(1)最近のメディア、新聞の劣化を示すものに、世論調査の内容の貧弱さがある。何を聞きたいのかわからないものが多く、動機、理由、条件によってどうにでも転ぶものでも無理やりにどちらかに選択させるものが目につき(横暴な世論調査)、条件つきでないととても答えられないものが多く、ある意味メディア、新聞の誘導尋問、世論動向という意味合いを強く感じるものだ。
(2)直近の新聞の世論調査で今更不祥事がどんどん進行拡大するマイナンバーカード設問は愚問として飛ばして、よくわからないのが安倍元首相が銃撃されて亡くなって1年が過ぎたとして安倍元首相と岸田首相の政治姿勢のどちらを評価するかという設問。
マイナ不祥事問題で岸田内閣支持率が28%に落ち込み、比較国民支持が安定していた安倍元首相と比較してメディア、新聞として何を示したかったのか、世論調査の総括として安倍元首相の存在感が依然として高い、大きいと評価して「岸田首相は亡き安倍氏を念頭に置いた政権運営を今後も余儀なくされそうだ」としている。
(3)安倍元首相が亡くなって1年が経過して、選挙応援中の不慮の事件で亡くなった安倍元首相と比較して国民としても思いの途中で亡くなった政治家に厳しい目もそうはまだ向けられずに、新聞の意図的、世論誘導的思惑がみえるものだ。
安倍元首相は戦後最長の長期政権運営を維持して国民的人気は高かったが、その国民の声、意見にはほとんど耳を傾けなく(本人の政治姿勢としてそう語っている)、世論調査の動向など気にもかけずに内閣支持率は上がったり下がったりどうにでもなるものという考えを示していた。
(4)今回の新聞の世論調査でそういう世論調査、国民の声無視の安倍元首相と聞く耳が特徴という岸田首相の政治姿勢を問い、安倍元首相支持33%に岸田首相10%と安倍元首相の影響力、存在感がまだ高い、大きいと総括したのは皮肉であった。
しかし安倍元首相は自ら任命した黒田日銀総裁の大胆な金融緩和策で株価上昇、経済復活を果たしたが円安、株高の大企業、富裕層優遇政策であり、大企業の利益が中小企業、国民に向かうというトリクルダウン方式を主張して政府主導の賃上げも欧米との金利格差による円安、物価高で実質目減りして効果はなく、国民生活には恩恵は及ばなかった。
(5)安倍政権末期には森友、加計問題に自ら主催の桜を見る会疑惑で自身を巡る疑惑に国会、国民に説明責任を果すことなく虚偽説明を繰り返し辞任した。こういう疑惑政治家と岸田首相の政治姿勢を比較してどういう意味があるのか全く理解できない世論調査の設問だ。
それでも岸田内閣支持率は28%と低迷し、安倍元首相の政治姿勢支持33%に対して岸田首相10%という低さだ。
日本の政治の危機感だけはよく伝わるものだった。