日の出が見たく、6時に宿を出ました。ちょっと遅かったのですが、きれいでした。
《朝の陽に 力授かり 秋遍路》
台風の余波が海岸線を襲っています。が、それが美しいんです。波が崩れ落ちた瞬間翡翠の様な色になったり、虹が出たり。それが風によって谷筋を這い上がる。幽玄とはちょっと違う、波が岩や波砕帯にぶつかる音が花火の様で体の芯に響く。見入っても見入っても飽きる事がありませんでした。
《秋の風 白波舞い上げ 雲となす》
《白波に ひとときの虹 秋の陽かな》
明日は二十四から二十六番まで打ち、二十六番の宿坊にお世話になります。
写真、アップするのを忘れました。こちらでどうぞ。
二十三番から海部町、ゆっくり歩きました。
《一歩ごと 秋へ秋へと 進み行く》
牟岐に入り、トンネルを避け、旧遍路道を選択。正解でした。大坂峠を越え草鞋大師。その峠から海が見え、絶景!
《潮騒に 背中押され 落ち葉踏む》
内妻から古江に抜けるのに松坂峠(これは地図に記載されてませんでした)を通過。55号線に沿って歩くんですが、海岸まで下ります。行き着くとほとんどプライベート・ビーチ。素っ裸になり泳いでも問題なかったかもしれません。真面目に暑さにどうしようかとさえ頭に過ぎりました。
意外に前回矢印を見落としてました。それが微妙に地図と一致しないのですが、今日はその矢印に従ってみました。すると静かな道だったりして。これも正解。で、こんなこともありました。牟岐に入る直前、ミツバチの巣箱があって、コスズメバチが襲おうとしてました。数多くのミツバチが巣箱からでて、コスズメバチが近づくと一斉に羽をばたつかせます。するとコスズメバチが離れる。そんな攻防をしばらく繰り返してます。そんなのをずっと見てました。そんなとてもいい時を過ごせたんです。
明日は30数キロ先を目指します。早や出、早や着きをしようかと。なんにしても暑いです。
今日の一枚:本文中のプライベート・ビーチ。11時半過ぎ。
二十三番に着きました。街中のというのか、人が大勢います。今までが静かだったせいか、妙な気がします。
二十二番から海に向かいます。木岐町に「俳句の小径」というのが一キロほど海沿いに続きます。潮騒や風が木々の間を通り抜けていきます。
「ひとりゆく へんろ俳句に 背を押され」
というのがありました。まさにその通り!! 同じ思いになります。この小径は一回目にも歩いたのですが、ほとんど俳句を読んでませんでした。違うもんです。
田井の浦にでると、おばあちゃんたちが待ち構えてました。「お茶、のんでいけ、オニギリも」。
《新米の 接待うれしや 秋の路》
途中美波町で小さな漁村に出ます。小一時間何もせずボォーとしていました。
《漁具洗う 兄弟船に 秋の雲》
彼らは「仕事」「金稼ぎ」の違いを持っている、そう見受けられました。そうあるべき、なんじゃないでしょうか。もし、そうであれば、どこでどう間違ったのでしょう。
日和佐は歩き遍路にとって休日のようです。歩き出して、一週間。二十二番からほとんど登ることなく、海に出て、海沿いを歩く。六、七時間の行程。気持ちいい。日帰り温泉、道の駅、コンビニ、便利でもあります。十七番で会った野宿君も日和佐止まりです。
今日の一枚:二十三番から東を望む。14時頃。
忘れました。明日は海部町を目指します。室戸岬への長丁場に入ります。
今日は土曜日、だったんですね。二十一番に上がると山ガーが数人。おやっと思ったのですが、それで納得しました。早いです、出発してほぼ一週間です。
二十番で「無」という書の石碑に気付きました。前回全く気付かなかった物です。無口な強い意志を感じます(携帯で撮り忘れてしまいました)。納経もしないのに納経所の方に聞いてみました。なんでも、昭和30年代頃の高野山管長さんの物とのこと。その方、NHKの英語のテキストを読んでました。日々是勉強、ですか。忘れてしまった姿勢、です。
今、曼珠沙華が盛りを迎えつつあります。二十一番から二十二番に向かう途中にある大根峠の手前、越えた後。畦に咲き誇っています。稲刈りはたいがい終わっていて、「はざ掛け」は「はだ掛け」と言うそうです。
《空高く はだ掛け越しに 朱き華》
明日は二十三番を打ち、麓に泊まります。
今日の一枚:二十一番。10時45分頃。
今日も暑かった。徳島市内をでると十八番まで国道沿い。風が流れるんですが、日差しがまだまだ夏。
さてさて、宿を出てほどなくおばあちゃんに出会いました。小銭入れを取り出し「にいちゃん、手を出し」。やおらその小銭入れをひっくり返します。あわあわしているうちに一円玉が両手一杯に。「お接待じゃ。お気をつけて」とニコッと。
《老婆より 望み託され 秋遍路》
十八番で、十七番で出会った野宿の兄ちゃんと再会。道の駅「ひなの里勝浦」でも。二十番を越えると言ってましたが、道の駅出会ったのが、二時前。「思ったよりかかりました。この辺りで探します」。
明日は二十番、二十一番、二十二番を打ち、二十二番の麓に泊まります。
今日の一枚:十八番から十九番に行く途中。9時50分頃。
