いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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軽減税率の実効性。 reductive tax rates as for effective policy

2016-02-20 19:31:22 | 日記
 (1)民主党と維新は17年4月に予定されている消費税10%引き上げに対して、政府が決定している軽減税率(reductive tax rates)導入の撤回などがなければ反対する方針を決定した。

 「軽減税率について、高所得者にも恩恵があることから格差是正効果に乏しく、現場の混乱も避けられない」(報道)というのが理由だ。
 消費税引き上げは少子高年令化社会で増え続ける社会保障費の財源不足の充当を目的として実施すると政府が説明しているもので、そのための税収効果を最大限高めるために財務省、自民党では当初から軽減税率の導入には反対、慎重な意見が多かった。

 (2)連立与党の公明党が選挙公約で掲げていたこともあり軽減税率の導入を強く主張して、これを選挙対策として安倍首相、官邸主導で財務省、自民党の反対、慎重論を押し切って導入を決定していた選挙対策用の方針でもあった。

 軽減税率は消費税(付加価値税)が20~30%台と高い欧州ではすでに導入されて、対象品目によっては消費税0%というものがあり効果性は高いといわれて定着している制度だ。

 (3)日本の場合は現在消費税8%で政府は当初15年10月に消費税を2段階で10%に引き上げる方針を示していたが、当時の経済状況は貿易収支の連続赤字、GDP四半期のマイナス成長など経済指標データの下降の中で安倍首相が17年4月へ先送りした経緯がある。

 与党合意の外食を除く食料品全般を対象とする軽減税率導入の減額効果は財務省の試算では年間4200円程度と見積もっており、この程度の減額で効果性はあるのかとの疑念はある。

 (4)高い社会保障政策、国民負担制度に違いのある欧州と比較して、日本の場合は消費税率も低く連動して効果性も比較低いうえに、軽減税率対象品目もすべて現行の8%消費税が課税される方式なので実効性(effective policy)には問題もある。

 目的に絞って対象品目によっては消費税0%対象も考えるなど、政府のいう国民の痛税感解消を目指すのならもっと低所得者層への実効性にも配慮する必要があるだろう。

 (5)民主党などの軽減税率導入反対理由の高所得者にも恩恵があることについては、現場での識別対応は不可能であり同一基準で対応するしかないが、それで低所得者層への政府のいう痛税感解消対策をも同時に撤廃することを同列で考えることはできない。

 (6)格差社会は今日的、世界的な社会構造の重要影響問題であり、21世紀の資本論の著者ピケティさんも格差社会解消、高所得者層への課税強化が今日的問題解決に必要だと述べており、軽減税率導入後の高所得者層に対しては特別の税負担を求めることで格差是正に取り組むことが考えられる。

 (7)しかし、財務省試算のように軽減税率導入で年間4200円程度の減額効果ではいくら何でも物足りないものがあり、これから本格化する国家審議でより実効性のある痛税感解消の軽減税率制度に高める必要がある。

 現在の経済指標データはGDP四半期(15年10~12月期)のマイナス成長、日銀のマイナス金利導入影響などで15年10月消費税10%引き上げ先送り時より深刻化しており、17年4月消費税10%引き上げにも影響が考えられてアベノミクス効果も試練を迎えることになる。

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