いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

パラドックス国家。 paradoxical state

2015-05-29 20:03:59 | 日記
 (1)スイスの国際研究機関が発表した主要61か国、地域の2015年「世界競争力ランキング」で日本は前年から6つ順位を落として27位となった。アジアでは中国(22位・+1ランク)、韓国(25位・+1ランク)に追い越されてアジアをけん引する主要国としては最低ランクと評価された。

 1位は3年連続で米国で香港、シンガポール、スイスと続いている。日本では平均寿命、外貨準備高などはトップクラスであったが、財政状況、移民政策、外国語能力が最低水準(報道)とされた。

 (2)世界の競争力評価(appraisal of competitive power)となると、国の財政状況(健全化)、教育投資、外国人受け入れ、国際性が大きなポイントとなるだけに、今の日本にとってどれもがマイナスに働く分野であるだけに27位評価も致し方のないところだ。

 ついでに国民の経済格差問題も考慮すると世界的にどこも一緒とはいえ、オバマ政権が富裕層への課税を強化する方針なのに、安倍首相は大企業優遇の税制改正を進めて比較評判はよろしくないところだ。

 (3)中国が日本を引き離して22位に位置付けるのもよくわからないが、AIIBをけん引して低開発国、地域へのインフラ整備に影響力を発信して、中国の銀行力が世界市場でトップクラスでの高い経済影響力が一層評価されたものなのだろうが、それでも今米国と覇権を争う中国が競争力20位台に甘んじているのも国内政治、統治方式による一党独裁制の抑圧、抑制社会構造が受け入れられずに問題視されているのだろう。

 かっては世界の秩序、経済をけん引してきたG7,G8にかわり、新興国中国の台頭によりG20が世界の秩序、経済に強い影響力を持ち世界地図が変わりつつあることをこれからも反映していくのではないのか。

 (4)米国は別にしてもG7,G8先進国はいづれも上位にはランクされずに、アジアで唯一G7,G8メンバー国の日本の27位と低い評価だ。
 民間機関の調査評価とはいえ、日本の世界における評価、位置を知る上では大いに参考とすべきものだ。

 ノーベル賞授賞ではここ10年間で米国に次いで多くの授賞者を輩出して、先端的科学技術開発力、未来経済力でもグローバル社会で存在感を示している日本だが、大学の世界ランキングでも東大の20位台が日本の最高位という低評価と共通する国際性不足が顕著だ。

 (5)個々の分野の評価とあわせて、政治力、政策力の国際的低評価が根底にある。その政治は世界にまれな平和憲法を擁しながら、同盟国米国追随の軍事同盟化を一層強化する安保法制化に懸命で安倍ナショナリズムの台頭は世界から警戒感を持って見られている。

 教育制度、技術開発力能力の高さはあるが、国による教育投資の低さはいつも指摘されて、経済力はあるが国際性に欠ける日本のパラドックス国家構造性(organization of paradoxical state)が問題だ。

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