映画の話でコーヒーブレイク

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偽りなき者  (デ)JAGTEN / (英) THE HUNT

2014-03-10 | 映画 あ行
「007 カジノロワイアル」で悪役ル・シッフルを演じたマッツ・ミケルセン主演のデンマーク映画です。
ミケルセンはカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞、またアカデミー外国語映画賞にノミネートされた
作品です。
予告編でどういうストーリーかわかっていたので、
テーマの重さにちょっと躊躇しDVDでの鑑賞になりました。

1961年オードリー・ヘップバーン、シャーリー・マクレーン主演の「噂のふたり」を思い出しました。
  (次回します)


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         偽  り な き  者
                 JAGTEN / THE HUNT

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 < ストーリー >
ルーカスは妻と離婚、一人息子を引き取りたいが叶わず、一人暮らしで幼稚園で働いている。
親友の娘クララの作り話を聞いた園長の通報で、変質者のレッテルを貼られ、仕事も信用も失う。
身の潔白を説明しようとするが、幼いクララが嘘をつくはずがないと話を聞いてもらえず、
周囲から向けられる憎悪と敵意が増していく中、自らの無実を訴え続けるが……。

        クララ
父の友人で幼稚園の優しいルーカス先生に好意を抱くクララは、プレゼントを受け取ってもらえなかった
ことで、小さな嘘をつく。
それを聞いた女性園長は狼狽え、ルーカスの話を聞くことなく専門家の判断を仰ぎ、
直ちに性的虐待を働いた変質者として彼を解雇する。
事件は父兄や町の人たちに瞬く間に伝わり、仕事も友人も失なったルーカスは人々の憎悪の標的となる。「子供は嘘をつかない」という固定観念に、無実を訴えても信じてはもらえない。

性的犯罪に向ける社会の目は厳しい。
父を心配してやってきた息子や可愛がっていた飼い犬にまで暴力が及び、
意を決してクリスマスのミサに町人たちが集まる教会に出かけてゆくルーカス。
        

いやぁ~怖いわぁ。
もし突然身に覚えのない嫌疑が自分にかかり、ルーカスのような境遇になったら?
「それでもボクはやってない」のような冤罪事件も現実に耳にするし、
最近では他人のパソコンを乗っ取って世間を騒がす事件もありました。
誰にでも起こりうることとなんですよね。



 * ネタバレあります *

        
息子や息子の名づけ親になってくれた友人の支えとで、なんとか嫌疑が晴れ、
元通りの生活に戻り、息子の成人を祝う会の後、森で狩猟をしている時、
何者かによってルーカスは銃で狙われるのです。
幸い弾は外れ、犯人は走り去り、誰だったのかはわからず仕舞い。
この結末には驚きました。
デンマーク語はわからないので何とも言えませんが、英語の題名は「The Hunt」。
「狩猟」「狩り」とも取れるし「捜索」や「追跡」って意味もありますね。
何とも意味深で、この映画のタイトルとしてピッタリです。

事件が落着しても、依然としてルーカスがやったに違いないと思い続けている人がいて、
彼を抹殺することが正義だと信じている。
一度性犯罪者のレッテルを貼られるとそれを払拭するのは難しい。

無垢に見える子供の悪意、
思い込みから無実の人間に憎悪をむき出しにし、これこそが正義と信じ暴力に走る集団心理の怖さ
を描き、ホラー並みに怖かったです。





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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (セレンディピティ)
2014-03-11 11:16:07
こんにちは。
ちょうど今「偽りなき者」の記事をアップしたところだったので
こちらにうかがって驚きました。

この作品、怖かったですね...
最後の銃弾は何を意味していたのでしょうね。
あいかわらずルーカスに憎しみを覚えていた人がいたのでしょうか。
一方で、ルーカスの無実が証明されてからの友人たちの豹変ぶりにも
釈然としない気持ちが残りました。
返信する
Unknown (セレンさんへ(ryoko))
2014-03-19 10:28:45
コメントいただいていたのに、反応が遅くなってしまってすみません
シンクロ二シティーですね!

最後の銃弾…一度芽生えた不信感・嫌悪感、特に性犯罪は、なかなか消えないという事でしょう。
映画の中でクララが嘘を言ったとと母親に言ったけれど信じてもらえないシーンがありましたが、余程皆が納得する証拠でもない限り、疑惑を払拭するのは難しいのではと思います。
そして、あの銃弾は自分が正義を示すといった狂信的な行いなのではないでしょうか。

表面的にはまたコミュニティーに受け入れられたように見えますが、今のルーカスの置かれた状態の方が怖いかもしれませんね。もう事件の前の状態には戻れない。
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