映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

モーガン・スパーロックの「30デイズ」

2008-02-23 | ドキュメンタリー
ドキュメンタリー映画はお好きですか?

突撃アポなし取材で有名なマイケル・ムーア監督の
「ロジャー・アンド・ミー」や「ボーリング・フォー・コロンバイン」「シッコ」などもよいですが、
今回のモーガン・スパーロックの身体を張った体当たりシリーズも好きです。


肥満の10代少女二人がマグドナルドを相手取り
「肥満の原因はマグドナルドにある」(何言うてんのん、あんたが勝手に食べたんでしょ)
というとんでもない訴訟のニュースに触発され(勿論、裁判所は却下)、
1日3食、マクドナルドで売られているものだけを食べて30日間過ごしたらどうなるか、
という2004年の話題作「スーパー・サイズ・ミー」で、
プロデュ-ス、監督、出演の三役をこなしたのがモーガン・スパーロックです。
受賞は逃しましたが、アカデミー賞ノミネート作ですぞ。

        

・1ヶ月間1日3食をマクドナルドで食べる。
・店員に「スーパーサイズ?」と聞かれたらそれを注文する。
・メニューの全てを一度は食べる。
というルールを守った結果、
全く健康体だったにもかかわらず、体の不調を訴えながら、
11kg増え、元に戻すのに1年以上かかった何とも過激な、
しかしながらアメリカの食生活の現状を知る面白い作品でした。
すべて日本で売られるものとは、けた違いのサイズ!!!
はっきり言って拷問のようでした。私なら初日で脱落です。

ちなみに、「マグドナルドで1ヶ月ダイエット」を敢行した女性もいて、
サラダやフィレオフィシュなど低カロリーのものを注文し、
見事体重減少に成功されたようでした。

いずれにせよ、問題は「どこで食べるか」ではなくて「何を注文するか」、
ついでに言うと「誰と食べるか」にかかっているということですね。

たまたまビデオ屋さん(DVD屋さんというべき?)で、同監督の体当たりシリーズを発見!
勿論借りましたよん。

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    モーガン・スパーロックの   30デイズ

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シリーズ1は各1時間で計6本、
 ①最低賃金で30日間
 ②アンチエイジングで30日間
 ③イスラム修行を30日間
 ④ゲイと一緒に30日間
 ⑤エコヴィレッジで自給自足の30日間
 ⑥お酒をの飲み続けて30日間     というラインナップです。
興味アリアリです。

①から⑤まで視聴しましたが、以外にも④の「ゲイと一緒に30デイズ」で感動し涙が・・・。

①最低賃金で30日
     

監督自ら、婚約者と共にオハイオ州の州都コロンバスで
車なし、カードなし、保険なしで、部屋探し・職探しからスタートし、
建築・造園・外食産業で共働き。
アメリカの法律による最低賃金は、1997年から時給5ドル15セント。
教会運営のサポートセンターの、家具・衣類・食器・おもちゃなどの無料支援を頼り、
「仕事を二つ掛け持ちするも、暮らしは楽にならずじっと手を見る…」石川啄木状態。
ラブラブだった二人の関係も些細なことで言い争いに・・・生活への不安で愛もさめてしまうかも・・・。
とどめは、「シッコ」や大統領選挙でも話題になる医療費支出です。
保険がないのでとんでもない金額に。えっ~!

最低賃金では、子供を持つこともままならないし、病気になったらおしまいだ。
こんな生活が一生続く人も大勢いる。
「アメリカの一体どこが世界一豊かな国なんだ!」とつぶやく。


②アンチエイジングの30日
一般の34歳メタボ気味の男性が20代の姿に戻りたいと、
・テストステロン(男性ホルモン)、ヒト成長ホルモンを注射。
・栄養補助剤(コエンザイムなど)飲用。(驚くべき量!)
・定期的運動/健康的食生活への移行  を行なった。
野球界を揺るがしているステロイド剤もアンチエイジングに合法的に使われているらしい。
結局精子死滅と肝機能障害により、この方23日でリタイアしました。

「スリムで美しく、若々しくありたい」ちゅうのは誰しも思うことだけれど、
身体を実験道具にしてはいけないし、近道はいかんと警告。
何故若さにこだわるのか?自然に老いるのは悪いことなのか?と問いかける。

