映画の話でコーヒーブレイク

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それでも夜は明ける  12 YEARS A SLAVE

2014-03-16 | 映画 さ行
先日発表されたアカデミー賞で作品賞を獲得
英国のスティーブ・マックィーン(往年の俳優さんと同姓同名です)監督は、アカデミー作品賞を獲得した
初の黒人監督になりました。
本作は、主人公ソロモン・ノーサップ氏ご本人の回顧録をもとにした真実の物語だそうです。

3月4日、アカデミー発表の翌日、ニューヨーク・タイムズ紙は訂正文を載せました。
「1853年1月20日の記事で見出し、および本文でソロモン・ノーサップ氏の名字を間違えました」
というものです。      (○ Northup… ×Northrop/Northrup)

12年の奴隷生活から解放された後、彼の12年の奴隷生活を「今までにない、正真正銘、真実の記事」
として載せたにもかかわらず、間違いました…と書いてありました。
アカデミー賞の発表を受け、あるツイッターユーザーがニューヨーク・タイムズのアーカイブで
1853年の記事を見てスペル間違いに気付き、つぶやいたことで間違いがわかったという事でした。
160年前の記事をアーカイブとして閲覧できるようにしているのもすごいし、
160年前の記事の間違いを今、訂正として載せたってのもすごいですね 
  



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           そ れ で も 夜 は 明 け る 
              12 YEARS A SLAVE

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 < ストーリー >
1841年、ニューヨーク州サラトガでヴァイオリン奏者として生計をたてるソロモン・ノーサップ。
妻と子供と過ごす自由な黒人だ。ある日、二人組の男たちから周遊公演への参加の誘いを受ける。
酒に酔わされ朦朧とした意識の中、騙され、奴隷として南部の綿農園へ送られるということを知る。
白人農園主の非道な仕打ちに虐げられながらも、何とか家族の元へ戻るという希望を失わないソロモン。
12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会い…。


絶対泣いてしまうと、ハンカチを準備し鑑賞に臨んだのですが、意外なことに涙が流れませんでした。
激しく心を動かされたのですが、あまりにも理不尽な暴力の描写に、感傷的になれなかったというか…、
感傷的に涙なんて流したら申し訳ないというような意識が働いたのかもしれません。

まず最初に疑問に思ったのは、北部の「自由黒人」というひとたち。
1997年公開の「アミスタッド」の中に元奴隷の自由黒人の新聞記者が登場し、当時そんな人がいたのかと
驚いたことを覚えています。本作のソロモンも「自由黒人」の一人でしたが、そもそもどういう経緯で
「自由黒人」という人たちが存在したのか? 差別を受けることはなかったのか?
彼はヴァイオリニストで、1853年の記事によると彼の両親も自由黒人だったようです。
ググってみましたが、自由黒人の経緯に付いて触れているものをみつけることはできず、
気になるところです。
      
    ソロモン カンバーバッチ演じる信心深い農園主  ダノ演じる監督官
              
            ファスベンダー演じる冷酷な農園主  女奴隷パッツィー
名前も変えられ、読み書きができることも隠し、理不尽な暴力にひたすら耐え続ける12年。
奴隷商人、信心深い農園主、冷酷な農園主、非道な奴隷監督官、嫉妬深い農園主の妻、
若い黒人女奴隷、渡りの労働者らとの関わりの中で描かれる暴力が痛い。
こういう描写は、昔から奴隷を描くドラマや映画で見てきましたが、主人公が木に吊るされ
つま先立ちで耐えているシーンで、他の奴隷たちが何も無かったの如くいつも通りに過ごし、
子供たちが傍で楽しそうに遊んでいるシーンは衝撃的でした。
人種・民族は現在に至っても根の深い問題です。
異質なものを見下したり、排斥したりするのは、育った環境の中で無意識に身に付いてしまった
ものなので、それに気付き、意識を変えるのは難しいですね。
以前アップしたインド映画「マイ・ネーム・イズ・ハーン」で「世の中には2種類の人がいる。
良いことをする人と悪い人をする人。違いはそれだけ」という母の教えがありましたが、
本作を見ながら、その言葉を思い出しました。

当時、彼のような境遇に陥った人は少なからずいたのではないでしょうか?
ソロモンが12年を耐え抜き家族のもとに帰れたのは、鋼の肉体と家族に会いたいという強い思いが
あったればこそ。しかし、無念のうちに命を落とした大勢の人たち、パッツィーをはじめ、
救われることのなかった生まれながら奴隷の人たちを思うと、胸が痛い。

ソロモンが救い出され家族の元へ帰ったのは南北戦争の数年前。
戦争中、彼の心中は如何に?

アメリカの歴史の暗部を描く本作。監督をはじめ、主要出演者が非アメリカ人なのは何故?

本作でプロデューサーも務めているブラッド・ピット。
ちょこっとしか登場しませんが、めっちゃいい役やんか。おいしいとこ持っていったねぇ~。
              
 

               

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