いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

露骨な反論。 candid contrary opinions

2014-01-18 19:44:09 | 日記
 (1)中国政府は安倍首相の靖国参拝批判を欧米各国にも拡げて激しさを増している。おおむね国際社会は安倍首相の靖国参拝には自重を求める論調が強く、日本の国内問題でありながら成長するアジア経済のけん引国である中国への配慮か、日本と中国の関係改善によるアジア圏の安定を願う国際社会、とりわけ経済不安の欧州各国からの日中関係改善のために日本側に自重を求める意思が強い。

 同盟国の米国までもが安倍首相の靖国参拝に対して「失望」を表明して強い不満のメッセージを発信している。いまや米国もアジア政策は日本よりも経済優先の中国第一主義が鮮明になっており、日本との同盟関係上日本の外交上の立場は擁護しているがアジア安定のために中国への配慮もただよわせている。

 (2)安倍首相の靖国参拝に対しては、国際社会はおおむね批判的で日本、安倍首相は孤立している。国際社会はかって旧日本軍による侵略支配を受けた中国、韓国とは違って歴史認識問題をとりあげてのものではなく、経済成長台頭の中国に配慮して日中関係改善によるアジア安定を願う意図が見えるものだ。

 ここにきて日本は駐米大使が米紙に寄稿して「(アジアの平和と安全に対する深刻な懸念は)靖国参拝ではなく、中国の他に例を見ない軍備増強による威圧」(報道趣旨)だと反論した。
 「中国と異なり日本は戦後、戦闘で一発も弾を撃っていない」(同)とこれまでとは打って変わってのかなり強硬な反論を展開している。

 (3)さらに国内からは、自民党総裁特別補佐(首相側近)が講演で米国に対して「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」(報道)と反論している。

 米国の露骨な「失望」発言に対するこれまた日本側の露骨な反論(candid contrary opinions)だ。国際社会の変化、アジアを取り巻く経済環境、背景の違いを考慮しないストレートの反論で、まさに売り言葉に買い言葉的様相だ。
 中国の国際社会に向けた靖国参拝批判展開に合わせて、日本側も時を同じくして日米からの反論圧力攻勢を示したものだ。

 (4)外国政府の口を封じることなど土台無理な話で、同じステージに乗って批判、反論合戦をやる必要もなく、純然たる国内問題として日本政府、安倍首相のいう「国のために命を落とした人に尊崇の念を示すのはどの国のリーダーもやっている」という考えを伝える努力をすべきだ。

 もちろん国内的に考察しても、中国大陸に侵略支配して中国をはじめアジア人に多大の苦痛と被害を与え、あわせて日本国民を戦争に駆り立てて多大な被害を与えた戦争主導者(A級戦犯)に対して靖国参拝で尊崇の念をあらわすという誤解を与える行動は、首相としては慎むべきことだ。

 (5)靖国参拝は安倍首相の「心」の問題ではなく、思想信条、支持を同じくする人への意思表示、パフォーマンスであることは明白だ。
 「心」の問題であれば形はどうでも問題はなく、神聖にいつ、どこでも偲ぶことはできる。

 純然たる国内問題でありながら、中国ほか国際社会からあらぬ批判、自重を求められる要因だ。問題は露骨で売り言葉に買い言葉のような日本側の中国、米国に対する反論姿勢だ。

 (6)自民党一強時代、安倍首相の官邸主導政治の中で政府は保守色、右傾化を強めており、そのおごりだとすれば中国、韓国の思惑にはまって国際社会からの孤立を強め、立ち行かなくなる危険性はある。

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