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森羅万象 ~ 歩く印象派

四千万人を殺したインフルエンザ  スペイン風邪の正体を追って

2005年11月25日 00時09分21秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評
 今年もインフルエンザの予防接種を受けて来た。

昨年も受けたが、直後から両耳が聞こえなくなるという
症状が出た。聞こえないのは耳鳴りがすごかったため。

副作用だった。

医者に問い合わせてみた。

「一週間もすれば聞こえるようになる。」との答え。

たしかに一週間ほどで耳鳴りは収まった。


 さて、インフルエンザのワクチンの接種を受けたから
といってインフルエンザに罹らないという保証はないそ
うだ。
 今、話題の鳥インフルエンザに至ってはワクチンの開
発が半年先だというから、あとは体調を崩さないように
務めるほかはなさそうだ。


 前置きが長くなったが本書は1999年に発行されている。
このとき、すでに現在の鳥インフルエンザが“予言”さ
れている。鳥のインフルエンザ・ウィルスが遺伝子間の
組み替えを起こし種の壁を越え,人ウィルスに"進化"する
“予定”だと。

人のインフルエンザウィルスを縦軸に鳥やブタなどのウ
ィルスを横軸にしたマトリックスの組み合わせの空白欄
の存在は、未だ我々が遭遇していない殺人インフルエン
ザの可能性を指し示すものだ。その空白を埋めるように
新種のウィルスが誕生する仕組みがわかりやすく説明さ
れている。(先日、TVでも紹介があった。)

1918年
猛威を振るったスペイン風邪。日本でも38万人が死亡。
世界中で4000万人が死亡している。当時とくらべ格段に
交通ネットワークの進んだ現在では、感染は時間単位で
世界中に広がるだろう。

すでに中国では厳戒態勢に入っているが、あのSARSどこ
ろの騒ぎでないところに今回の深刻さが窺える。

 さらに怖いと思ったことがある。
日本の政府は今回のウィルスにかこつけてなんと「戒厳
令」を試みようとしている。
「大規模なコンサートや集会の自粛・禁止」とか
ワクチンの接種にも順位を付け政府の要人(自分らのこと)
などは最高ランク、高齢者は下から2番目とか。

 本書にもあるが、中国の貧困やその生活習慣の改善とい
った過去のスペイン風邪における教訓などが世界各国政府
とりわけ“先進”と呼ばれる国々の医療・厚生組織に生か
されず、それこそグローバルな対応を怠ったツケが「戒厳
令」にされたのではたまらない。

1999年 文芸春秋社刊
* ピート デイヴィス (著)
* Pete Davies (原著)
* 高橋 健次 (翻訳)