(1)自動車は何千種類の部品の組み合わせによる総合精密機械なのでリコールはつきものだ。トヨタの完全子会社のダイハツが安全認証試験の不正発覚で外部ブランド発注を含めて60車種以上の全車種出荷停止を国交省から指示された事件と同じくして、親会社のトヨタは全米で8車種リコールの発表があった。
(2)助手席のエアバッグが設計通りに作動しない可能性があるというものだが、ダイハツは助手席の安全点検データを運転席用に使っていたデータ不正も指摘されている。トヨタでは以前長年資格のない作業員が安全点検を実施していたことが発覚して自働車産業、業界でのデータねつ造は常態化している企業風土(enterprising natural features)がみられる。
(3)今回のダイハツの安全認証試験の不正もその企業風土がみられて、ダイハツ社長は「信頼を裏切ったことを大変重く受け止めている」(報道)としながら「今まで通り安心して乗っていただければと強く思っている」と述べて、二律背反の意味の通らない発言をしている。
本音と建前が出た発言であり、しかし事は運転利用者の安全、生命、事故にかかわる問題なだけに社長としては企業、責任者として「認証(認識)」の甘さがある発言だ。
(4)事故が起きてからでは遅いと考えるのが利用者の立場であり、企業はその立場を考えて最善の基準、規範、信頼の中で企業活動を進めなければならない責務と責任がある。そのための利用者、消費者の投資、負担であり企業としては当然の対価としてやるべきことをやることが仕事であり、対価の仕事もしないで安心して乗ってもらえればでは説明のつく話ではない。
(5)自動車は毎年1年点検、車検のくり返しで利用者は投資をして安全運転状態を維持する仕組みがあり、自動車メーカーとしてはその仕組みに応える対価としての国の統一基準、規範の履行は当然の責任行為だ。かっての日本の製造業は安全性、品質性、技術性、信頼性の高さで評価されていた。
(6)自動車産業、業界全体として世界の自動車企業との競争、さらに環境時代の中で日本のEV化の遅れで巻き返しに迫られての効率化、利益主義による企業倫理(compliance)の低下、劣化、欠如がみられる企業現象だ。大いに反省して立ち直るしかない。