いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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首相の権限集中、イスラエルと日本。 centralization of premier's powers , Israel and Japan

2023-07-31 20:42:45 | 日記
 (1)イスラエル国会で24日、最高裁の権限を抑制し、政権に権力を集中させる関連法案が賛成多数(報道)で可決した。これを受けて世論調査で国民の28%が国外への移住を検討していると回答している。
 政権に権力が集中することで独裁化が懸念されて、与野党対立の悪化、安全保障への不安(54%)が原因といわれる。

 (2)日本では大規模災害、疫病、外部からの武力攻撃など緊急事態時に衆院議員の任期延長、首相への権限集中の緊急事態条項について、衆院憲法審で憲法改正の論点整理がすんで一部には衆院を解散し憲法改正で民意を問うべきだとの声もある。
 何やらイスラエルの政権に権力を集中させる関連法案と時期的にもよく似た内容で、イスラエルでは国民の政権独裁化の警戒感も強く、国民の国外移住検討も出ているといわれる。

 (3)日本では当時の安倍首相が憲法改正に執着し、こだわり、自民党憲法改正草案を基に憲法第9条に自衛隊を明記する憲法改正を目指したが野党から協力が得られずに、それでも自らの政権任期中での憲法改正にこだわった安倍首相はより国民の理解が得られやすい緊急事態条項による憲法改正を目指したことがあった。

 (4)その後の安倍元首相の不慮の死により生前での憲法改正は実現しなかったが、その後の岸田首相も憲法改正に強い関心、意欲を示して衆院憲法審が討議を続けて、論点整理にこぎつけたといわれる。
 しかし、憲法審査会での「野党第1党の賛同を得る」ことや「参院不要論」に応える高い越えるハードルを前に、一部には衆院を解散し、憲法改正で民意を問うことが一番近道という声や「(岸田内閣の)支持率を上げるには憲法改正しかない」(報道)という声もある。

 (5)日本国の基本法の憲法も時代の変化にそぐわないものがあればいつでも見直し、改正することは当然のことではあるが、言われるように首相の名誉、意欲、意向で決められたり、支持率上昇のために憲法改正をすることなど政局に利用されることはあってはならない国家、国民にとって最重要課題だ。

 (6)日本では仮に緊急事態条項で首相に権限が集中したからといってイスラエルのように国外移住が増えることは考えられないが、首相に権限が集中することは政策決定の独断専行の正当性につながり、将来にわたって不安、危険な政治状況を生むことになり、憲法改正が本当に必要なのか慎重の上にも慎重に考え、判断することが求められる。

 (7)確かに憲法第9条は平和憲法の理念ではあるが、時の政権によって判断はどうにでも解釈されて問題、物議をかもしており、自衛隊の明記などではなくもっとわかりやすい普遍的な理念の条文にできないのか疑問はあり、正当な理由があれば憲法を見直すことも必要だ。
 いきなり憲法改正手続き論ではなく国民的理解、合意を優先して論戦を進めるべきだろう。憲法改正で国民が国外に移住するようでは困るだろう。

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