単純明快な楽しみも確かにあるが、複雑で難解であるがゆえの楽しみって奴も確かにある。
数多在るミステリーのなかでも、その事件の複雑さ、織り成す人間模様の絡み具合、場所は近いのに時間のずれからくる不明瞭さなど、一ひねりも二ひねりも工夫を凝らすのが、表題の著者エルロイの特徴だ。
白状すると、一時は嫌っていた。読みにくい、分りづらい、長いの三重苦のミステリーだからだ。ところが、しばらく時間を置くと、またも読みたくなるから不思議な作家だ。
個性の強いカクテルのような作家だと思う。アルコールが強目の上に、フルーツの甘みと、隠し味のスパイスが絶妙で、千鳥足でふらつきながら、二日酔いの予感に怯えつつも、ついつい飲みすぎてしまう。
他に同じ味わいの作家を読んだことがないから、それだけ個性的だと言えるのだろう。ただ、ロス暗黒史4部作が代表作と言われるように、人間の心の奥の暗い部分を好んで取り上げるので、連続して読みたい作家ではない。
少し時間を置いて、心を休ませないと、次の作品には取り組めない。読者の心にも、相応のダメージを与える罪な作家なので、覚悟を決めて読んでみてください。強いてお勧めはしませんがね。
数多在るミステリーのなかでも、その事件の複雑さ、織り成す人間模様の絡み具合、場所は近いのに時間のずれからくる不明瞭さなど、一ひねりも二ひねりも工夫を凝らすのが、表題の著者エルロイの特徴だ。
白状すると、一時は嫌っていた。読みにくい、分りづらい、長いの三重苦のミステリーだからだ。ところが、しばらく時間を置くと、またも読みたくなるから不思議な作家だ。
個性の強いカクテルのような作家だと思う。アルコールが強目の上に、フルーツの甘みと、隠し味のスパイスが絶妙で、千鳥足でふらつきながら、二日酔いの予感に怯えつつも、ついつい飲みすぎてしまう。
他に同じ味わいの作家を読んだことがないから、それだけ個性的だと言えるのだろう。ただ、ロス暗黒史4部作が代表作と言われるように、人間の心の奥の暗い部分を好んで取り上げるので、連続して読みたい作家ではない。
少し時間を置いて、心を休ませないと、次の作品には取り組めない。読者の心にも、相応のダメージを与える罪な作家なので、覚悟を決めて読んでみてください。強いてお勧めはしませんがね。