ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ネットカフェ難民に思うこと

2008-03-07 12:26:26 | 社会・政治・一般
冷淡と誹られる事を承知の上で言わせてもらうと、ネットカフェ難民ってバカだと思う。

初めてその言葉を知ったのは、雑誌週刊SPAだったと思う。日雇い仕事と派遣で食いつなぎ、寝泊りは漫画喫茶やネットカフェで済ます人々。マスコミが面白可笑しく、一部の変わり者を取り上げただけかと思ったら、本当に実在していた。

漫画喫茶はたまに行くが、それも昼間か宵の口まで。ネットカフェには興味はない。そんな私でも、浮浪者独特のあの異様な臭いを漂わせた若者が、漫画喫茶などに出入りしていることには気がつかざる得ない。

そりゃ、いろいろ事情はあろうと思う。思うけど、働ける身体がある以上、金をためればいいだけのこと。今の日本で、それが出来ないとは言わせない。

私が痩せこけた中国人青年のA君を知ったのは、とある外国人バブだった。ボーイとして働いていた彼は、なかなか気が利くボーイさんで、キビキビと働く様が印象に残っていた。私はその店のボーイの時給が、おそろしく安いのを知っていた。他のボーイさんたちは、最低限の仕事しかしていないだけに、彼の機転の利く働きぶりが気に入っていた。チップを渡したこともあると思う。

ある日、仕事を終えて一杯飲もうと件の外国人パブへと向かう山手線のなかで、A君に出くわした。なんと彼、電車のなかで寝ていた。おそらく不法入国者である彼は、住まいがなかったのだと思う。暖かい電車のなかが、A君の唯一の憩いの場であったらしい。多分、降りる駅は同じだと思っていたら、本当にそうで彼の鞄のなかからアラームが鳴り、彼は目を醒ました。

声をかけ、一緒に降りて、ついでに食事に誘った。遅刻にならないよう、店には客の私と一緒だと伝える。彼が美味しいと太鼓判を押す中華の店に連れて行ってもらう。歌舞伎町の裏手の雑居ビルのなかにあった小さい店だが、たしかに美味しかった。しかも二人で3000円でおつりがくる。5品は頼んだはず。これには驚いた。

A君はやはり家はなく、電車のなかが寝室代わり。日本は安全だから出来るんですと、はにかみながら語る彼の眼には希望があふれていた。昼間はホテルの清掃、夜はボーイ。深夜は他の店でボーイと、一日に3っの仕事を掛け持ちしていた。

その数年後、彼は店を任され、アパート住まいに昇格した。私がその店に行かなくなったので、近況はよく分らないが、人づてに一戸建ての家を買ったと聞いている。あの頑張りを思えば、別に不思議ではない。

店を任せたオーナーの話では、彼は中国人には珍しくギャンブルをやらないから、信頼して任せたという。多分、しっかりと蓄えていたのだと思う。

敢えてネットカフェ難民は愚か者だと断じたい。無駄金使わず、しっかりとためてアパートくらい借りろ。漫画を読んだり、ネットゲームに呆けている暇があるなら働け。新聞の求人欄をみれば、仕事はまだまだある。

単に頭が悪いだけではないはず。なにより心構えの問題だとも思う。人間、一度堕落すると、そこから抜け出すのは難しい。おそらく極度に貧しい環境から来たA君にとっては、働けば稼げる日本は天国なのだろう。しかし、それなりに普通の生活を送っていたはずの日本人は、一度生活レベルを落として、それに馴れてしまうと、なかなか脱出できない。

よほどの覚悟を決めて、遊びを止め、無駄金を使うのを止め、しっかり貯金して半年頑張れば、ネットカフェ難民からの脱出は難しくない。問題は、その覚悟がないことだ。中途半端な同情は、むしろ状況を悪化させると思う。
コメント (8)
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