(1)アルゼンチンでは中央銀行廃止を主張する極右政党の大統領が誕生して、オランダでは極右政党が第1党に躍進して南から北からと挟み撃ちするように極右政治勢力の台頭、躍進がさらに目につき加速する。
高いインフレ率に物価高騰で国民生活が圧迫され、経済、金融政策が破たんして中央銀行廃止論が支持されるという国家体制への国民の反逆、反体制支持のあらわれだ。
(2)世界的な既成政治、政党への反抗、反乱としての極右政治勢力の台頭だが、日本も現象だけをみれば違いはない。戦後最長の安倍元政権は大企業、富裕層優遇政策(trickle down)を打ち出して、安倍元首相は10年前に当時少数派のリフレ派の黒田東彦氏を日銀総裁に起用して従来のカネの2倍を市場に供給して国債を大量に購入して、ゼロ金利政策の大規模金融緩和策を実施して安倍元首相の経済政策を支えてきた。
(3)国民は銀行に預金してもゼロ金利政策でほとんど利息もつかない状況で資産が増えずに、円安で物価高騰が続き国民生活を圧迫してきた。円安は株高効果を生んで企業にとっては利益の追い風となり、資金も借りやすくなり大企業、富裕層には有利な経済状況をつくりだしてデフレ脱却を目指した。
(4)南米アルゼンチンに北欧オランダと変わらない経済状況となって、日本でも極右政治勢力の台頭があってもおかしくない状況だった。日本が違うところは、それでもまだGDPで世界3位の経済国であり、G7主要国メンバーであり、近年は物価上昇率には追いつけないとしても賃上げは続いていたことだ。
(5)国民、社会には民主主義、自由主義の思想、理念が根付いており、過激な革命思想の経験値のない国民性も影響しているとみられる。日本も戦前は右翼思想の強い軍部が政権を担ってアジア植民地侵略支配、第2次世界大戦に突き進み、広島、長崎への歴史上初めての原爆投下で国民大被害の中で敗戦を迎えて、戦後その反省のもとに新憲法のもとに民主主義、自由主義国家として再出発した歴史観が大きい。