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eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

はじめがむずかしい

2008-11-26 04:47:38 | eラーニング・ベンチャー企業
はじめがむずかしい。つづけるのは、もっとむずかしい。

はじめかたは、DNAのように、のちのビジネスのあり方を決めてしまう。はじめるときの思想や理念がたいせつになる。

はじめるときは、チャンスをつかむためのあらゆる努力がある。のちにみれば、運がよかったともみえてしまう。

はじめるときは、出会いがたいせつだ。出会いによって成功がある。

はじめたあと、軌道にのるまでは、困難の連続だ。

軌道にのったあと、つづけるのは、もっとむずかしい。理念をわすれたり、好調な時に調子にのりすぎたり。チャレンジをわすれ、流されるままになったり。


eラーニングと起業

2008-07-29 09:33:56 | eラーニング・ベンチャー企業
eラーニング産業における起業を考えてみたい。

アメリカのeラーニング産業には、5,000社のベンチャー企業が、ビジネスチャンスをもとめて殺到したといわれています。きくところによれば、現在数社しかないアメリカの自動車産業にも、当初、5,000社が殺到したそうです。生き残りは、わずかです。

ところで、日本の場合、eラーニング産業にベンチャー企業の参入がすくなかったことが特徴です。eラーニングはIT系ビジネスだと考えたIT系各社の子会社がその一部門で参入して、イントラネット型LMSにかたよった市場を形成してきました。そのイントラネット型LMSの市場の閉そく感がeラーニングの発展をおくらせてきた面もあります。「本をさがしているのに、本棚ばっかり売っている」というユーザの声が端的に市場の状況を示していました。

しかし、95年ごろから、市場の状況がかわっています。eラーニングは教育系ビジネスであることが鮮明になり、市場が大きく成長し始めました。その結果、多数のベンチャー企業も参入を開始しています。

もし、eラーニングで起業するなら、チャンスでしょう。市場はまだ混とんとしており、すべての企業にチャンスがあります。

ところで、eラーニングは、ネットビジネスとみられていますが、実際のeラーニング会社の大半は、ネットビジネスの構造をもっていません。LMSを販売したり、構築を受注する会社は、ネットビジネスではありません。コースを受注して制作する会社も、ネットビジネスではありません。

ネットビジネスの構造をもっているのは、自社商品としてコースをASPで販売している会社です。あるいは、広告モデルでコースを提供することもありうるでしょう。SaaSによるネット上でのLMSの提供も、ネットビジネスといえます。

起業においては、理念、ビジネスモデル、タイミングなどが重要でしょう。

ネットラーニングの場合、起業にあたって、社会に役立つ事業であるか、継続収入ビジネスであるか、到達事業規模は大きいかの3点を重視しました。eラーニングのトップ企業は、売上5,000億円を超えていくでしょう。




新規株式公開企業数とPER

2008-05-14 10:59:45 | eラーニング・ベンチャー企業
2008年度の新規上場企業は、4月1社、5月1社で、合計2社となっています。昨年は、同じ時期に16社公開しています。激減といえるでしょう。

暦年で見た場合は、2008年5月までに23社が公開しており、前年同期の59社の半分以下です。

2008年の初値のPERは、上場企業の単体13社の平均では、予想20.4倍に対して、実績39.1倍とかなり高い水準であるいことが目立っています。JASDAQの単体7社の平均では、予想7.9倍に対して実績12.3倍です。

そのアイデアは時代遅れ

2007-07-21 23:04:41 | eラーニング・ベンチャー企業
「自分のアイデアをみんながいいとほめたら、そのアイデアは時代おくれだ」--ポール・ホーケン

その通りだ。それはまちがいない。

そこで、こういう問題がおきる。

時代遅れでないアイデアは、だれもほめない。だれも賛成しない。そのだれも賛成しないアイデアを実現にみちびく方法は?

創業者がトップである企業にとっては、もちろんそれほど難しい問題ではない。だれも賛成しなくても、創業者は、どんどん実現する力と権限をもっている。

そうでない企業の場合、どのようにして、時代遅れでないアイデアの実現の仕組みをつくればよいのだろうか?結局は、トップの問題だろうか。

(ポール・ホーケンの言葉は、パタゴニア創業者の経営論『社員をサーフィンに行かせよう』からの引用です)


ベネッセの経営思想

2007-06-25 17:57:02 | eラーニング・ベンチャー企業
昨年の夏ごろ、ある勉強会でベネッセ会長の話をうかがう機会があった。明解な経営思想であり、学ぶところも大きいので、そのポイントを6つにまとめてみる。

1、事業経営にとって、時代考察が重要だ。東京だけをみると見誤ることもある。
2、とともに、時代に流されない本質をとらえる力が経営者には求められる。
3、倒産しにくい経営に徹する。現金取引、見込み生産でないこと、継続ビジネスであること。時間とともに経営資源がつみあがる経営。
4、人を軸とした経営とダイレクトマーケティング。1人ひとりニーズがちがうから、客の数で世界最大規模にしたい。
5、発信力・求心力・復元力あるブランドとその実体化。つぎのよき経営者をさがしてくるほどの力をもつブランド力。
6、すぐれたガバナンス。リーダーよりも大切。変質したリーダーをふっとばすほど。

