(1)岸田首相には内閣支持率が10%台で、このままいけばかっての森元首相末期の支持率ヒト桁台再現も不思議ではない下り坂の政治状況を迎えている。一方で来年9月の自民党総裁選に向けては、意欲を示す可能性がある「政敵」といわれる高市早苗経済安全相は総務相時代の放送法の政治的公平関与の公文書ねつ造(本人否定でうやむや)で国会で野党の追及を受けて、河野デジタル相はマイナンバーカードの誤入力、誤入金、紙ベースの健保証の廃止で国民的批判を受けて進まず、極めつけが党内最大派閥の安倍派の「5人衆」のすべてにパーティ券収入キックバック裏金問題で東京地検特捜部の事情聴取を受けるという次から次へと自らの政治的問題を抱えて厳しい政治状況を迎えて、岸田首相にとっては仮に来年9月の党総裁選で再選を目指すとすれば他力で政局が開けている好運な事情にある。
(2)そこまで岸田首相、政権が持つのかの大きな問題、関門はあるが、こんな政治状況でも「岸田降し」が党内から起きないのは上述のように意欲を示す有力議員がことごとく問題を抱えて、容易に名乗りを上げられない党内事情がある。
茂木幹事長、林官房長官も野望はみられるが岸田首相、政権を支える要職にあり、今回は総裁選に立候補するとは言える立場になく、これも岸田首相の周到な戦略なのかうまくことが運んでいるという好運だ。こういうことばかりに成果を上げてもらっても国民にとっては困る。
(3)さらに国民アンケートでの自民党に代わる政権党で立憲、維新(どちらかが1、2位)に次いで3位に何とまた自民党が出てくるという不思議な国民の選択肢のない政治認識も味方する。
岸田首相としてはこの上ない降ってわいたような好運の連続の中にあって、ここは今度こそ起死回生の立ち直るべくキッカケとして浮上するしかない。
(4)岸田首相は今回の派閥パーティ券問題を受けて、来年早々に「党の信頼回復のための組織を立ち上げするなど、毅然とした対応を取る」(報道)と決意を述べているが、やはりいつものようにどこかおかしい。
「そのまま」岸田首相に向けられるべき「言葉」そのものであり、岸田首相がそこまで持つのか、心もとない「好運の先」(beyond the fortune)の話だ。