いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

複雑な思い。 complicated mind

2014-01-23 19:27:26 | 日記
 (1)田中将大投手が7年契約161億円(報道)で米大リーグ名門のヤンキースへ移籍することが決定(合意)した。なかなかいろいろと複雑な思い(complicated mind)だ。

 昨年、日本プロ野球で24勝0敗の記録づくめの活躍をした日本球界屈指のエースが①米大リーグに野球の新天地を求めて若く(25才)して移籍することによる日本プロ野球から話題と実力と魅力がまた消えること、②日本プロ野球のスケールがだんだん小さくなるさびしさに、③米大リーグの有能選手の育成リーグ化して、選手が日本プロ野球に懸ける思いよりは将来の米大リーグ移籍を視野に入れた選手の計画的な野球活動が普通になる(創設したばかりの楽天球団に田中将大投手がすんなり入団したことから入団チームにこだわらない現在の方向を危惧していたし、日本ハム球団の大谷翔平投手・外野手ははじめから近い将来に米大リーグ入りを前提とした同入団をみると)日本プロ野球のレベル、魅力低下の行く末がある。

 一方でプロ野球選手の有能な個人事業主として、日本を代表して野球の本場の米大リーグに大リーグ投手史上5位という超高額サラリー(ダルビッシュ投手の3倍近い)契約(contract)で高い実力が認められて、米国に進出するグローバル性、トピックス性による日本ブランドの優秀性の発信にも誇り、開拓力(frontier)の期待はある。
 トヨタが北米に進出して生産台数世界一を記録した性能の高さと開拓力だ。

 (2)7年契約161億円は年間サラリーにして23億円の破天荒なものだ。需要と供給の利益効率関係からはじきだされた、まさにアメリカンドリームの国ならではの経済感覚だ。

 いかに自由主義経済といえども経済、社会規律(discipline)はあり、あまりの投機対象のような破天荒な商品金額のつり上げには良心的、良識的な批判はある。
 昨年のポスティング方式での米大リーグ移籍による球団への支払額の上限額の制限規制で、日米野球界がなかなか合意にいたらずにもめた経緯もあるように、経営資金の乏しい球団に不利な天井知らずの移籍金高騰の経済環境に対する反省、見直し論(新しい移籍制度)はある。

 (3)年間23億円というと一般サラリーが日夜汗水流して生涯働いてもはるか夢のような金額で、人間の努力、苦労が正当に評価される社会規範(paradigm)の枠をはるかに超越した異常格差が社会良識、常識をも破戒するものだ。

 当人にも人知れずの努力、精進はあっても、ほとんどは持って生まれた能力、天賦の才だ。生まれた環境、才にかかわらずに努力、精進、苦労が公正、公平、正当に評価されてこその人間社会の一体感だ。
 田中将大さんも高騰する移籍金に一部寄付行為を申し出たとの報道もあった。本人にも社会常識の枠から飛び抜けた才能と評価に社会的責任の重さ、自覚はある。

 (4)日本でも年間10億円プレーヤーが出てもいいという選手発言もあるが、その経済感覚には同意できない。支えているのは生涯働いてもはるか夢のようなサラリーの広い国民層だ。

 夢はあってもいいし、目標とすることも必要だ。しかしバブル(bubble)はバブルだ。経済にも社会規律、規範にも一定の水準を維持して、機能して持続可能な成長社会を共有することは生活の基本だ。

 (5)もちろん純然たる野球でいえば、田中将大投手の米大リーグでの活躍に期待し、日本野球を経験した米国プレーヤーが米大リーグに戻って成長、活躍する事例もあるように、将来、日本プロ野球が米大リーグをしのぐ日がくることを夢みたいものだ。
 それは、夢でもない(not dreaming)かもしれない。

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