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eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

変化をとらえる

2008-10-31 09:35:22 | eラーニング市場
「変化」が時代の最大の特徴であるといわれる。時代の基調であることはまちがいない。

1975年ごろまでの安定した資本主義経済を根底からゆさぶっているもの、ソ連体制を崩壊させたものが、このすさまじいスピードをともなった「変化の時代」である。

であれば、「いちはやく変化をとらえる」「変化にいちはやく対応する」「変化をうみだし、変化の波がしらに立つ」ことが、この時代に決定的に重要であることはだれにも異論はない。

では、いかにいちはやく変化をとらえるか。活字になってからではおそい。われわれのビジネスでいえば、ユーザ企業から徹底的にまなぶことであろう。市場で変化がおきる。

変化をいちはやくとらえる人たち、変化が目立ってから気がつく人たち、変化にきがつかないまま退場する人たち。

ドラッカーはこう言っている。”未来にどのように変化するか気が付いているひとたち、まったく気がついていないひとたち、そして、その未来の変化がもうとっくにはじまっていることに気がついている人たちがいる”と。環境問題も、まさにそうかもしれない。

変化をとらえる。それは、「転機」をとらえるということでもある。わたしの現状分析の方法論は、「転機論」だ。

サブプライムローンが、住宅価格の上昇を前提にするシステムであるとすれば、価格上昇がとまったときに重大な転機がうまれる。アメリカの住宅価格の上昇は、2005年にめだって鈍化しはじめた。警戒信号だ。2006年、ピークをうって下降をはじめた。もう、破綻の表面化は時間の問題だ。2007年、破綻がはじまった。2008年金融恐慌に発展している。

転機をとらえるには、どのトレンドの変化が、大きな転機を生み出すのかをとらえて観察する必要がある。

ところで、いま、eラーニング市場は、大きな転機のなかにあります。






eラーニング市場の構造変化

2008-10-28 12:56:11 | eラーニング市場
昨日のミック経済研究所のeラーニング市場調査結果の続きです。

昨日は、今後4年間、年率26%の高い成長が予想されていることをみました。

きょうは、そのeラーニング市場の構造がどのように変化するとみられているかみてみたいと思います。

調査では、eラーニング企業の市場を、「システム関連事業売上」、「コンテンツ開発・販売事業売上」、「運用・サービス事業売上」に分類して、その比率がどのように変化するかトレンドを分析しています。

その調査結果では、運用・サービス売上の急増がめだっています。2007年度には、市場の34.1%であった運用・サービス事業売上は、2012年度には57.0%になると予想されています。

この運用・サービス事業に市場の中心が移るというのは、創業以来ネットラーニンッグが予想してきたことですが、いよいよはじまったこの大きな変化は、2008年度を起点としています。

これほど運用・サービス事業の比重が高まっていく過程では、eラーニング市場全体の伸びが26%という中で、この分野の伸びは50%にもなるということをしめしています。

ネットラーニングは、「運用・サービス事業」をビジネスの核心にすえています。


eラーニング市場急成長の調査結果

2008-10-27 14:00:04 | eラーニング市場
市場調査で定評があるミック経済研究所は、eラーニング市場の調査結果を発表しました。

それによれば、「eラーニングの総市場規模は、2007年度319億円、2008年度には408億円になる見込である。」という。

さらに、「2008年度以降は平均成長率26%で推移し、2012年度にはeラーニング関連の市場規模は1,000億円にまで拡大する見込である。」と指摘されている。

伸び率26%にもなる市場のめざましい急成長が予想されています。

この結果は、eラーニング市場の伸びが鈍化するという矢野経済研究所の調査結果とまったくちがいます。わたしは、最近のブログでも、現在eラーニング市場が大きな転機にあり、転機には、既存の流れは勢いを失っていく、その既存の流れを見ている人には伸びの鈍化が見えており、一方、新しい流れの中にいる人にはダイナミックな成長が見えていると書きました。転機の特徴のひとつは、市場の展望で二つの見方が併存し錯綜することです。

今回、はからずも、矢野経済研究所はこれまでのトレンドをとらえ、ミック経済研究所は、新しいトレンドをとらえたといえます。

今回のミック経済研究所の調査の最大の特徴は、45社ものベンダーを直接取材し、現場のなまの状況をしっかりとらえたところにあります。現場に徹底的にはいり調査した結果です。

