(1)戦争は始めるより終わらせるのがむずかしいとよくいわれるとおり、イスラエルとハマスの戦闘はイスラエルがハマスの休戦違反を主張して、7日間の休戦、相互の人質解放を終えてさらに休戦延長に向けて協議が続いたが、戦闘は再開されて多数の犠牲者が出ていると報じられている。
(2)露のウクライナ軍事侵攻も1年以上が経過して、露では多数の軍役兵士の補充も発表されて戦争終結、解決への見通しすら見えないこう着状態に陥っている。イスラエルとハマスの休戦延長にはイスラエル国民の人質解放を優先すべきだという強い声、意思、意見、意向があり、好戦強硬派ネタニヤフ首相を動かしたとみられている。
(3)ネタニヤフ首相は以前国民支持を失って政権を降りて野党となったことがある。戦争を始めるのは国、軍だが終わらせるのは「国民」、国民の強い声、意思、意見、意向だ。
露のウクライナ軍事侵攻では、露ではプーチン大統領の独裁体制が敷かれて国民の声は完全に抑えられて届かずに、ウクライナでは数百万人の国民が隣国ポーランドなどに避難してゼレンスキー大統領には届かずに停戦に向かわずに、戦争は長期化してこう着状態が続く。
(4)イスラエルとハマスの戦闘ではイスラエル側からは国民の人質解放優先の声が大きく、ネタニヤフ首相を動かしているが、ハマスからの情報発信は極めて少なく、ハマス戦闘員が地下トンネルに潜行して戦力を温存して所在をつかまれないために沈黙を貫いているとも考えられて、国際社会を動かす原動力(dynamism)になっていない。
(5)ハマスの情報発信、ガザ市民、避難民の声をメディア、国際社会がどう吸収して集約、発信していくのかは戦闘休止、停戦に向けては大きな要因、要素となるだろう。
今回のウクライナ戦争、イスラエルとハマスの戦闘で強く考えさせられるのは、やはり国民、市民の大きな声、意思、意見、意向が政治を動かして国、軍の無謀な独断的な行動、作戦を思い止まらせる大きな力になるという国際人類思想、主義(an international humanism)の実践力だ。
(6)メディア、国際社会が戦争、戦闘、有事に対してもっと果たすべき役割、力が必要だ。