いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

世界遺産の価値。 merit of world heritage

2015-05-06 19:53:52 | 日記
 (1)東日本大震災で大津波にのまれて鉄骨だけになった庁舎を残すのか、取り壊すのか議論になった。後世に地震津波災害の脅威を伝えるために残すべきだという意見もあれば、大きな被害を受けた被災者の中にはいつまでも記憶恐怖にとらわれて見たくもないという意見もあった賛否両論がかわされた。

 70年前の広島に投下された原爆中心地のいわゆる「原爆ドーム」も「同じ」論議(報道)がかわされた。
 結果として今は再興された広島中心地に「原爆ドーム」として残されて原爆の脅威、人類の過ち、愚かさを今に伝えて、反核の象徴として世界からの来訪者を迎えてこれからも永遠に受け継がれていく。
 当時壊されて跡形もなくなっていたと思うと、原爆の惨禍を今日に伝える歴史も変わっていたのではないのか。

 (2)「原爆ドーム」は96年に世界遺産(world heritage)に登録された。当時の国民、市民の二度とくり返してはならない原爆投下の悲劇、惨禍を世界に後世に伝える使命感としての賢明な判断力、努力が、今にしてそしてこれからも永遠に「現実(reality)」のものとして伝える世界遺産となった。

 (3)その世界遺産、日本は13年に「富士山群」、14年に「富岡製糸場群」と毎年推薦、登録が続き、今年は「明治日本の産業革命遺産」(長崎軍艦島など)を関係調査機関がユネスコに登録が適当と勧告し、日本から3年連続で世界遺産に登録されることが極めて有力(確定)となった。

 ユネスコへの世界遺産推薦は各国で年1件(報道)とされているが、近年の日本の世界遺産推薦、登録は目を見張るものがある。

 (4)過去の歴史を残す施設、名勝も年代を重ねるに従って保存環境、運営にも厳しい状況に置かれているので、国をあげての保存協力計画、注目されての観光資源(収益)に期待することも後押ししているのではないのか。

 (5)中東、西アジア内戦ではアルカイダ、ISの国際的過激派組織による古代遺産の破壊が続いており、世界遺産の保存の必要性、方法論、国際的な関心の高まりを世界的に共有する意味でも、ユネスコによる世界遺産の登録保存の推薦強化は時代の要請でもある。

 世界遺産の登録後は対象国(地域)に対して対象物の保存、維持に多額の資金、保存制約もあり、国民共有の資産としての自由な歴史的資産価値の利用とは反比例する効果もあり、残すことと自由に楽しむこととの両立課題は残る。

 (6)残しながらも国民、市民、世界からいつの時代でも自由に歴史的資産、遺産を共有し楽しむ方法論(methodology)についても考えるべきだ。
 「原爆ドーム」のように残すことが今のそしてこれからの永遠の人類の戒め、教えとなる資産価値(merit of heritage)であり、「富士山群」のように利用者が保存環境の大切さを意識しながら、考えながら自由に利用、登山することで楽しみも共有する意味もある、それぞれの世界遺産群だ。

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