めた。大事な情報かもしれませんが、報じるタイミングが悪すぎる。担当大臣が誰か知りませんけど、相当に人間に疎い勉強のよくお出来になるお馬鹿ちゃんなのでしょうね。

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