eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

草分けになる

2012-02-13 12:49:44 | 読書/新聞/映画など
「明治十年代というのは、大学で哲学なら哲学を専攻するということは日本の哲学の草分けになるということであった。」(『坂の上の雲』)

坂をのぼる視線のその先に、青空にくっきりうかぶ白い雲がある。明治はそんな時代であった。

青年たちが新しい時代を切り開いていった。

いま、2000年にクラウドでビジネスを開始するということは、クラウドの草分けになることだ。インターネットの草分けになった人たちもいる。

学びについてもそうだ。eラーニングによって、はじめて、学ぶプロセスが、自分以外のひとたちにもリアルタイムで見えるようになった。見えるから、学びを支援できる。学びを指導できる。学びを共有できる。学びを設計できる。学びが進化する。

教育論は人類史のなかで膨大な蓄積がある。しかし、学習論、学びについての研究ははじまったばかりだ。学習論を研究するということは、世界の学習論の草分けになるということだ。

いまは、無数の草分けになることができる時代だ。明治十年よりもっとダイナミックかもしれない。

若者たちの坂の上をみつめる輝くひとみがいくつもうまれてくるに違いない。坂の上にはさらにその先につながる坂道があるにちがいない。

余談。日露戦争の勝利は、皮肉にも、その明治を失わせるものだった。坂の上に、その先の坂道がなかった。大切なものを失っていく下り道だった。

経験から学ぶ

2012-02-13 08:54:59 | eLearning
人類の学びの中で、これまで、経験から学ぶということがおおきな役割をはたしてきたと思う。

したがって、経験を積んだひとの知恵も大きい。

かんのいいプログラマーは、どうしていい「かん」を身につけたのだろうか?
そんな問いから、シミュレーションによる学びの機会を考えたひとがいる。その人から手紙をいただいて、いろいろ考えている。

疑似体験としてのシミュレーションの学習効果は大きい。フライトシミュレーションによるパイロットの養成はひろく知られている。

余談ですが、ずいぶん昔、事故対応力を見るNASAの実験結果におどろいたことがある。ベテランパイロット20名にフライトシミュレーションで操縦してもらった結果です。離陸開始で加速しながら滑走路を疾走しているときに、前を横切るように別の飛行機が滑走路に侵入してきました。この実験でただしく対応できたパイロットは数名だけだったそうです。

このような経験をシミュレーションで身につけるのはわかりやすい。

15年ほど前に、小中学生のネット教材を作成していました。そのときのひとつに、理科の実験で試験管をガスバーナーであたためるというものがありました。試験管の角度や試薬の洗浄がわるいときに爆発がおきます。実際には体験させることができないこのような事故も、シミュレーションでは経験することができる。

マネージメント研修などでは、シミュレーションのすぐれた教材があれば、教育学習効果はたかいにちがいない。

ところで、また余談。

人は、経験から学ぶ力をどの程度もっているのだろうか。その学びを伝える力をどの程度もっているのだろうか。津波のことです。原発のことも。