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森羅万象 ~ 歩く印象派

ポツダムの酒

2005年11月26日 03時05分01秒 | 平和憲法9条
 カテゴリー別けの難しいテーマではある。
平和の問題とグルメのコラボといったところか。

 そもそもは、名車平で鴨鍋をいただいた後、
F本氏に誘われるまま「ナイトキャップ」で
飲んだスコッチの話からだ。

THE EDRADOUR(エドラダワー)
「モルトの中の銘酒。
 宝石にたとえるなら大粒の真珠のよう。
 蜂蜜のような甘い香り。
 クリーミーでとろけるような舌触り。」

との評があるが、まさにその通り。

創業1825年。
たくさんのオーナーの手に渡ったが、製法は
ほとんど創業時のままというスコットランド
で最も伝統的、そして最も小さい蒸留所でつ
くられる「シングルモルト」。

 しかし、私が驚いたのはこの酒に次のような
歴史的エピソードがあることを知ったからだ。
それは、1945年7月第二次世界大戦の戦後処理
のためのポツダム会議で晩餐会の席にただ一種
選ばれたウイスキーだったことだ。
いわば歴史の生き証人ともいえる酒である。

三巨頭
トルーマン、チャーチル(アトリー)、スター
リンらがこの酒を酌み交わしながら戦後処理に
ついて語り合ったのかと思うと感慨深い。
そして戦後の米ソ冷戦体制がすでにここ芽生え
ていたことは想像に難くない。

 大戦中期以降、連合国は頻繁に会合を重ね、
次第に「戦後」の体制の輪郭を固めて行くが、
その裏には虚々実々の駆け引きが繰り広げら
れた。ときの大日本帝国の指導部にははるか
に縁遠い話であったが。

 興味のある方は以下の流れの中から「会議」
「会談」、「宣言」とある項目を検索してみる
ことをお薦めする。
 現在の世界の構図の「原形」は間違いなく
この短い期間に決まったといってもよい。

1942/01/01   連合国共同宣言 (26ヵ国/単独不講和など)
1943/01/14   カサブランカ会談 (~01/25)
1943/09/08   イタリア、無条件降伏
1943/11/22   カイロ会談 (~11/26)
1943/11/27   カイロ宣言
1943/11/28   テヘラン会談 (~12/01)
1944/06/06   連合軍、ノルマンディー上陸作戦開始 (オーバーロード作戦)
1944/11/07   スターリン、日本を侵略国と見なすと声明
1945/02/04   ヤルタ会談 (~02/11)
1945/02/11   ヤルタ協定 (スターリン、対日参戦を約束)
1945/04/05   ソ連、日ソ中立条約の不延長を通告
1945/05/07   ドイツ、無条件降伏 (ベルリン陥落)
1945/07/17   ポツダム会談 (~08/02)
1945/07/26   連合国、ポツダム宣言発表

※ちなみに 現在、私のところにTHE EDRADOUR
 2本あります。ポツダム気分を味わいたい方は
 遠慮なくお申し出ください。