いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

なし崩しの3原則。 3 fundamental principles by installments

2015-05-10 14:30:52 | 日記
 (1)米国オバマ大統領との日米首脳会談で今夏までに成立させると約束した安倍首相の安保法制条文に与党間協議で確認された武力行使の「新3要件」が明記(報道)される。
 この国の政治はよほど「3原則(fundamental principle)」が好きだ。唯一の戦争被爆国として戦後の平和政策の柱として「非核3原則」堅持を打ち出していたが、①持たず、②つくらず、③持ち込ませずのうち、持たず、つくらずはすでに日本は核兵器の製造能力はあるといわれて、議員の中には公然と核兵器保有論まで主張するものもいる。

 持ち込ませずは、72年沖縄返還時の日米「密約」ですでになし崩し(by installments)にされているのは周知の事実で(日本政府は正式には認めていない)、非核3原則は根底から崩れている。

 (2)「武器輸出禁止3原則」は世界の高度技術開発力の持続性維持の名目で見直されて、事実上武器輸出が解禁された。
 今度は集団的自衛権(collective self defense)の行使における「武力行使の新3要件」だ。①日本または同盟国が武力攻撃を受けて国民の生命、自由などに明白な危険がある(要約)、②他に適当な手段がない、③必要最小限度の実力行使にとどまる、というものだ。

 安倍内閣の得意とする「解釈」によっては、世界のどこの地域でも起こり得る自衛隊派遣による集団的自衛権の行使容認につながる内容だ。

 (3)特に注意すべきは、②の「他に適当な手段がない」場合だ。日本国憲法は第9条で国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せずに、交戦権を有しないと規定している。

 同盟国とともに海外において他国からの武力攻撃に対してともに戦うなど出来ない憲法理念、精神、信条、条文にありながら、「他に適当な手段がない」場合の武力行使論などあり得ないわけだ。

 (4)③の「必要最小限度の実力行使」も一見自制主義に見えるが、「必要」とは限りがない効果主義であって解釈によって無制約と同じだ。
 この武力行使の新3要件は成立時からすでに「制約」を示したものではなく、都合よく見せかけの自制論でしかないものだ。

 過去の歴史の「3原則」のなし崩し論どころのものではない、最初から見せかけだけの無原則論の武力行使でしかない。

 (5)国民に約束した政策、理念、信条をこれまで勝手に都合よく変更してきた政府の「3原則」論だ。今回の安保法制では最初からその「手間」を省く(save time)無謀ぶりだ。
 おまけに今回はこの法案の国会審議もはじまらないうちから、安倍首相が訪米で先だってオバマ大統領には成立を約束するという無原則ぶりで、国民は随分となめられたものだ。

 (6)過去の平和国家としての象徴としての非核3原則、武器輸出禁止3原則をなし崩しに否定してきた歴史の結果、延長としての安保法制の武力行使の新3要件といえるもので、事態は深刻な方向に進んでいる。

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