(1)安倍首相は1昨年の「特定秘密保護法」、昨年の「安保法制」と着々と段取りを踏んでいよいよ念願の本丸の憲法改正(revise a constitution)に向けて準備を開始している。
衆参3分の2以上の賛成による発議(proposition)に向けて衆院は与党だけで3分の2以上を確保しており、参院の改憲勢力3分の2以上の確保のために志を同じくするおおさか維新の会の取り込みを画策して接触しており、同松井代表(大阪府知事)は改憲に前向きな発言をくり返しており計画は思惑どおりに進めている。
(2)甘利引責辞任にもかかわらずに安倍内閣支持率はメディア調査で軒並みに上昇して50%以上を超える勢いだ。今通常国会でも自信あふれる改憲意欲を示しており、批判する野党に対して対案を示すよう挑発する高飛車な発言も多く聞かれる。
安倍首相は戦後政治体制からの脱却を目指しており自主憲法制定が本意だが、まずは現行憲法のどこをどのように改正するのかはまだ示していない。
(3)よく聞かれるのは憲法改正の発議について、憲法第96条衆参議員の3分の1(安倍首相は「たった3分の1」と言っているが)が反対したら発議も出来ないのはおかしいという議論だ。
安倍首相の思惑としてはまずは国会議員の過半数の賛成があれば憲法改正発議が出来るようにハードルを下げる改正をしたい意向のようだ。
安倍発言の裏を言えば半分近くの議員が反対するのに逆に憲法改正発議が出来る可能性というのは「たった3分の1の議員の反対」で発議できない比重と比較すれば、半分近くの反対の意思が考慮されないということのほうが理不尽というもので、発議「過半数」論は改憲発議権としては安倍首相の論理(たった3分の1)からいっても妥当性、理由性を欠くものだ。
(4)そこで今回浮上しているのは「緊急事態条項」の憲法制定だ。大規模災害発生などで国会が機能しない(衆院が選挙中に大規模災害が発生した場合など)場合に、政令で内閣に権限、権能を集中して一本化する法制化だ。
諸外国には見られる条項で現在日本憲法には制定されておらずに、安倍首相は改憲テーマとして理解を得やすいものとして制定化を目指しているといわれる。
(5)一見、緊急避難措置として必要な規定制定化と思われるが、日本憲法にこれまでないのは二院制をとっており衆院が機能しない場合には参院がこれを代行することも考えられ、特別に不利益はないと考えられているからだ。
緊急事態条項はこの参院の大きな役割を否定するもので、衆院で選出される首相、内閣の立場(参院の決定に拘束される問題)を考えるのなら首相の限定的拒否権を考えることも方法論だ。
(6)安保法制でも時の内閣の解釈変更で都合のいい論理で憲法規定を拡大解釈する危険、危惧が指摘されたが、「緊急事態条項」も大規模災害にとどまらずに範囲が政権の判断で都合よく勝手に拡大される恐れは当然考えられる。
安保法制国会審議でも麻生副総理兼財務相は「(気がついたら変わっていたという)ヒットラーのやり方をまねたらどうか」と発言して物議をかもしたが、そのヒットラーは緊急事態と称して政令で権限、権能を自らに集中してその後のドイツをナチス独裁国家への道へと突き進んだといわれており、安倍首相の目指す「緊急事態条項」の憲法論議には憲法学者からも制度上も権力、権能が政令で首相に集中する必要性も含めて批判は多い。
衆参3分の2以上の賛成による発議(proposition)に向けて衆院は与党だけで3分の2以上を確保しており、参院の改憲勢力3分の2以上の確保のために志を同じくするおおさか維新の会の取り込みを画策して接触しており、同松井代表(大阪府知事)は改憲に前向きな発言をくり返しており計画は思惑どおりに進めている。
(2)甘利引責辞任にもかかわらずに安倍内閣支持率はメディア調査で軒並みに上昇して50%以上を超える勢いだ。今通常国会でも自信あふれる改憲意欲を示しており、批判する野党に対して対案を示すよう挑発する高飛車な発言も多く聞かれる。
安倍首相は戦後政治体制からの脱却を目指しており自主憲法制定が本意だが、まずは現行憲法のどこをどのように改正するのかはまだ示していない。
(3)よく聞かれるのは憲法改正の発議について、憲法第96条衆参議員の3分の1(安倍首相は「たった3分の1」と言っているが)が反対したら発議も出来ないのはおかしいという議論だ。
安倍首相の思惑としてはまずは国会議員の過半数の賛成があれば憲法改正発議が出来るようにハードルを下げる改正をしたい意向のようだ。
安倍発言の裏を言えば半分近くの議員が反対するのに逆に憲法改正発議が出来る可能性というのは「たった3分の1の議員の反対」で発議できない比重と比較すれば、半分近くの反対の意思が考慮されないということのほうが理不尽というもので、発議「過半数」論は改憲発議権としては安倍首相の論理(たった3分の1)からいっても妥当性、理由性を欠くものだ。
(4)そこで今回浮上しているのは「緊急事態条項」の憲法制定だ。大規模災害発生などで国会が機能しない(衆院が選挙中に大規模災害が発生した場合など)場合に、政令で内閣に権限、権能を集中して一本化する法制化だ。
諸外国には見られる条項で現在日本憲法には制定されておらずに、安倍首相は改憲テーマとして理解を得やすいものとして制定化を目指しているといわれる。
(5)一見、緊急避難措置として必要な規定制定化と思われるが、日本憲法にこれまでないのは二院制をとっており衆院が機能しない場合には参院がこれを代行することも考えられ、特別に不利益はないと考えられているからだ。
緊急事態条項はこの参院の大きな役割を否定するもので、衆院で選出される首相、内閣の立場(参院の決定に拘束される問題)を考えるのなら首相の限定的拒否権を考えることも方法論だ。
(6)安保法制でも時の内閣の解釈変更で都合のいい論理で憲法規定を拡大解釈する危険、危惧が指摘されたが、「緊急事態条項」も大規模災害にとどまらずに範囲が政権の判断で都合よく勝手に拡大される恐れは当然考えられる。
安保法制国会審議でも麻生副総理兼財務相は「(気がついたら変わっていたという)ヒットラーのやり方をまねたらどうか」と発言して物議をかもしたが、そのヒットラーは緊急事態と称して政令で権限、権能を自らに集中してその後のドイツをナチス独裁国家への道へと突き進んだといわれており、安倍首相の目指す「緊急事態条項」の憲法論議には憲法学者からも制度上も権力、権能が政令で首相に集中する必要性も含めて批判は多い。