オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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IPDBと「アポロボール(TAITO, 1971?)」

2021年01月10日 15時02分05秒 | ピンボール・メカ
The Internet Pinball DataBase IPDB)」と言えば、世界中のピンボールファンであれば知らない人はいない、神とも言うべきウェブサイトです。ワタシも拙ブログを書く上だけでなく、単なる趣味としてもしょっちゅう参照させていただいています。

ワタシは最近、このIPDBのオーサーと、連日のようにメールでやり取りをしています。話の発端は、IPDBのリストの中に「Apollo Ball」の名を見つけたことにありました。

IPDBにおけるApollo Ballの記述

そこには、「Ballyがモデル番号860として69年9月25日にリリースした6カードタイプのビンゴピンボール。その後どうなったかの情報は無い」としか述べられておらず、画像資料もありません。

アポロボール?
6カードビンゴ?
なんか見たか聞いたかした覚えがあるぞ?

と思って手持ちの資料をひっくり返していたら、拙ブログをご高覧くださっている方から以前いただいた膨大なフライヤーのデジタルデータの中に発見しました。




上はアポロボールが掲載されているタイトーのフライヤー。最下段の中央にあるのが「アポロボール」。下はアポロボール部分の拡大図。他に掲載されている機種などから、頒布時期は1971年以降1972年以前に絞られる。頂きもの画像をドヤ顔で掲載してしまうのは気が引けるが、今回は話の流れで乞うご勘弁。

このフライヤーの裏面には「太東貿易」の社名が印刷されています。「太東貿易」が「タイトー」に変わったのは1972年のことです。また、やはりアポロボールが掲載されている同形式のフライヤーは他にも2つあり、そのうちの一つには新たな社名の「タイトー」が記載されていることから、アポロボールは遅くとも1972年、早ければ1971年かそれ以前から販売されていたことになります。

ほぼ同じ時期に、セガは「スキルボール」と言うやはり6カードタイプのビンゴ機を売り出しています(関連記事:スキル・ボール(初の国産ピン・ビンゴ)と大岡山のオリンピアセンターの記憶)。セガとタイトーは、やはり風俗営業機である「オリンピア」で既にコラボしており(関連記事:オリンピアというパチスロの元祖についての謎)、アポロボールもひょっとするとその延長線上にあるものかもしれません。




スキルボールのフライヤーの表紙部分(上)と筐体部分の拡大図(下)。本来は横に長い1枚を折り畳んで両面6ページになっている。

オールドゲームの記録を残しておくという共通の目的を持つ者としてこれをIPDBにお知らせしておくのも務めであろうと思ったワタシは、極めて不得手な英文メールを苦労して作成し、上記画像と共にIPDBに送りました。

「拙者nazox2016と申すものでござりる。ニッポンのジャパンからお送りしているある。これが貴殿のIPDBリストにある『Apollo Ball』と同一のモノかどうか定かではないあるが、ニッポンのジャパンのタイトーが1971年頃に「アポロボール」という6カードタイプのビンゴ機を販売しているます。実はセガの「スキルボール」がほぼ同じものと思料されりる。この頃、セガとタイトーはパチンコ市場の機械でコラボっていたので、アポロボールはスキルボールのOEMかなんかの可能性もありる。
*注釈*:アポロボールとスキルボールはゲームのトークンを賞品と交換可能なパチンコパーラー向けの機械なり。
この情報から何か新たにわかりることがあるれば幸いです。よろしき。」


ワタシのメールは、ネイティブにはきっとこんな感じで読まれていると思いますが、大意は伝わったようで、翌日には「タイトーのアポロボール」と「セガのスキルボール」2機種のリストがワタシが提供した画像とともにIPDBに追加されました(素早い!)。

IPDBの「Apollo Ball (アポロボール)」
IPDBの「Skill Ball (スキルボール)」

IPDBからは丁寧な返信のメールをいただきました。その後、日本製のピンボール機に描かれている日本語の記述について質問されたり、こちらからはその回答や追加の補足資料を送ったりなどのやり取りが現在進行形で続いています。その中で聞いた、IPDBのオーサーが子供時代を過ごした1960年代の沖縄での話は、ワタシにも懐かしく、郷愁を誘われます。沖縄在住時代は彼にとって人生の上で極めて想い出深い期間だったそうで、「当時の話ならいくらでもできる」とおっしゃっています。

かつて敵と味方に分かれて戦っていた日米の市民が、今は趣味を通じてこうやって交流できる平和が本当にありがたいです。彼からは現在も新たな質問をいただいているので、本記事をアップした跡で、また大汗をかきながら英文の返信メールを書きます。

なお、アポロボールのゲーム内容については、上述「関連記事:スキル・ボール(初の国産ピン・ビンゴ)と大岡山のオリンピアセンターの記憶」の「スキル・ボールの遊び方」をご参照ください。その中の「ブラボー賞(ボーナスゲーム)」は、アポロボールでは「アポロ賞」と称しているようです。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Caitlyn)
2021-01-12 01:20:37
thank you for this, I love seeing bingo machines that were made outside of America after they were banned there.
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Unknown (nazox2016)
2021-01-12 22:42:48
Thank you for your comment, Caitlyn.
Apollo Ball and Skill Ball were worked early to mid 70's in the Pachinko market.
However, it was a very inefficient machine for pachinko parlors and disappeared from the market without a sequel being made.
Meanwhile, Bingo pinballs were rose their presence in the amusement arcade market.
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