ヌマンタの書斎

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たけしの大英博物館見聞録 ビートたけし

2014-07-28 12:17:00 | 

人間の虚栄心という奴は、古今東西変わることないらしい。

武力にものを言わせて、世界中から奪ってきたお宝を、これ見よがしに展示している国は珍しくない。その中でも、イギリスの大英博物館は、まさに強奪犯の見本のような凄まじい展示が自慢だ。

私の知る限りでは、このえげつない展示に匹敵するのは、パリのルーブルか、北京の故宮ぐらいだと思う。まさに恥も外聞もなく、むしろ誇らしげに力づくで奪ってきた人類共通の遺産でもある史跡を展示している。

なかでもフランスが強奪し、それをイギリス軍が横から奪い取ったエジプトのロゼッタストーンは、大英博物館を代表する展示物である。エジプト政府の返還要求なんぞ、歯牙にもかけずに堂々と一階に展示している。

その奥に行けば、かつてオリエントの覇者として君臨したアッシリアの都の入り口に鎮座した羽の生えた牛の巨像が据えてある。あまりに厚かましく、図々しく展示されているがゆえに、どうしても圧唐ウれてしまう。

18世紀以前の西欧は、かつて光り輝く文明の地としてオリエントの地を仰ぎ見ていた。しかし、産業革命によりより大量の火器を生産し、圧涛Iな武力によりオリエントの地を蹂躙し、憧れの地の遺跡を踏みしだき、その遺跡から目立つものを強奪してきた。

蛮族による洗練された文化への侵略は、いつの時代にもあった。侵略者はいつだって、戦利品を誇らしげに飾り、己の栄誉を褒め称えることが続くことを願った。それはイギリスだけではないが、イギリスの博物館が有名なのは、単なる戦利品の展示場所ではないからだ。

ここで、多くの考古学者が遺物を調べ、謎に挑み、一部を解明し発表した。人類の英知の殿堂としての役割を担ったからこそ、大英博物館には価値がある。隣地にある図書館と並び、人類の英知の集積所として、また研究機関として機能してきたのは間違いのない事実である。

だからこそ、多くの人々がここに惹きつけられた。かくいう私も、大英博物館には3回足を運んでいる。行けば大体半日はここで時間を過ごす。他にも行きたい美術館、博物館があるので、あまり長居しないように努めていたが、いつも後ろ髪を引かれる思いで、この地を後にする。

ここ数年は海外旅行自体がご無沙汰だが、いつかまた訪れたいと考えている。その大英博物館をビートたけしの訪問記が表題の書である。写真が綺麗なのと、割と薄いページ数なので電車内でも読めると思って買った本だ。

もちろん大英博物館で購入したものもあるが、気軽に読むならこっちで十分。ビートたけしに限らず、ここを訪れると誰もが人類の歴史とその栄華に思いを寄せる素人考古学者になってしまうのだろう。

私ももちろんそうだった。また行きたいなァ。

コメント (12)
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