(1)24年はトラック運転者の時間外労働の規制強化で輸送業の労働力不足が指摘されている。需要は増える傾向にあり、ドライバー不足が24年問題といわれる。政府は対応策として高速道路の大型トラック最高速度の80キロ制限を90キロに引き上げる方針だ。しかしこれでトラック輸送の労働力不足の解消につながるのか疑問だ。
(2)トラック運転者の時間外労働の多忙さは事故につながり24年度から規制強化されるが、増え続ける需要に応えるためには逆に労働時間内での密度の濃い過重労働につながる恐れはあり、時間外労働規制強化が根本解決になるかはわからない。
(3)高速道路の速度80キロ制限を90キロに引き上げる対策も渋滞対策をどうするかで効果は違ってくる。高速道路は速く目的地に着く理念から制限速度を引き上げることは意味があり、通行、追い越し車線の多車線道路で信号もなくほぼ一方通行感覚で本来安全性の高い道路であり、制限速度の引き上げは高速道路の理念、目的に沿った有効手段だ。
(4)問題は渋滞対策で、過去の試算ではすべての高速道路上の車が「同じ一定速度」で通行すれば渋滞は起きないとの理論も紹介されたことがあり、しかしこれでは他より速い速度で走り(追い越し車線)早く目的地に着くという高速道路の理念、メリットはなくなる。
(5)トラック輸送運転者にとっても渋滞対策は懸案事項だ。近年はパラレルな乗り換え並行走行の高速道路網も整備されて一方が渋滞の場合に高速道路を乗り換える方法もあるがどこでも利用できるわけでもなく、インフラ整備には財源、土地、環境(破壊)の問題もある。
トラック専用レーンも考えられるが長い距離で時間制限もむずかしく、他車レーンが空いている場合の使い方をどうするのか効率使用の問題もあり、新幹線を含めた鉄道輸送の復活論も検討されているが送り先から届け先までのトラック輸送の利便性は高く、なかなか解決策は見えてこない。
(6)トラック、ドライバー業界全体の問題であり、現在も輸送の共同管理、協力体制も見受けられるが、業界全体の経営改革、輸送体制、効率化、利便性、何より「考え方」の革新性、変革(revolution)が求められている。