トレンドを延長する分析方法は、転機には、見通しをあやまります。


転機の市場の風景

2008-10-20 14:36:43 | eラーニング市場
日本のeラーニング市場は、2000年、2005年につぐ3回目の転機にあります。

転機の市場の風景。

転機には、市場に大きなふたつの流れがあります。ひとつは、変化する前の流れで、次第に小さくなります。もうひとつは、新しい潮流です。力強く流れが拡大します。

このうち、どの流れの中にいるのかによって、見える景色がまったく違います。昇り竜の中にいるのか、凋落の流れのなかにいるのか。

したがって、転機にあたっては、市場の伸びが小さくなるとみる人たちと、ダイナミックな市場の拡大をみるひとと混在しています。うずのなかで、くるくるまわっている人たちもいます。

2005年の転機の時も、小さくなる流れにいた人たちは、「eラーニングは、なぜつかわれないのか?」と叫び続けていました。さすがに、2007年ごろになると、その声もなくなりましたが。

いま、eラーニング業界の方々と話していますと、すばらしい市場の躍進がはじまったと話されるかたと、市場の伸びが低くなり始めたと話されるかたもおられます。これは、転機にある市場の特徴です。

あたらしい流れをとらえているeラーニング会社はまだ少数です。ネットラーニングも、お客様の声をよくういかがって、新しい流れをとらえる努力をしています。やがて、この新しい流れが主流になり、ダイナミックな発展につながっていきます。

3回目の転機のあとに、eラーニングは、あたらしい地平に到達していくでしょう。その背景に、大手企業で普及率が100%に達したこと、SaaSがおもな利用の形態になっていくことなどがあります。モバイルや動画の活用も、転機を促進します。


イーラーニング・ワールド 2008 結果報告

2008-10-14 16:30:23 | eラーニング市場
イーラーニング・ワールド 2008の結果報告書がとどきました。

来場者についてみますと、はじめて参加した人が、実に58.4%にもなります。市場の拡大を感じます。

職種では、経営・役員などが、11.8%です。

来場の目的で一番多かったのは、「さまざまな手法・サービスを参考にするため」で、49.1%でした。ついで、「導入に関する調査」が23.6%です。ネットラーニングでは、来客のかたがたのこのご要望におこたえするために、40回をこえる事例報告のステージ・レクチャーを実施し、ユーザのかたからの直接の事例報告も11社におねがいいたしました。

「新しいコンテンツを探すため」という目的でこられたかたも、22.6%にのぼります。

総じて、今回は、明確な目的をもってこられた方が多いことが特徴です。その結果、出展各社にとっても、商談につながるケースが多く、満足できる結果でした。

来年は、同じビッグサイトで、8月5日から7日まで開催されます。





第三期eラーニングの背景に大手100%の普及率

2008-09-29 12:55:23 | eラーニング市場
eラーニングは、第三期にむけて大きな転換点を迎えています。

2000年のeラーニング元年にはじまった導入期、2005年からの成長期、そして、2009年からの飛躍期。

2005年の成長期への転機は、じつは2004年の夏ごろにはじまっていますが、だれの目にも転機としてみえるようになったのは、2005年の夏ごろです。今回の転機も、だれの目にも転機とわかるようになるのは、2009年の夏ごろです。したがって、2009年を転機の年としてもかまいません。

この転機をもたらしている背景の一つは、大手・中堅企業でeラーニングの普及率がほぼ100%になったことです。各企業にとって、うまくいったeラーニングをさらに多面的に活用するための課題がたくさんあります。

背景のもうひとつは、SaaSの普及です。だれでも、かんたんに多機能なLMSを低価格で自由につかえるようになります。

さらに、SNSとLMSが統合されたネットワーク・ラーニングや、モバイルを駆使したeラーニングなども、今回の転機の背景にあります。

eラーニングの新しい巨大なうねりがはじまります。

転機には、これまでとおなじ営業やおなじ商品を提供している企業は、とりのこされます。売上が落ちる。転機を的確にとらえ、ユーザがかかえる課題を解決する商品を提供する企業が飛躍します。転機には、ある企業にとって市場は縮小し、ある企業にとっては、飛躍的に市場が拡大します。



eラーニング3回目の転機

2008-09-05 14:17:39 | eラーニング市場
日本のeラーニングは、3回目の大きな転機をむかえようとしています。

まず、2000年にeラーニング元年をむかえ、日本でも本格的なeラーニングが、企業向けにはじまりました。1998年創業のネットラーニングも、この2000年4月からサービスを開始しています。