う~ん、老化も怖いが、ボトックスやホルモン剤はもっと恐ろしい。
真面目に運動しろってことか・・・


③イスラム修行で30日
現在イスラム教徒は全世界で15億人、アメリカでは600万人いるそうです。
ミシガン州ティアボーンはアメリカ最大のイスラム今日の街。人口の1/3がイスラム教徒。
ウエストバージニアに住む34歳の白人クリスチャン男性が
パキスタン系アメリカイスラム教徒の家にホームステイをします。
イスラムの服で家を出たときから、周りの変化に驚きます。
空港で、今まで受けたことのない荷物のチェックをうけ、行き交う人に目を逸らされる。
服を変えただけなのに・・・。
彼を含め、多くの非イスラムアメリカ人は現在「イスラム教徒=テロリスト」に近いイメージをもっている。

朝5:30の礼拝から始まるイスラム教徒の日常。
戸惑っていたかれが、共に生活する中で、過激派でないイスラム教徒に接し、
「イスラム教徒は何ぞや?」を学ぶ為に導師に教えの教えをうけ、
アラビア語のレッスンを受ける(コーランってアラビア語で書かれ、祈りはアラビア語なのね)。

イスラム教がユダヤ教やキリスト教から派生していること、父祖はすべてアブラハム。
「心を開いて心で神に語りかけよ」と説く導師。
彼らの日常が規律に満ち、自分に厳しく、人生の節目を真剣にとらえている姿に、徐々に馴染んで、
いつの間にかイスラム側に立って非イスラムの人たちの質問に答えている自分に気付く。
差別は体験してみないとわからない。違いを認め合うことが大切だ。
ほんの数人がやったことで15億人をテロリストと決め付けるのはばかげている、と言う。


③ゲイと一緒に30日
サンフランシスコのカストロはゲイの町。
そこにミシガンから敬虔なクリスチャンで保守的な24歳の白人男性が、ゲイ男性のルームメイトになる。
同性愛かどうかは個人の嗜好で、他人がとやかく言うことではないと思うが、
アメリカでは前回の大統領選挙でゲイの結婚が争点の一つになったように、
国を二分するほどの論争が起こる。何で?と思っていたが・・・

問題は、「同性愛を罪」とする聖書レビ記の記述に基づく主張と、「自由の国では権利は皆平等である」という主張の対立だったのね。

「殺人が罪であるように同性愛も罪」と言う彼と
「戦争で人を殺すことも聖書に反する罪ではないか」と問うコミュニティーのレズの牧師。
固定観念に囚われた彼の心を開いたのは、ルームメイトや周りのゲイの人々とのかかわり、
いや、それよりなにより、ルームメイトの家族との絆と、
「ゲイがいる家族を支える会」のゲイの娘を持った父の言葉(良い話で、な、涙が~)でした。
頑なだった彼が、
判断を下す前に自分の目で見ることが大切だと感じ、違いを認めつつ共感できるようになったと言う。


③と④はどちらも、あるコミュニティーの中で少数派(ここでは一人っきりですが)になリ、
居心地の悪さを感じる中で、今まで見えなかったこと、いや見ようとしていなかったことに気付き、
広い視野にたって物事を見ることができるようになるって、
大変だったでしょうが「人生の旅路での貴重な30日」ですね~。

人って、たった30日でも変わることができるんだな~と実感。
軽~い実験かと思いきや、大変真面目で教育的、勉強になりました。


いろいろ批判はあるでしょうが、マイケル・ムーアも、モーガン・スパーロックも、
ドキュメンタリーにエンターテインメントの要素を取り入れた、ドキュメンテインメント?とでもいうジャンルをつくり、
社会問題をとっつき易い、楽しめるものにしたという点で、高い評価を得ても良いんじゃないでしょうか?

「スパーロックの30デイズ Vol.2」のDVDもリリース済み。
ビデオ屋さんで探すぞ~。


*****  今週 見た 映画 *****

 2月17日  「トランスアメリカ」DVD

 2月18日  「ブリッジ」 DVD ドキュメンタリー

 2月19日  「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」

          「潜水服は蝶の夢を見る」
 
 2月21日  「30デイズ vol.1」「30デイズ vol.2」DVD


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