いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

国家犯罪としての戦争。 war as a state crime

2023-07-22 20:30:14 | 日記
 (1)ICC(国際刑事裁判所)が露のウクライナ軍事侵攻により子どもたちを露域内に連れ去った罪で今年3月にプーチン大統領に逮捕状を出したが、ひとつは戦争そのものが国家犯罪(a state crime)であり、今更プーチン大統領に逮捕状が出される不合理性、不平等性、もうひとつが露はICCに加盟していなくてICCの逮捕状の有効性、実効性について問題があると書いたが、プーチン大統領も国内にいる間は問題ないがICC加盟国に外遊すればその当事国にはプーチン大統領を逮捕する義務が生じることから、8月下旬の加盟国南アでの新興5か国首脳会議への出席を見送ったといわれている。

 (2)ウクライナ支援を強めるNATO、米日など西側陣営に対して、プーチン大統領も露同盟国との連携関係を強める対抗姿勢を示しており、ICCの逮捕状は一応その歯止め、足かせにはなっている。国連、ICC機関が戦争は国家犯罪という理念、論理認識で世界の平和に貢献するため、戦争当事国の首脳に逮捕状を出すことはひとつの法的根拠の方法論(methodology)となりうる。

 (3)問題は戦争、国際紛争問題を話し合い、解決するために安保理があり、これが米中露が拒否権を有して自国陣営に不利益な採決には拒否権を行使して協議を有名無実化していることだ。
 米中露の国家的戦争犯罪に軍事力を背景に他国を威圧して領土拡大を目論む国が安保理の拒否権を有する不条理、不適格性についても書いたが、やはりICCのような国連機関の法的立場、執行権の正当性を明確にして戦争国、人権侵害、不当利得国に対する制裁、裁判の有効性、実効性を確立することも世界平和には必要だ。

 (4)国連出資金の多い大国、安保理国が影響力を及ぼす国連が十分機能、調停力を果せない世界では、法的執行権を持つ機関は必要だ。「法的」といっても国際法、国連法にもとづくものが根拠となるので、安保理の拒否権のように世界政治は大国エゴイズムが優位、優先するものであり、法的執行権のある国連機関の設置もなかなかむずかしい話になる。

 (5)ICCのプーチン大統領の逮捕状はプーチン大統領の首脳外交の歯止め、足かせにはなっており、ひとつの勇気ある判断、決断だった。しかし今のままでは仮に南アがICC義務にもとづいてプーチン大統領を逮捕すれば、「ロシアへの宣戦布告となる」(南ア大統領)と述べているようにICCの法的執行権は国際紛争を拡大する危険要素となるもので、理念、制度設計が整わない不十分な有名無実のものでしかない世界の不合理性だ。

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