まったく新しく登場したeラーニングの市場は、日本では長い導入期を経験することになります。

2004年の夏ごろから、市場は、成長期に入り始めます。われわれは、その瞬間に転機をとらえ、成長期にみあった企業戦略にいちはやくきりかえました。一般的に転機として認識され始めたのは、2005年夏ごろからです。

いま、日本のeラーニングは、3回目の大きな転機にさしかかっています。力をつけてきたeラーニング市場が、産業としてもさまざまな立場から大きく注目され始めました。その時期にかさなったSaaSは、eラーニング市場を大きく転回させ、いっそうダイナミックな発展へと導きつつあります。

転機のたびに、競合や競争関係が大きくかわってきましたが、今回も大きな再編をともないそうです。SaaS型LMSが一般化すれば、イントラ型LMSの時代は終息します。大規模なeラーニング活用の事例もめざましくふえるでしょう。

いま、競争関係の大きな変動はさけられません。ネットラーニングは、それに見合った競争戦略へ転換します。

以下、以前のブログです。ごらんいただくと、いま3回目の転機が次第に明確になってくることをご理解いただけると思います。3回目の転機は、いま、はじまりつつあります。


転機にあるeラーニング市場 2005年9月12日
 このころには、だれにも転機が見えています。
eラーニング市場の将来 2004年11月28日
 このなかで、わたしは、こう述べています。「市場の急速な拡大は、いまはじまったと思う。」2004年夏に転機がはじまっています。







コストダウンの武器であるeラーニング

2008-09-02 13:23:19 | eラーニング市場
企業の教育研修費は、このところ順調に伸びてきました。

しかし、今年にはいって、伸びが減速しています。2004年ごろから伸びが目立って、高い年には8%にもなっていたのが、今年度の伸びは1.2%(矢野経済研究所)とみられています。

eラーニングは、集合研修にくらべて、大幅にコストを抑えることができることも特徴のひとつです。一般的には、集合研修と同等の研修をeラーニングで実施して、同等以上の研修成果をあげるためのコストは、ほぼ集合研修の四分の一といわれてきました。

多くのユーザから四分の一程度と報告されているので、ほぼそのあたりとみてよいでしょう。

したがって、企業は、同額の研修費をつかって集合研修をeラーニングに切り替える場合、これまで以上に研修を拡大できます。社内に強くある研修の要望に、積極的にこたえることができます。

コストダウンの有力な武器としても、eラーニングが大いに役立ちます。




eラーニング市場の到達規模

2008-08-15 13:00:11 | eラーニング市場
将来のeラーニング市場の到達規模は、どのようなものと予想されるでしょうか。

まず、企業研修についてみますと、現在の日本の企業研修の規模は6,500億円くらいと推定されています。社員1人当たりの研修費は、日本はアメリカの5分の1くらい。知識ベースの国際競争力を高めるために、日本企業は、せめていまの数倍の研修費を投入して、アメリカに追いつく必要があります。したがって、将来の日本企業の研修規模は、1億5千万円程度にはなっていくでしょう。その半分以上がeラーニングになると仮定すると、7,500億円程度です。

生涯教育など個人向けの市場で、まず注目されるのは、英会話など語学関係です。英語関係の市場は、小さい見積もりでは6,000億円、大きな見積もりでは2兆円という推計がありますが、仮に6,000億円とみた場合、将来は、その70%以上がネットなどデジタル機器を駆使したものになると思われます。英語教育分野でのeラーニングは、4,000億円規模までいく可能性があります。そのほか、英語以外の生涯教育の分野も、合計すれば英語以上の規模になるでしょう。

塾や家庭教師など、学生・生徒を対象とするeラーニングも相当大きな市場です。

教育機関でも、大学や小中高校などでeラーニングが本格的に活用されはじめるので、そのサポートなどもかなりの市場になるとおもわれます。

すべて合わせると、日本の将来のeラーニング市場の規模は、2兆円くらいではないでしょうか。アメリカのeラーニングの到達規模は4兆円くらいという数字もあるので、経済規模が半分の日本で2兆円くらいというのは、妥当なところといえるかもしれません。