いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

子どもの貧困。 indigence of children

2016-02-18 19:45:49 | 日記
 (1)近年「子どもの貧困」(indigence of children)が社会問題としてクローズアップしている。生活困窮の問題もあれば家庭内環境の劣悪化など問題は多い。
 「生活保護費の受給対象となる最低生活費以下の収入しかなく、かつ17才以下の子どもがいる」(報道)家庭のことだ。

 山形大学戸室准教授の調査研究で「子どもの貧困率」がここ20年のうちに5.4%から13.8%に2.6倍にはね上がり、39都道府県で子育て世帯の10%以上が「子ども貧困」状態にあり(研究データ報道)より深刻化している実態が見えた。
 子どもの貧困率も両親がいる場合とどちらか親ひとりの家庭、両親がいない場合とでは深刻さの度合い、影響、対策も異なってくるが、そこまではわからない。

 (2)少子化の中で子育て世帯も20年の間に20%減少(報道)してそれだけ子どもの貧困率も高まりをみせていることもあるが、社会構造上の問題が大きく影響している。

 日本はここ10年以上にわたって長くデフレ不況下にあり景気不安、雇用不安を抱えて、労働形態も従来の正規雇用から非正規雇用が各段に多くなりこれまでは賃金格差による経済格差問題を増長してきた。

 (3)政府は非正規雇用が40%を占める社会到来に同一労働同一賃金(the same labor brings the same wages)の制度改革を検討して、賃金格差の是正に取り組もうとしている。

 前民主党政権時代には子ども手当支援を政策の大きな柱のひとつとして掲げていたが、当時は女性の社会進出の弊害となっていた待機児童を抱える子ども家庭対象者からは個別の子ども手当支給よりは保育所の社会整備充実の要望が強く、政策効果のズレには問題点も指摘されていた。
 また支給される子ども手当が家庭内で趣旨に添って適正に活用されていない実情(親の生活事情で転用)も指摘されもしたことがあり、制度設計に問題もあった。

 (4)安倍第2次政権になって成長戦略、1億総活躍社会を目指して、女性が活躍する社会実現、人口減少、少子化対策を進めようとしているが生活保護者は250万人を超えて記録的にさらに増える傾向にあり、冒頭データでも子ども貧困現象も社会問題化している。

 安倍首相は大胆な金融緩和策などアベノミクスによる円安株高効果、企業業績、雇用回復に賃上げ効果を強調するが大企業中心効果であり、安倍首相が目指す大企業業績回復効果が地方、国民生活にトリクルダウン(trickle down)させるという古い経済方式は円安副作用の物価高騰が賃上げ効果を上回って消費者行動を喚起していない。

 (5)直近のGDP(15年10~12月期)はマイナス成長と経済指標データは軒並み下降をたどっている。安倍首相、日銀黒田総裁はそれでも経済のファンダメンタルズ(fundamentals)は堅調だと都合のいい数字だけを並べて、一方の生活保護者の記録的な増加傾向には関心もないようだ。

 子どもの貧困は生活困窮の問題と同時に家庭内での親による子ども虐待でも大きな社会問題となっており、少子化の中で将来の日本社会を支える社会資産、資本として子どもの貧困は極めて重要な政治的、社会的そして経済的課題となって直面する問題だ。

 (6)安倍政権は投票率も高く人口比率も高い高年令者への対策は強化する(それはそれで必要ではある)が、若い子育て世代、世帯の子ども貧困家庭への支援対策を公平、公正、適正に対応しなければ日本の将来の家族形態、社会構造に影を落とすことになるだろう。
 政治とか経済とか別々ではなくて、やはり社会全体で接して相互関心、協力、支援する体制づくりが必要だ。

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