写真と本文は関係ありません。
実は最近Ingressをやっていない。一切起動しなくなって10日ほど経つ。
僕が住んでいる地域は、3月くらいからエンライテンド(緑)のエージェントが増え始めた。増えたエージェントには暇人、もとい、アクティヴな人が多かった。対して、我がレジスタンス(青)のエージェントはまったく増えなかった。気づけば自宅周辺は緑の大草原。お前らの好きなようにさせるかよ!と、重要ポータル、これを取られたらイヤなはずのポータルを狙って攻撃。しかし、常時鬼のようにリチャージしてくるエージェントが数人いて、1つのポータルを落とすのに50発くらい弾薬を使うようになってしまった。現在、僕の感覚では緑が20人で、青が1.5人だ。0.5人は、特定の2、3か所だけ毎日団子レゾする人である。青の戦力の2/3が僕である。そんな状況ではやってられないので、無期限活動停止することにした。
しかし、ネットワークゲームをやめるには、強い意志が要る。俺が何もしないと奴ら、調子に乗るんじゃないか。あいつ、ガーディアン金を近所で簡単に取るんじゃないか。俺が動かないと、今休止しているかつての戦友たち(面識はない)も復帰しないんじゃないか。今年から始めた職場の同僚にAPで抜かれるんじゃないか。などなど、スタンドアロンのゲームと違い、自分がやってないときでも他の人はやっていて、自分抜きでも話が進んでいくネットワークゲームは、やめるのが非常に難しい。
それでも、アンインストールはしないが、スマホのショートカットを消し、起動するのを我慢しているうちに、少しずつIngressのない生活に慣れていった。少しずつショートカットを戻して起動するという行為が億劫に感じられるようになってきた。ポータルのそばを通過しても、なんとも思わなくなってきた。
なぜそうなったかと言うと、完全にやめるとは決めてないからだ。いずれ復帰するだろうなと思っている。具体的には、どうせやるであろう3周年アイテム3倍キャンペーンとか、戦力バランスが崩れたときだ。もしくは、強力な青の暇人、もとい、アクティヴエージェントが緑に対抗できるくらいに揃った時。
完全にやめると決意するのは難しい。強い精神力が要る。しかし、しばらくやめてみる、という程度の決意でやらないでいるうちに、段々やってた時のことを忘れてきて、なんとも感じなくなってくる。やらない状態に慣れてくる。なんかこれ、前もやったな、という気がする。あれだ、禁煙である。
僕は15年間タバコを吸っていた。1日に30本くらい。それが、今ではすっぱりやめている。タバコの臭いが受け付けなくなっている。マールボロを1日一箱半吸っていた男が、全くニコチンと縁のない生活を送っている。僕は禁煙に成功したのである。
なんか前にも書いた気がするが、僕がタバコをやめたきっかけは、長女の誕生だった。タバコを吸っていると、頬ずりとかほっぺにチュッとかした時に臭いだろう。幼少時、父の手がタバコ臭かったのを僕は鮮明に覚えている。
臭いで長女に嫌われたくない。第一、赤子に副流煙を吸わせるわけにはいかない。だが、全面的にやめる自信がなかったので、僕は妻に「20年間禁煙する。子供が成人したら復帰する」と宣言した。
やめるんじゃない。一時的に禁煙するだけだ。いつかまた吸うんだ、と自分に言い聞かせて我慢の日々が始まった。吸っていたころは、根元まで吸って肺まで入れていたのに、幸いなことに禁断症状はほとんどなかった。ヘビーに吸っていながらも、実は体質的にタバコは合わないんじゃないかと思っていた(年に一度くらい吸ってて具合が悪くなった)のだが、本当にそうだったらしい。それよりキツかったのは休憩だ。タバコがなくなると、仕事の合間の気分転換をどうしたらいいのか分からない。トイレに立つ程度では時間が短くて休憩にならない。
しかし、いずれ吸うのだ、それまで我慢だと我慢しているうちに、徐々にタバコなしの休憩に慣れてきた。仕事机に向かいながら、頭の中で別のことを考えてサボる技術をマスターした。席を立つ時間は長く取れないが、立った時は集中して頭を休めた。
世間の追い風もあった。僕が禁煙を始めた直後、タバコが値上がりした。健康増進法だっけ?が施行されて、バス停などが禁煙になった。特急電車の喫煙車両がなくなった。飛行機も喫煙席がなくなった。飲食店でも分煙化が進んだ。完全に禁煙の店も増えた。僕がやめてから、タバコが急激に社会の悪者化した。この状態では、タバコを吸うという行為のハードルが高い。
というわけで、いつの間にか9年が経ち、僕はすっかり真人間になった。もう「いつか吸うからな」などとは思わない。おそらく、99.99%の確率で、もう二度とたばこは吸わないだろう。
Ingressは、本当に復帰する可能性が高いけど、何かやめにくいものをやめるとき、完全にやめると決めないで、とりあえず一時的にやめる…と自分を騙して、慣らしていって最終的にやめるというのは、一つの方法ではないかと思う。タバコとか酒とかギャンブルとかクスリとか、やめたいけどやめられないで悩んでいる人は試してみたらいかがだろうか。