いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

核保有大国のエゴイズム。 egoism of powerful nations of possessive nuclear weapon

2015-05-28 20:00:12 | 日記
 (1)09年にプラハでオバマ大統領が「核のない世界」宣言をしてノーベル平和賞を授賞し、米ロ核兵器削減交渉がはじまって世界は平和実現に向けた歩みを始めたかに見えたが、ロシアがクリミア半島併合後の米、EUとの対立で核保有大国としての脅威論をたびたび強調しプーチン大統領は実際に核兵器配備を検討したと証言した。

 今回の191か国、地域が加盟する核兵器拡散防止条約(NPT)再検討会議は核保有大国と非核化国が核兵器使用禁止条約や世界の指導者の広島、長崎の訪問、中東非核化の文言採択を巡って話し合いがつかずに対立が鮮明になって、約1か月の会議の末に二度にわたって提出された最終合意案を採択できずに閉幕となった。

 (2)そもそも米ロ中をはじめ核保有大国が既得権益を誇示して、他国の核開発を認めないという一方的な都合主義の核政策のなかでのNPTの「限界(limitation)」を示す決裂会議となった。
 唯一の戦争被ばく国の日本としてこれまで同盟国米国の核の傘に守られてきた遠慮が核軍縮に消極的姿勢をとらせてきたが、ようやく今回はNPT合意案に世界の指導者の広島、長崎の訪問を促す文言を盛り込む働きをしたが、歴史認識問題で対立する中国の反対で削除された。

 NPTは国連本部で開催されたが象徴的に国際紛争に対する有効な調停能力を発揮できない国連の指導力のなさと同じ結末を迎える構造上の限界を示す結果となった。

 (3)今回の核軍縮、核兵器使用禁止条約に対する核保有大国の「反対」、米国によるイランの核開発を認めずイスラエル擁護の中東非核化「反対」、ロシアの核保有大国の威力誇示はどこからくるものなのか、核保有大国のエゴイズム(egoism of powerful nations of possessive nuclear weapon)だ。

 核兵器の脅威は唯一世界大戦で米国により45年広島、長崎に投下されて瞬時にして都市を焼け野原にして数十万人の民間人ほかを殺傷し、今もその被害影響に苦しむ人類の平和、安全に逆行する恐るべき兵器である。

 (4)現在の核兵器は限定的(地域)核兵器といわれるものでも広島、長崎投下と比較にならない威力兵器であり、仮に使用されるということになれば自らが生存する人類、地球環境を破壊して取り返しのつかない最悪事態を招くことは自明のことである。

 核脅威論はパラドックス(paradox)として使用することが「現実的」でないことを意味している。
 こういう矛盾した核兵器脅威論支配体制の世界のなかでNPT会議は最終合意案採択で決裂したが、仮に採択されても核保有大国のエゴイズムにより理念、理論が守られなければ意義もないものだ。

 (5)唯一の戦争被ばく国日本の役割、使命、責任の重要性認識が強く求められている。

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