元ベース弾きの田舎暮らしは

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「チャイルド44」

2010年11月01日 | 本・雑誌
「チャイルド 44」は、小説のタイトルです。
読みかけては、何度も閉じて、又開いた 文庫本上下巻。

面白くないからではなく、衝撃的な内容のため。
極貧、不条理、孤独感・・・・。
そのあまりの「重さ」にすんなり読み進む事ができません。

純文学でなく、ソ連 スターリン体制下の犯罪を描いたサスペンスもの。
ストーリーもさることながら、時代背景、抑圧、閉塞感等 秀逸の表現力。
通常の推理小説にはありえないないほどの描写。
告発されると必ず有罪になる怖い社会。人間不信・諦め。

当時の「我が国には犯罪はない」という建前の「理想の国」だったソ連。
実際にあった52人の少年・少女殺害のA・チカチーロ事件。
長期間の大量殺人は個別処理され、連続殺人者の存在を認めようとしなかったとか。
ベルリンの壁がこわされロシアになっても、小説の舞台のロシアではこの本は発禁書らしい。

これを書いたのが当時29歳のイギリスの新人だから二度びっくり。
母はスウェーデン人、父はイギリス人。
ケンブリッジ大学卒業後、シナリオライターに。

昨年 多くの賞をとったこの本をじっくり読めたのは、パソコンの故障のおかげ。
本屋で見つけて、ずいぶん永く積んでおいたもの。面白さに気付かずに・・・。
インターネットやテレビから離れると、「埋もれた宝物」に出会えるもの。
出版されてから時間が経った「周回遅れ」でも満足です。

映画化も決まり、続編もすでに刊行され手元にあります。
楽しみが続く秋です。

(出版 新潮文庫、著者 トム・ロブ・スミス)

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3 コメント

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日本人である幸せ (nebu)
2010-11-01 20:49:08
私は日本に生まれ、日本人であることがとても幸せです。

でも、昨今日本には安穏としてられない事態が静かに確かに迫ってきています。
私の世代までは何とか平穏かもしれませんが、放置しておくと子や孫の世代にはとんでもないことになるかもしれません。

若い人たちには真剣に日本人のこと日本のことを考える時間を持ってもらいたいと思っています。
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Unknown (はっすろう)
2010-11-01 22:19:53
う~ん、実に内容が重そうですね。
手に取るのが怖い感じがひしひしと
伝わってきます。
著者の名前がふるっていますね。
トムもスミスも超ありふれた名前
日本で言うと、「一郎」と「佐藤」って
とこですか。その真ん中にロブが挟まって
やっと何とか落ち着きました。(?)
時間があれば挑戦したいです。が、
知らなければよかった~という世界も
ありますね。
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Unknown (元ベース弾き)
2010-11-03 21:32:08
nebuさん

同感です。
政治の危うさ、そこを見透かされての領土問題。
まさに日本が迷走を始めたかのようです。
職場に押し寄せる失業者、パートや臨時仕事ばかりで正社員求人を出さない事業主。
過疎化を防ぐために、地元への就職が私の願いです。

はっすろうさん

重い気持ちの読後感です。
事件は解決するものの、その事件勃発の原因は現在も続いているからです。
格差社会に突入すると、似たような事件は起きる可能性があります。
「泰平な日本」も崩れつつある秩序やバランスを直視すべき時かなとも思います。
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