JBLやアルテックのビンテージユニットを使ってSPを作る場合や、既に持っているSPをマルチアンプ化すれば「大幅な音質改善」が期待できるとお考えの方にアドバイスします。
JBLのビンテージユニットを組み合わせて、マルチアンプシステムとネットワークシステムを作り上げた経験から申しますと「ネットワーク方式」をお勧めします。
一般にマルチアンプにするとそれぞれのユニットに専用のパワーアンプをあてがい、「良い処取り」が出来る、ネットワークにはL・Cが入っていて音質を阻害する。と言われていますが、マルチアンプには「チャンデバ」が必要な訳で、この機器の音質が「ネック」となります。
本当に「最高級の音質」を求めるので有れば、電源ケーブル、インコネケーブル、SPケーブルも3ウェイなら3倍必要になる訳で費用もスペースもレイアウトも大変な負担をする事を覚悟しなければなりません。
その点、ネットワーク方式は非常にシンプルに出来、ケーブル類の本数も少なくて済む分グレードを上げられます。
アンプも同様に1セットに金額をつぎ込めます。
ネットワーク方式の場合ネックとなるのは「ネットワークの音質」と「その使い方」に有ります。
例えばJBLのネットワークで説明しますと、500Hzクロスのネットワークには#3150,3160等のプロ用とLX5と云うコンシュマー用サイズのネットワークが有ります。
プロ用のネットワークを使えばマルチアンプに匹敵する音質を確保できます。
私がネットワーク方式にして使っているのは、低域にD130の様に高能率のユニットと#375との組み合わせのSPシステムです。低域が高能率ですのでうまくつながります。
これに対し低域のユニットの能率が悪く、Wウーハー化できないウーハーと#375の組み合わせの場合、能率を合わせるのにネットワーク方式ではアッテネーターを噛ませないとできません。このアッテネーターの質が音質に悪影響を与えるので安直に、調整のやさしいチャンデバを使ってマルチアンプにしているのです。
音質の劣化の少ないアッテネーターが確保できるのであれば、シンプルな「ネットワーク方式」が良いに決まっています。
使用するケーブルも最高級となると、マルチアンプ方式とネットワーク方式では100万円~200万円の違いが出て来ます。この価格分をSPケーブルにかけますと「音質差」は無いか、ネットワーク方式の方が上になります。
実際に私のオリンパスマルチアンプシステムと自宅の707Jネットワークシステムでは「同等」か音色は自宅システムの方が上に来ます。やり方によって「音質」はかなり変わります。
もう一つ大事な事が有ります。ネットワーク方式の場合、メーカーお勧めの使い方は大きな欠点を持っています。これが、「使い方」が大事な所以です。
低域用のネットワークと高域用のネットワークの接続の仕方で大きくサウンドの質が変わります。ネットワークを2個通過させてユニットに繋ぐ事は避けたいものです。
また、オリジナルで質の高いネットワークを作るのも一つの手でしょう。