2012年9月28日 東京新聞夕刊
かわいい動物の写真を見ると注意力を要する作業の成績が向上することを、広島大の入戸野宏准教授(心理生理学・工学心理学)らが大学生約百三十人を対象にした実験で明らかにし、米科学誌電子版に二十七日発表した。
入戸野准教授は「日常生活や仕事場でも、かわいいものを身の回りに置くことで、作業効率を上げることができるかもしれない」と話している。
実験では、ピンセットで小さな部品をつまんで穴から縁に触れずに取り出す作業や、数列から指定された数字を探し出す作業を各二回実施。学生を「幼 い猫や犬」「成長した猫や犬」「すしなどの食べ物」の写真を見せる三つのグループに分け、一回目と二回目の作業の間にそれぞれ七枚ずつ見せて、写真を見る 前後の成績を比較した。
幼い動物の写真を見たグループの正確さや速さの成績は、部品を取り出す作業で44%、数字を探し出す作業で16%それぞれ向上。これに対し、他の写真の二グループは変化がなかった。
入戸野准教授は「かわいいという感情には、対象に接近して詳しく知ろうとする機能があり、注意が集中する効果が生まれたのでは」と分析している。
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