All Things Must Pass

森羅万象 ~ 歩く印象派

欧州の軍事費削減にアメリカは渋い顔

2010年11月07日 05時05分22秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
ニューズウィーク日本版 10月19日(火)21時6分配信

アフガニスタンでも頼りの同盟諸国はもう戦争やる気なし?

デービッド・ロー

 ドイツのグッテンベルク国防相は、ただいま劇的な防衛改革を推進中。徴兵制を廃止し、ドイツ連邦軍をプロ意識が旺盛で即応力の高い軍隊に生まれ変わらせようとしている。

 ドイツは今後数年で軍事費を大幅に削減する予定だ。イギリスとフランス、イタリアも同様な方針を示している。アフガニスタンでの軍事作戦でアメリカに次ぐ貢献をしているこれらの国々は今、強力な軍隊を維持する方法を見つけ出そうと頭を悩ませている。

 これはアメリカにとっても差し迫った問題。ヨーロッパとアメリカの今後の同盟関係に大きな影響を及ぼすからだ。

 EU27カ国の軍事予算と兵力のデータをみれば、軍事費削減の前からヨーロッパの軍事費がアメリカよりかなり少ないことが分かる。27カ国全体の兵力は180万で、年間予算は2700億ドル相当。アメリカは140万の兵力を維持するために、その倍以上の6600億ドルを投じている。

 ドイツは最近、軍事予算の約6%に当たる80億ユーロを11~14年に削減すると発表した。フランスは11~13年に35億ユーロカットする計画。イタリアは今後数年で10%削減する予定だ。

 アメリカが最も神経をとがらせているのは、一番信頼できる同盟国のイギリスが370億ポンドの年間軍事予算を10~20%削除する方針を掲げていることだ。

 9月後半にベルギーのヘントに集まったヨーロッパの国防相らは、協力関係の強化によって軍事予算を削る方法を探った。軍事費の削減をきっかけに軍の改革を進めるべきだと考える向きもある。

 アメリカの思惑はともかく、今後ヨーロッパは、紛争への介入に関して今までより慎重な態度を示すかもしれない。

(ニューズウィーク日本版10月20日号掲載)