オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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SEGA MAD MONEYがやって来た!(4):MAD MONEYの解剖その3

2022年12月18日 22時11分38秒 | スロットマシン/メダルゲーム

今回はリールユニットの側面を見ていきます。便宜上、正面から見た左側を左側面、右側(ハンドルが付いている方)を右側面と呼ぶことにします。まずは左側面から。

リールユニットの左側面。

左側面はメカっぽいものが少ないですが、第1リールの「リールストップレバー(Reel Stop Lever・赤く着色している部品)」と「リールストップスター(Reel stop Star・緑に着色している部品)」が見えます。リールストップレバーはクロックファンの回転でゆっくりと起き上がり、最終的に先端に付いている「リールストップレバーブロック(Reel Stop Lever Block)」がリールストップスターの歯に嵌まってリールの回転が停止します。

リールストップレバーの先端にあるリールストップレバーブロックがリールストップスターに嵌まっている部分の拡大図。①=リールストップレバー ②リールストップレバーブロック ③リールストップスター。

リールストップレバーブロックの取り付けにはいくらか遊びがあり、回転しているリールストップスターに触れても浅い段階では嵌まらずに逃がします。その間、リールはパチスロで言う「スベリ」に似た挙動を見せます。

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次にリールユニットの右側面を見ることにします。こちら側には、コインの投入を感知してレバーを引けなくしているロックを外し、レバーが引かれることでリールを回転させる機構が見えています。それらの部品の名称はサービスマニュアルを調べればわかるのですが、ただ、それらの部品がどこにどのように作用しているのかが全然見当が付かず、単に「こういうものがあるのだなあ」と思う事しかできません。

リールユニットの右側面。

しかし、ゲーム結果を検知して払い出しを行うメカニズムについては、かすかに見当が付かないこともありません。まず上図の赤く着色している円盤(の一部)ですが、なぜかサービスマニュアルには名称が記載されていません。ネット上を検索すると、「リールディスク(Reel Disc)」とか「ペイアウトディスク(Pay Out Disc)、あるいは単に「ディスク(Disc)」などと呼ばれています。拙ブログでは文字数が少なく済む「ディスク」と呼ぶことにします。このディスクには、シンボルごとペイアウトレバーごとに割り当てられていると思しき(緑文字部分は2022.12.17に修正)同心円上の然るべき場所に穴が開いています。

ディスクの模式図。一つの同心円が一つのシンボルに割り当てられているが、どの同心円がどのシンボルに割り当てられているかまでは究明できていない

ディスクは3枚が重なるように並んでおり、外側から順に第1リール、第2リール、第3リールに同期して回転します。全てのリール(とディスク)の回転が停止すると、次に7個の「ペイアウトレバー(Pay Out Lever)」が一斉にディスク向かって倒れていきます。この時、ディスクに穴が開いていると、そこに対応するペイアウトレバーはより深く倒れます。

後方上から見た、7個のペイアウトレバーと3枚のディスク。

さて、この次がよくわからないのですが、ペイアウトレバーの動きが、フレームの下の方に見える水平のレバーにどうにかして作用します。この水平のレバーの名称もサービスマニュアルではよくわからず、ネット上では「ホライゾンタル・ペイアウトレバー(Horizontal Pay Out Lever)」としているサイトを発見したので、拙ブログでもそう呼ぶことにします。

ホライゾンタル・ペイアウトレバー(赤く着色した部分)。

このホライゾンタル・ペイアウトレバーの動きがどうにかなって6段に重なっている「ペイアウト・スライド(Pay Out Slide)」のうち適正な段を引くことで「ペイアウトチューブ(Pay Out Tube)」内のコインが払い出されるのですが、その詳しい仕組みはまだよくわかりません。

ペイアウトスライドもペイアウトチューブも前面からでないと見えませんので、続きは次回といたしますが、最後にオマケ情報を一つ。マーシャル・フェイ(Marshall Fay)氏の著書で、6版まで重版している「Slot Machine America's Favorite Gaming Device」には、マーシャルの祖父、チャールズが19世紀末に開発し現代スロットマシンの原型となった「リバティ・ベル(Liberty Bell)」機の構造略図が各版を通じて掲載されています。それを見ると、このセガ(Mills)の払い出し機構の基本的な構造は、リバティ・ベルからほとんど変わっておらず、改めてチャールズの発明の偉大さに驚かされます。

「Slot Machine America's Favorite Gaming Device」に掲載されている、リバティ・ベル機の機構の概念図。この図は第5版の45ページより。

((次回・「リールユニット前面」につづく)


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2 コメント

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Unknown (tom)
2022-12-19 19:44:03
改めて隅々まで見るとよく出来ていますね。

リールストップスター部分の拡大写真を見ているとcowboyが履いているブーツに見えてきました。
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Unknown (nazox2016)
2022-12-19 21:17:31
電気を使わないでこれだけのアクションができるのは本当に驚きです。からくり人形の精緻さを想い出されますね。
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