多少の間違いはよいが、基本ディレクションは間違わないことが大切だ。

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魅力的な経営者ですね。

われわれもまた、客の数で世界最大規模にしたい。


No.1の思想

2007-01-14 21:10:32 | eラーニング・ベンチャー企業
一般的にいって、ナンバーワンとナンバーツーは、まったくちがう考え方を持っている。

No.1は、いつも全体をみわたし、さらに前進・挑戦するために、自分のポジションの評価も絶対基準でおこなっている。一般的には、No.2は、No.1をみつめ、その位置関係で相対的に自分のポジションを評価している。

企業の競合関係もそのような側面をもつ。

ここで重要なのは、たとえばNo.2の企業がトップのポジションを手に入れようとするときだ。No.2の考え方のまま、規模だけNo.1に肉薄しながら最終的にはトップ争いに負けるケースを政治や経済などいろんな分野で見てきた。

主流派の思想とでもいうべきか。

トップは、全体を見渡し、全体の利害を代表する。

No.1をめざすときには、それにふさわしい思想を身につけなければならない。




量を求めるか質を求めるか

2006-10-03 13:03:40 | eラーニング・ベンチャー企業
ホリエモンは、時価総額世界一をめざし、それを公言していた。つまり、かれの目標は規模であり、量なのだ。質はない。

「うちにカルチャーはない。稼いだ人、パフォーマンスをあげた人に報酬を払うんだ。」(「逆襲ーードキュメント堀江貴文」317ページ)当然、そうなりますね。首尾一貫している。

カルチャーがない会社。規模の拡大だけをめざす会社。方向は、かまわない。ただ、早く遠くへ走る。しかし、大地には、山も川も谷も海もある。天候もかわる。

質をめざす会社には、方向があり、速度の選択があり、雨や風にあわせた走り方がある。

質を目指せばめざすほど、その会社には、強いカルチャーがある。稼げばよいという人の存在場所はない。理念を共有し、成果をあげる人が評価される。

量をめざすか、質をめざすか、会社によって考え方がちがう。

たぶん、教育の分野では、量だけをめざす会社は受け入れられないだろう。


進化とビジネスモデル

2006-07-11 10:08:26 | eラーニング・ベンチャー企業
生物の進化の過程をみながら、ビジネスモデル構築のヒントをみつけることがあります。

進化は、競争であり、淘汰であり、自己組織化でもある。変化の連続であり、環境への適応があり、ニッチをもとめ、多様であり、バランスがあり、他者との共存が前提となる。

「ザ・サーチ」「Google誕生」など、最近グーグル関係の本を読み、また、インターネット企業の登場や盛衰をみると、各社やグーグルの歴史にも、生物に似た進化のプロセスを感じます。

進化の過程での生物の「発想」の転換や「発想」のひろがりは、おどろくほど、大胆ですね。

いずれにしても、ビジネスモデルを24時間考えつづけていると、いろんなものにヒントをさがそうとしてしまいます。

ビジネスモデル維持のむずかしさ

2006-06-23 12:55:21 | eラーニング・ベンチャー企業
企業は、それぞれのビジネスモデルをもち、それにともなう強さを維持している。

しかし、ビジネスの発展につれて、顧客や営業セクションや株主などからのさまざまな意見や要望に抗しきれず、ビジネスモデルがあいまいになったり、その結果、強さを失ったりすることがある。

創業社長がオーナー会長として強力なリーダーシップを発揮する、あのデルでさえもそうであったことは、いろいろ考えさせられる。

デルのビジネスモデルは、直販にある。それによる低価格販売に世界最大のパソコンメーカーの最大の強みがある。

デルが、それを捨てることなど考えられますか?しかし、実際あったのです。

1991年ごろ、業界では、「直販だけではデルの成長もつづかないだろう」「小売店舗販売しないかぎりデルの未来はない」と広くうわさされた。

デル会長は、こう書いている。「自分の知っている真理を忠実に守るかわりに、私たちは他の連中の言葉を信じてしまった。」直販によって獲得していた優位の意味をさとり、困難な過程をへて、再度小売店での販売を打ち切るまで、4年ほどの時間を要しました。

1994年後半、小売店でのパソコン販売が年に20%も伸びているなかで、デルは、小売チャネルからの撤退を発表しました。そのとき、「すべての報道が」、デルは自ら成長の可能性を限定したと批判し、アナリストも、この決定は誤りだとのべた。社内でも反対意見が多かったのです。

すぐれたビジネスモデルでも、多数の意見に抗しながら維持していくには、強い意志や大きなエネルギーが必要です。ただのつまらない会社にならないために。

おそらく、その維持の困難さは、状況がきびしいときよりも、ダイナミックな成長過程で表面化する。多様なチャンスを失うなと。

参考:マイケル・デル「デルの革命」日本経済新聞社刊、1,600円+税

eラーニングビジネスの持続的な発展

2006-06-23 11:03:08 | eラーニング・ベンチャー企業
ビジネスの持続的な発展を仕組み上もっているかどうかは、株式の公開にあたって重要な要素になります。

現在のeラーニング企業の大半がおこなっている受注型のビジネスは、売り上げの変動が大きく、また、毎年売り上げをゼロから積み上げていくことになります。したがって、ビジネスの仕組みが株式公開に適していない。

一方、自社で開発したコースウエアを多数そろえている場合は、莫大な初期投資を回収したあとには、持続的な売り上げと高収益の構造が確立されます。巨額の利益を新しいコースウエアの開発などに投資しながら、さらに急成長していくことになります。
ただ、この場合は、初期投資が莫大になるうえに、開発したコースウエアが売れるとはかぎらないというリスクをかかえています。

ネットラーニングは、大規模な初期投資の償却をおえ、いよいよ高収益構造にはいりつつあります。