いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

海洋放出。 release in the ocean

2023-07-06 20:17:05 | 日記
 (1)福島第一原発事故による放射性物質冷却用の汚染処理水の敷地内でのタンク保管が限界を迎える中で、政府、東電は濃度を国際基準内に薄めて人体、環境に影響のない範囲にして海洋放出(release in the ocean)することを決定している。
 廃炉に40年はかかるといわれる中で増え続ける汚染処理水を保管するには処理水を循環して何度も冷却利用することができないとすれば、地中深く保管するか空中、海中に放出するしか方法はない。

 (2)地中、空中処理は経費、場所、方法、安全性にリスク負担が大きくむずかしいとなると、海中放出しか手段がないことになる。海外でも濃度を薄めて海洋放出をしている例は仏、中、韓などあり、日本政府も海洋放出を選択した。
 それしかないとはいえ、海洋は世界につながる人類共通の資源、資産であり、何でもかんでも海洋投棄、放出の時代でもない。

 (3)日本ではかって人体に影響のある危険な化学物質を企業が海洋に大量放出して、知らないでその流域の魚介類を食べた住民が重度障害にあうという社会問題も引き起こした環境汚染の歴史を持ち、当時とは化学知識、環境保護、安全性の認識が格段の進歩を遂げているとはいえ、地元漁業関係者からは反対の声も大きい。風評被害に懸念の声もある。

 (4)政府としては、IAEA事務局長が来日してこれまで2年の検証結果による福島第一原発事故の汚染処理水の海洋放出計画が国際基準に合致して人や環境に与える影響は無視できる(報道)として認める報告書を提出して安全性を強調してみせた。
 IAEA事務局長も他国でも海洋放出は実施しているとする一方で「海洋放出を推奨、支持するものではない」として今後も監視、評価を続けることを表明している。

 (5)政府、東電は汚染処理水を海洋放出する際、海底トンネルを掘って陸地から離れた海洋領域での放出を計画しているが、前述したように海洋は世界につながる人類共通の資源、資産であることを考えるならばかえって日本にだけ影響、被害を減ずる方策、選択であり、自衛安全策とも映り反発を買う恐れはある。

 (6)極めてむずかしい問題、選択を引き起こしたのは、原発の安全神話のもとに日本を取り巻くように54基の原発建設を推進して原発の自然災害への安全対策を怠ってきた政府、東電であり、今また自国優遇の汚染処理水の海洋放出といえる。

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