暑かった、暑かった。十七番から今日の宿までの街歩き、静かな道を選んだのですが、アスファルトの照り返しや風が流れなくて参りました。調べると29℃になっていないんですが…。
県道二十号線を歩いていたとき、ダンプの小父さんから声かけられました。「大日寺(十三番)、行くんか? 乗ってけ」 まずいかなと思ったのですが…「ありがとうございます。でも、歩きたいんです。」お接待なら断らない、の不文律。しかし、受けて後悔したり戻ったりするくらいなら、正直意図を伝えよう。幸いにも「かかるでぇ。まぁ、気ぃつけていけや」と。
《川鵜飛翔 光の喝采 鮎喰川》
その後、鮎喰川を越えてからおばあちゃんがオクラを収穫しておられた。挨拶したら、「オクラ、持ってけ」。今日の宿泊はホテル。無駄になる…。暫く歩いていたらまたおばあちゃん。頂いたオクラを差し出し「代わりに受け取っていただけませんでしょうか」「ありがとうよ」。
午後になって十七番で野宿の兄ちゃんに出会いました。「またどこかで会えたらいいですね」と先に出発していきました。前回N師、Y女史を同時に見かけたお寺さん。何か縁を授けてくれる…。としたら、彼には何度も会いそうな気がします。
明日は十八番、十九番を打ち、二十番の麓に泊まります。
ホテルに着いて、シャワー、洗濯。乾燥機の仕上がり待ちに。
今日の一枚:十三番近く、入田春日橋にて鮎喰川を見下ろして、9時頃。人影は庵主。
今日は遍路転がし、六本ある。これから出てくるのを思えば、まあまあの感じ。なんだが、やはり緊張は隠せない。しかし、これを越えなくては。
《深山を いざ越え行かん 秋遍路》
十二番を下った杖杉庵で、屋根のトタンを張り替えてた小父さんと話す。過疎化は止められなくて、空き家が増える。それをNPOが空き家のないようアレンジしてるとか。ただし、若い夫婦に対して、ね。ただ、彼ら地域に入らない、入ろうとしない。それが問題で、五年たって出て行ってもらったことがあるとか。入る前から挨拶に回ったり、集落のために働いたりしないと。その小父さんも田舎暮らし派で、二十年しても、よそ者のように言われることがある…。でも始終笑顔の梅宮達夫似でした。宿以外で「空」を初ゲット。
植村旅館に着いたら小母さん、いない。頼まれ事のあるというおじいさんと玄関先で小一時間話す、四方山話。また「空」ゲット!
明日は十七番まで打ち、徳島市内のホテル。あまり気の進まない街歩き。
今日の一枚:10時頃。浄蓮庵と十二番の間、最後の遍路転がしに入る前。
十一番の境内、お参りを済ませ休憩中。野ウサギの子が走り抜けました。庭木の手入れに驚いたようです。風穏やかなピーカンの秋晴れ。
吉野川の潜水橋、無事渡れました。かなりの水量がありました。二本目を越えたところで、途中JAのスーパーで仕入れたお弁当で昼食。小一時間いましたが、二人ほどの歩きの方が越えていかれました。
《秋風と 吉野の河畔 戯れる》
明日、十二番を打ちます。最初の遍路転がし。
今日の一枚:十番の境内にて、9時40分頃。
追記:昼休みを終えてトロトロと十一番に向かう途中、田んぼでトンボを見つけました。卵を産みつけているのですが、水面をチョンチョンと叩くようではありません。繋がったまま、二匹で水面に落ちています。たまたま、キラキラ光ったので気付きました。後ろにいたのが無事稲に登りました。残った方はなかなか上がれない。金剛杖を伸ばしたら這い登って来ました。後ろにいたヤツの前羽が一枚、半分。杖に掴まったヤツの背中はボロボロで、尾はペッタンコ。何がどうしたのか…。
昨日とうって変わって秋晴れ。風は強いのですが、サラサラしています。今、七番のお庭でゆっくり。今日の宿までいくらもかかりません。
明日、八番から十一番まで打つ予定です。十番を打ち十一番に行く途中、吉野川の沈下橋を渡りたいのですが、昨日の台風の影響でどこまで水が上がっているか心配なところです。計画通りいかないのも遍路旅、ですかね。
宿を出た七時過ぎ、一番に向かう途中。
《秋嵐 去りて一歩の 日和なり》
五番のすぐ側、五百羅漢の庭で。
《銀杏を 集めし音の 五百羅漢》
今日の一枚:七番の休憩所にて14時頃。
追記:これは自分への警句として書き留めておく。ただ、人を心配をさせる。だから、前もって言っておくが、すぐに水分を補給し何事もなかった。それは歩き出して五時間ほどした、五番を打ち終え、八坂神社、神宅の遍路小屋へと進んでたときのこと、突然立ち眩みに襲われた。聞くところによる、熱中症の症状。水は1リットル用意。夏の暑さではなく涼しいので、軽く考えてたんだろう。こまめに取ったつもりだったが、少なかったらしい。荷が重くなったとしても最大量2リットル用意、多い位に補給せよ。今回は街中でのこと、自販機に救われた。これからないところも多い。水を必ず確保せよ。
雨が酷いですが、今日は宿に入るだけ。台風で入れないんじゃないかと思っていました…。
飛行機から二回、虹が見れました。綺麗でした。
明日、通し打ちを目指し、歩き出します。七番まで打つ予定です。
今日の一枚:一番のお寺の最寄り駅、坂東。15時39分徳島発。16時10分頃。