いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

電力、料金自由社会。 free society of electric power and power rates

2016-02-27 19:30:44 | 日記
 (1)独占、寡占事業というのは公平、公正な競争力を失うから、事業利益偏重の唯我独尊、消費者無視の姿勢を貫く。全国を地域ごとに分轄してそれぞれ1社の電力事業者が支配する日本の電力市場は他国に比較して電力料金が高いといわれて、対策として政府は発電、送電事業の分轄を検討してきたが(20年に向けて実施計画)今年4月から電力自由化に踏み切ることを決定した。

 (2)すでにエネルギー、交通関連事業者などの新規参入事業者が名乗りを上げて、セット料金の設定で割安な電力料金を計画提示している。

 これを受けてこれまでの電力寡占大手事業者からは値下げが相次いでいる。原油安市場の影響で電力料金は値下がりを続けているが、今年4月の電力自由化に向けてこれまでの電力寡占大手事業者が値下げを提示するのならもっと早くから適正価格の設定が求められたものだが、これが電力寡占事業市場のへい害だったということだ。

 (3)今年4月の電力自由化を直前にして、法令に基づきこれまで工場など大口需要者向けに限って電力事業に参入していた新電力の日本ロジテック(東京)が突然撤退することになった。4月の電力自由化を直前にして特別に有利な料金設定方針もなくて、自由化競争の中で事業採算性がとれないことからの撤退とみられている。

 電力自由化ではエネルギー、交通関連事業者などの新規参入事業者が本家の事業展開とのセット料金(ガス、交通費とのセット割安など)割安市場競争が本格化しており、特段に組合せのもたない事業者には不利な新電力市場といえる。

 (4)日本ロジテックは独自の自家発電設備を持たずに他業者から電力を一括調達して販売する方式のために、自由化競争に効率的、効果的に対抗できないと判断したようだ。
 決断の時期が悪かった。電力自由化を今年4月に迎えての直前の2月では電力自由化への消費者の不安を募らせる結果となる。

 (5)新規参入事業者のセット料金割安提示とこれまでの電力寡占大手事業者の値下げ提示の電力値下げ競争の中で、市場は当然のように電力安定、安全供給の重要性、必要性が見直されてきている。

 電力自由化先進国の欧州では必ずしも効果、成果をあげていないといわれている。日本の電力事業が大手電力事業者で寡占されてきた背景には、豊富な自然水系を利用した水力発電事業の生い立ちからダム発電施設建設、市街地への長い送電網の高い設備投資を必要として、参入事業者にも限りがあったことがあげられる。

 (6)しかし近代化によって電力は火力発電から原発発電に主力が移り、海岸域、工場地帯での発電が中心の市場を迎えている(火力は温室効果ガス規制、原発は安全対策に根源的問題を抱える)。

 さらに持続可能(sustainability)な再生可能エネルギーの発電時代となれば、新規参入事業者にとっても有利な環境条件となることが考えられる。

 (7)電力料金設定の割安競争に目がいく市場に警戒感も当然あるがそもそも他国に比較して日本の高い電力料金設定ということもあり、政府が示しているように新規参入事業者の審査、認定を厳格化して持続可能な自由化制度として安全で安定した適正価格の電力需給環境を目指してほしいものだ。
 

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